さる11月3日に行なわれた
Perfumeの東京ドーム公演<1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11>。結成10年目、メジャー・デビュー5年目という記念すべき節目の年に行なわれたアニヴァーサリー・ライヴを、ヘヴィなPerfumeファンとして知られるピエール中野氏(
凛として時雨)がレポート! 会場に現れた中野氏は全身Perfumeグッズに身を包み早くも臨戦態勢! ブレイク前から3人を追い続けてきた彼だからこそ書ける入魂のライヴレポをお楽しみください。
円形のセンター・ステージから伸びた花道、あ〜ちゃん、のっち、かしゆかの3人がそれぞれの先端から登場した。白い花嫁姿でカウントと共にゆっくりと一歩づつ中心の白い三角に向かっていく。結成からの想いをその一足に込めるかのようにゆっくりと。歩が進むにつれて、胸の高まりが止まらなくなる。彼女たちはこれからどこへ向かうのか、東京ドームという数年前には考えられなかった夢のような会場でどんなライヴを見せてくれるのか。期待と興奮は高まる。
1曲目は「シークレットシークレット」。この曲のMVは下積み時代のPerfumeからブレイク後のPerfumeを表現している。衣装、看板、飲み物が豪華になっていったり、街中での格好が変化する。螺旋階段のシーンでかしゆかが止まって動けなくなるのをのっちが引っ張ってあげるシーンがとても印象的だ。東京ドーム公演、結成10年目の集大成のライヴ1曲目にこの曲を持ってきたのはやはり大きな意味、思いがある。鳥肌が止まらない。会場の緊張感がそれを増幅させていく。最初のセクション最大の仕掛けは「GAME」。ライト・サーベルは健在で、ジャケ写を見事に再現し、続く「ワンルーム・ディスコ」で締めくくる。
MCはお決まりの挨拶と自己紹介。深々と頭を下げるのが特徴で、初めて観たときからずっと変わらない。Perfumeの魅力を形成する大切な部分だ。ゆるいMCと会場をブロックごとに“カレー”に例えるコーナーで空気を和らげてから恋をテーマにしたラブい曲シリーズへ。「ナチュラルに恋して」など聴かせる曲が続き、初披露の「575」が始まる。せりあがった舞台に腰をかけてしっかりと歌いあげる。5万人の観客がじっくりとその歌声と楽曲を堪能していた。どちらもシングルのカップリング曲なのだが、Perfumeの場合カップリングにも名曲が多い。
一転、
オウテカを彷彿とさせるかなり激しい歪んだエレクトロが流れ、映像もそれにリンクしていく。まるで別のアーティストのライヴを観に来ているかのような、Perfumeをあまり知らないで来た人はどうしていいかわからなくなるような硬派な時間だ。彼女たちが面白いと言われ、愛されてる理由はそこにもある。この硬派な一面を見せるのは昔からそうだった。インディーズの頃は下積みらしくアイドルアイドルな現場で地道に活動をしていた。衣装も楽曲も下積みアイドルのイメージそのもの。そんな時代にもPerfumeの曲ではないガチなヒップホップを組み込み、ガチのダンスを披露して集まったオーディエンスや通りかかった買い物客をいろんな意味で驚かせていた。それは続く「Perfumeの掟」に集約される。この曲はその硬派な一面をよりPerfumeらしく表現している。踊り狂う10人のかしゆか、レーザー・バズーカを豪快に放つあ〜ちゃん、シングル曲をメドレー・ダンスで披露したのっち。ストイックだった。10年間積み重ねてきた努力がちゃんと見える。途中、
マイケル・ジャクソンをリスペクトしているセクションもあり、Perfumeの持つ最も強みとなる部分を見せてくれた。
そして、ここからの攻めが強烈だった。最新シングル「VOICE」から「コンピューターシティ」「エレクトロ・ワールド」の流れに会場が大きく揺れる。“シティ”と“エレワ”は本当に強い。Perfumeが一般的なアイドルと違ったのはエレクトロ三部作があってこそだし、ブレイクの下地になっている。盛り上がりを絶頂に再びMCへ。ここであ〜ちゃんが、家に鳩が巣を作る話をマイペースに語る。のっちはそんなあ〜ちゃんをカッコいいと絶賛。なんともPerfumeらしいMCからの「パーフェクトスター・パーフェクトスタイル」「Dream Fighter」といった成り上がりシリーズ。「「P.T.A」のコーナー」はテンポよく男の子、女の子、そうでない人、にそれぞれ声を出させる。大盛り上がりの中やったのが“カレー”だ。“カレー”とは最初のMCで場所ごとに、にんじん、たまねぎ、じゃがいもに分けて声を出してもらうやつ。それぞれコールして最後は全員で「お肉!」と絶叫する。5万人が「おーにくっ!」と絶叫するライヴ。
“カレー”が終わって「ジェニーはご機嫌ななめ」。ある日を境目に聴こえ方が随分変わったけど、それも含めコールするみんなが生き生きしている。Perfumeファンのスキルの高さを感じる瞬間でもある。ライヴハウス時代は地獄絵図だった「コンピューター・ドライビング」の揺れるとこ(実際にハンドルを持ってくる人もいたそうな)だけやって「Perfume」へ。乗り物の上に乗ってドームを周ってサインボール投げ。その間、客席は“ぐるぐるユー”の振付をエンドレス・リピート。腕がパンパン! ドMにはたまらないループでした。ありがとうございました。Perfumeのブレイクのきっかけのひとつでもある「チョコレイト・ディスコ」で一つになり「Puppy love」で多幸感に包まれ温かい気持ちになる。本編最後は「wonder2」。最後に最もふさわしい曲だ。ラストの合唱で会場が繋がる。Perfumeが歌で繋がる場面を用意していたのが本当に嬉しかった。
鳴り止まない規則正しい手拍子によるアンコールで登場。新曲の「ねぇ」を披露。リフとダンスが印象的なナンバーで文句なしにカッコ良い的な。そしてアンコール最後の曲「ポリリズム」はブレイクのきっかけになった曲。メンバーもMCで家族やスタッフ、振り付けのMIKIKO先生、友人、ファンへの感謝の気持ちを繰り返し話していたのが印象的だった。唯一無二の多幸感に満ちたライヴを東京ドームでも披露してくれたPerfume。中田ヤスタカ、スタッフを含め、どこへ向かっていくのか目が離せない日本が誇るべき表現者集団だ。東京ドーム公演は通過点になった。これからも物語は続いていく。
文/ピエール中野(凛として時雨)
【セットリスト】
GISHIKI 1. シークレットシークレット
2. 不自然なガール
3. GAME
4. ワンルーム・ディスコ
5. ナチュラルに恋して
6. love the world
7. I still love U
8. 575
9. Perfumeの掟
10. VOICE
11. コンピューターシティ
12. エレクトロ・ワールド
13. パーフェクトスター・パーフェクトスタイル
14. Dream Fighter
15. 「P.T.A」のコーナー
16. ジェニーはご機嫌ななめ
17. (コンピューター・ドライビング Intro)〜Perfume
18. チョコレイト・ディスコ
19. Puppy love
20. wonder2
[アンコール]1. ねぇ
2. ポリリズム
■Perfume オフィシャル・サイト
http://www.perfume-web.jp/http://www.tkma.co.jp/j_pop/perfume/■凛として時雨 オフィシャル・サイト
http://sigure.jp/