ワイヤレス再生も楽しめる
ハイセンスなD / Aコンバーター
ATOLL DAC200
オープン価格 200,000円前後■デジタル入力: 光 x 3 / 同軸 x 2 / バランス x 1 / USB x 1 ■アナログ出力: 2系統(RCA / XLR) ■デジタル出力: 光 x 1 / 同軸 x 1 ■外形寸法: 440W x 60H x 280Dmm ■重量: 4kg※お問い合わせ: ディナウディオ・ジャパン(株)
www.dynaudio.jp フランス、ATOLL(アトール)社のオーディオ機器はシンプルで美しく、個人的にはコンポの王道をゆくメーカーのひとつと認識している。USB-DACとて例外ではなく、いわゆるフルサイズの薄型デザインは、厚いパネルやしっかりした筐体を含め、むしろ高級プリアンプを思わせるものである。姉妹機の「DAC100」の評判も上々だったが、同社のDACに関する実力を証明するのが、その後継機「DAC100se」と「DAC200」だ。今回PCオーディオの一環として取り上げるDAC200が、いかほどの音を聴かせてくれるのか、誰しも興味があることだろう。
試聴前に簡単に機能や特徴をご説明しておくと、DAC200は、100をさらに高機能化。DACチップには定評あるバーブラウンのPCM1972を採用している。特筆されるのはその入出力端子の豊富さ。入力だけでもUSB以外に光が3系統、同軸2系統、XLRバランスが1系統あり、実際、ちょっとしたデジタルプリアンプとして使えそうだ。そして、ワイヤレス再生に対応していること。パソコン側がワイヤレス仕様でなくても、付属のUSBドングル(送信機)を挿し込めば、そちらの音楽コンテンツをDAC200本体が受信して再生できる。
USBドングル(送信機)が付属。
これをPCのUSB端子に装着するだけで、
PC内の音楽データをDAC200にワイヤレス送信できる。
まず、MacBook Airにつないで、通常のUSB-DACとしての実力を検証してみた。Macの場合、特別なドライバーソフトは必要なくUSBにつなぐだけで認識する。サウンドコンパネに「ATOLL USB Audio 2.0」と表示されるので、それを選ぶだけ。Audirvana Plusで192kHzと96kHz/24bitのハイレゾ音源を聴いてみたが、物凄く音が厚く(重たいという意味ではない)、すべての音を出し切るような感じの密度の濃い鳴り方である。しかも、音に躍動感があるのに驚いた。DAC200では、新たにパネル前面にヘッドフォン端子が設けられた。自前のヘッドフォンで聴いてみたが、きわめてハイスピードで、かつ厚い音が飛び出してくる。これより高価なDACに、勝るとも劣らない素晴らしい音である。据え置き型のヘッドフォンアンプとしてもお薦めで、ミニジャック仕様なのも大いに歓迎されるはずだ。
次にMacProにUSBドングルを挿し込み、ワイヤレスで再生してみた。これもサウンドコンパネに「USB Audio DAC」と表示されるので、それを選ぶだけ。ドングルはあらかじめDAC200本体とペアリング/マッチングが取れているので、煩雑な設定などはない。もし同社の他のドングルをお持ちなら、再設定する必要がある。USB経由のワイヤレス再生の場合、対応できるファイルは上限48kHzまでだ。ハイレゾはやや厳しいが(ダウンコンバートされる)、CDやiTunesなどでの圧縮音源が非常に良い音で聴けたのには参った。家庭内LANが必要ないし、AirPlayなどとはまた違った意味で、便利な機能だ。これはDYNAUDIO(ディナウディオ)の「Xeo(シオ)」などとも共通する無線の使いこなしといえる。なお、同社の他製品も操作可能な付属リモコンは、スマートで質感もよい。さすがはフランス生まれである。