CDじゃないジャーナル大賞 2016

2017/02/21掲載
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CDじゃないジャーナル大賞 2016
CDじゃないジャーナル大賞の季節が今年も(勝手に)やってまいりました。第4回を迎え、巷ではアナログ盤リリースはもはやめずらしくなく、すっかり“CDじゃない”のが普通な時代になってきてますが、そんななかでも自分たちの信念をしっかりと感じさせた3組を今回も選び、記念の楯を贈呈しました。カセット復活が話題を呼んだ2016年にカセットと自家焙煎豆のセットという好アイディアが光るリリース“COFFEE AND CASSETTES”を行なったインディ・レーベル「ZOMBIE FOREVER」、つつましやかな男女デュオというイメージをさらりと覆したフリー・ダウンロード・シングル・リリースがかっこよかったyojikとwanda、そして長い活動中断からの再開にあたって、過去のCDシングル4枚と新曲の計5枚を1年で7inchリリースすることで過去と現在をつないで見せたGUIRO。以上3組のみなさんの喜びの言葉をどうぞ。
2017年1月20日発売CDジャーナル2月号に掲載の「CDじゃないジャーナル大賞」おいて、大賞受賞者yojikとwandaのyojikさんによるコメントが抜けておりました。読者の皆様および関係者の皆様、誠に申し訳ございません。ここにその完全版と写真を掲載させていただきます。
――CDジャーナル編集部


ZOMBIE FOREVER (レーベル)
“COFFEE AND CASSETTES”


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ZOMBIE FOREVER 森 幸司
――もともとはどういう経緯でレーベル活動を始めたんですか?
 「僕の実家が山形なんです。地元に鈴木という相方がいて、僕と彼の2人でやっているのがZOMBIE FOREVERです。山形にもおもしろいシーンがあるし、そういう音楽を自分たちでも流通できないかなと思ったのが始まりです」
――カセットでやろうと思った理由は?
 「親からもらって今も僕が使ってるラジカセがあるんです。もともとそれを使って友達にミックステープをあげたりしてました。今、僕は33歳なんですけど、子供の頃からCDの音をカセットで録って聴いたりしてましたね。それも、スピーカーから出た音をラジカセで拾って。謎の行動ですよね(笑)」
――へえ! 根っからのカセット育ちなんですね。
 「でも、僕らのレーベルでは最初はCDを出してたんです。だけど、だんだん世の中に思ったほど届かなくなってきて、“このラジカセ使ってカセット出しちゃえ!”って話になったんです。最初に出したカセットが、Hi, how are you?(2013年)でした。ハイハワの原田くんは地元が山形で、僕らがやっていたイベントに高校生のときから来てくれてて。京都の大学に行くっていうんで、“じゃあ、デモテープできたら送って”って話をして、送られてきた音源をそのまま出しました。原田くんも“ばあちゃんに聴かせたいからカセットで出したい”って言ってたので」
――今回の受賞は、“COFFEE AND CASSETTES”が対象なんです。自分のレーベルのカセットと自分で焙煎したコーヒー豆をセットにするアイディアが素晴らしかった。
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“COFFEE AND CASSETTES”
 「もともと焙煎が好きだったし、焙煎機を買ったタイミングで、これを回しながらカセットをダビングできるのはいいなと思ったんです。名前は映画の『コーヒー&シガレッツ』への憧れです。最初に作ったのはジャケットを描いてくれた山形在住のイラストレーター、kamata eriさんのセレクト・テープで、彼女が好きなペルーの豆を僕が焙煎してカセットにつけました」
――カセットの中身と豆の種類は、その都度考えていくんですね。
 「そうです。カセットを作ってる人も、コーヒーを飲む人も、全部つながってるようにしたいなと思ってます」
――そういう発想の原点は?
 「カセットだけで食べていくのは難しいけど、コーヒーをつけたらもっと広がる。でも、豆をつけるだけじゃなくて、もっとマニアックで、もっとおもしろいことをしたいと考えたら、こういう感じになりました。ポートランドやオリンピアのシーンにあるローカル的な流れもすごく好きだし、影響は受けてます」
――ローカルだけどワールドワイドに発信できるアイディアですよ。もしもっと話題になって、いきなり“COFFEE AND CASSETTES”の新作の注文が一万本入ったらどうします?
 「それは、断ります(笑)。作ってるのは2人だけだし、焙煎もしなきゃいけないし。それに、カセットってそういうものじゃないと思うんです。“注文来たから作る”ぐらいの感じがいいです」


yojikとwanda
ナツ三部作 (全3曲)


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yojikとwanda「ナツ」
 このフリー・ダウンロード企画は、2016年の夏が終わる前に届けたかった3曲のための苦肉の策であり、前向きな冒険でもありました。悩んだ末の決断にこのようなリッパな賞をいただけたことが光栄ですし、音源発表の形は多種多様でOKと改めて背中を押してもらったような思いです。CDやレコードという実物が不在なのに世に発表した実感を後押ししてくれたのは、ひとえにイラストレーションの藤井啓誌さんとデザインの惣田紗希さんのおかげです。録音に参加してくれた音楽家4人が3曲に多面的な色づけをしてくれました。またこの場をお借りしてダウンロードして聴いてくださった皆様にも御礼を申し上げます。ありがとうございました!
――yojik
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yojikとwanda
 yojikとwandaのwandaです。CD制作2016夏までに間に合わないからBandcampにて発表したら、栄えあるCDじゃないジャーナル賞をいただきました。感謝しております。DLした人たち〜!聴いてくれた人たち〜!フリーなのにお金払ってくれた人たち〜!話題にした人〜!友達に教えてくれた人〜!ドラムス&ベーシック録音のItoken氏、ベースの服部将典氏、二胡の吉田悠樹氏、ピアノの岡野勇仁氏〜。そのほか、気にかけてくれたりライヴ観に来たり関わった人たち〜!嬉しい賞をもらいましたよ!この場を借りて御礼申し上げます〜!CDにするかわからないけど2017年も良く録音した音源を発表したいです!ありがとう!
――wanda


GUIRO (レーベル)
あれかしの歌, ABBAU, ほかシングル計5枚


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GUIRO 眩勸貊
 まさか賞という名のつくようなものをいただける日が来るとは夢にも思いませんでしたが、この栄えある賞と、おまけに楯まで頂戴し、思わず小さい頃に観た「FNS歌謡祭」で優秀賞を獲得し壇上に立つ歌手たちの面持ちを回想し、おこがましくも自らをオーヴァーラップさせております。晴れやかなような、落ち着かないような気持ちです。
 思えば昨年、リイシューとはいえ(発売当時は8cmCDRでした)4枚、そして年末には新曲として1枚、年間で合計5枚もの7吋をリリースしたというのは70年代の売れっ子歌手たちでも成し得なかったわけで、大それたことをしたものだとも思います。しかし先の4枚を、新譜を聴くように新鮮に聴いてくださる方が少なからず居てくださったのも幸運でしたし、そこから10年以上の時を経た私たちの現在の音を年の終わりにお届けできたことで文字どおり「時間軸を飛び越える」聴覚体験をしていただけるのではないかと期待しています。この一連のことが礎となり、枯れていた水脈に清水が流れ込むがごとく自身の動きが勢いを得ることをも心に描きつつ。
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GUIRO「ABBAU」
 販売方法も7吋に関しては一般流通に載せず、大切に扱ってくださるお店の方々と直接やりとりし、受注から梱包、発送に至るまでを行なうという、時代遅れかもしれないけれどたしかな結びつきを感じられるやり方を選んでいます。それが唯一の正解だとはけっして思いませんが、音楽を作る人、それを売る人、買って聴く人、どの立場の人もそれぞれの行為が喜ばしいものであり続けるためにどう在れば良いのか、とても小さな現場から自分たちなりに問い直してみたいのです。この場をお借りしまして、リリースに関わった方々、立ち会っていただいたすべての方々に心よりの感謝と御礼を申し上げたいと思います。誠にありがとうございました。
――眩勸貊 / GUIRO
取材・文 / 松永良平
題字 / 西村ツチカ
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