漢字の国“中国”のアーティスト表記は奥深い!

2003/10/17掲載
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じつはなかなか奥深くて面白い、漢字の国“中国”での外国人アーティストの表記について、アレコレと調べてみました。
 例えば、“Michael Jackson”“マイケル・ジャクソン”と表記するように、我々日本人は他の国の言葉を自国の言葉で表現する時には“カタカナ”を用いることが多いのですが、こと漢字の国“中国”に関してはそういったものがないので、先ほどの“Michael Jackson”を“麥可傑克森”と表記するように、その全てを漢字で当てはめて表現します。ただ、その“漢字に当てはめる”という行為も、じつは調べると2パターンあるらしく、ひとつは先ほどのように、「その漢字のヨミを元の言葉のヨミに合わす」というパターンのもの。これは同じ漢字文化を持っている我々日本人でも、なぜそう読むのか分からないものが多いのですが、ただ、もうひとつの「元の言葉の意味から、その意味に合った漢字を当てはめる」というパターンのものは、我々が見ても、その成り立ちが結構分かるものが多くて、しかも、なかなか面白いものも実は多いのです。そこで今回は、その“意味当てはめ”パターンで中国語となった「アーティストの名前」についてアレコレと調べてみました。

 まず手始めてに“そのままズバリ過ぎ系”なものをご紹介すると、まるでシャンプーの名のようになってしまったディープ・フォレスト「森林物語」があるかと思えば、エニグマ「謎」エール「空気」のように、“それは直球過ぎでしょ?”と思わせるものもあり。また、中国ではバンドやグループに「楽団」や「合唱団」を付けるケースが非常に多いらしいのですが、それらのなかでも、アース、ウインド&ファイアーの、なぜか“地球”ではない「球、風、火、合唱団」を始め、ブラッド・スウェット&ティアーズ「血汗涙合唱団」ソニック・ユース「音速青春楽団」ザ・フー「誰楽団」クラッシュ「衝撃合唱団」などなど、“そのままズバリ過ぎ系”なものはかなり多いみたいです。しかも、そのままズバリにしたせいで、なんだかとっても恐くなってしまった、ザ・キュアー「怪人合唱団」や、アンダーワールド「地底世界楽団」なんてのは、かなりのインパクトがありますよね?

 “恐い”と言えば、ガールズ・グループなのに「原子少女猫」となってしまうアトミック・キトゥンや、いくら何でもそれはあんまりなんじゃないかと思う「肉塊」となってしまうミートローフを始め、「硫酸合唱団」と恐すぎな名のマイ・ヴィトリオール、お化けが出そうなファントム・プラネット「幽霊星球合唱団」、彼らの音を聴くと感染してしまいそうで恐いフルーク「寄生獣合唱団」なんてのもかなり恐いかも? また、ミート・ビート・マニフェスト「肉體節奏宣言楽団」や、システム・オブ・ア・ダウン「堕落體制合唱団」なんかは、意味はよく分からないけど、でも恐い。

 また、今までは外国のアーティストのみをご紹介してきましたが、もちろん、日本のアーティストも中国では漢字化の対象であって、例えば、ドリームズ・カム・トゥルー「美夢成眞」ラルク・アン・シエル「彩虹」モーニング娘。「早安少女組」となってしまうそうです。そんな日本人のなかでも“面白さ”という点では、レヴォリューションはどこへ?なTM.REVOLUTION「西川貴教」を始め、“それはいくら何でも短くし過ぎだろう!”とツッコミたくなる、ブリリアント・グリーン「緑」や、“夏の定番”なのは世界共通なのか?と思わせるチューブ「夏之管」、そして、その言葉の感じから姿を想像するとかなり笑える、ヒステリック・ブルー「暴暴藍」などがあります。

 とはいえ、“面白さ”という点では海外アーティストの方が一枚上手。例えば、なんだか凄く辛そうなウルトラ・リヴィング「極限生活合唱団」や、テレ朝の戦隊ものみたいなパワーマン500「重力超人500合唱団」といったもの、そして、奇妙な存在のバンドにはピッタリなスーパー・ファーリー・アニマルズ「超多毛動物合唱団」、ただのオッサン達のバンドなのに「可愛罪犯」となったファン・ラヴィン・クリミナルズ、そう言われてみれば確かにそんな意味だと再認識させるノー・ダウト「不要懐疑合唱団」、名前だけ見れば、成功して金持ちになっていそうな、モ・ソリッド・ゴールド「魔力金塊合唱団」、・・・などなど、字面だけで笑えてしまう(失礼!)アーティストが目白押しです。また、ロック界の大御所もこうなってしまったら、さすがに権威も感じなくなってしまう、ナイン・インチ・ネイルズ「九吋釘」や、スマッシング・パンプキンズ「非凡人物合唱団」なんてのも、かなり面白いですよね?

 もちろん中国語化すると面白いものばかりが出るわけではなく、ブロンディ「金髪美女合唱団」と表記するのに対して、その逆的意味合いの表記となる4ノン・ブロンズ「非金髪四美合唱団」とか、カーペンターズ「木匠兄妹合唱団」イーグルス「老鷹合唱団」フージーズ「流亡者(難民営)三人組」などのように、メンバーの構成自体を知らないと、そう表記出来ない“感心系”もあるなど、なかなか中国語化の奥は深いみたいです。

 さてさて、そんな感じで、今回も、日常にはなにも役に立たない知識を皆さんにご報告させて頂いたわけですが、どうだったでしょうか? じつは今回ご紹介したのは、まだまだホンノ一部でしかなく、他にも一杯あるのですが、とりあえずは、今回はここまでってことで一度終焉。今回が好評ならば、また、アルバム名や曲名までにも対象を広げた次回を行なうかも知れませんので、またその時にでもお会いいたしましょう!
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