6月にヨーロッパ・ツアーを成功させ、各国で大きな話題を集めた
KOKIA。帰国後、初のリリースは〈Life Trilogy〜いのちの歌 3部作〜〉と題された、配信限定シングルの第1弾! 「君をさがして/last love song」が8月5日にリリースされる。昨年10周年を迎えた彼女が、溢れる創作意欲を胸に新たなスタートを切る――。
――今年の6月にはフランス、ベルギー、ドイツ、ポーランド、アイルランドの5ヵ国を周るヨーロッパ・ツアーを行なったそうですが。どんなことを感じましたか?
KOKIA(以下同) 「4年前からフランスでコンサートをやらせていただいていたんですが今年は5ヵ国7公演をヨーロッパで周らせていただくことができて、これまでの種まきが少しずつ芽吹いてきたかなという感じがしています。初めてなのにかなり盛り上がったのはポーランド。やっている側から自分の歌が生きていることを実感できるような、そんなライヴでした。言葉の壁を越えるって一言で言いますけど、それは本当に貴重な体験で。ミュージシャンとしてのモチベーションがさらに上がりましたね」
――KOKIAさんの声の力が、やはり大きいんでしょうね。
「ヨーロッパでインタビューしていただいたジャーナリストに“KOKIAがヨーロッパで浸透しているのはどうしてだと思いますか?”って訊いてみたんです。そこで私が一番嬉しかった回答があるんですけど(笑)、“何を歌っているのか100%わからなくても、人間はその声に込められた想いを感じ取れる。KOKIAの歌が何語であろうと心がこもっているから私たちヨーロッパ人にも響くんだよ”って言ってくださって。その言葉が凄く嬉しかったですね」
――そして8月5日にシングル「君をさがして/last love song」がリリースされました。今回は配信限定なんですね。
「そうなんです。去年はデビュー10周年ということで、年間で4タイトルのアルバムをリリースしたんです。なので今回は盤ではなく変化がほしいなというところから配信でのリリースになりました。しかも今回は〈Life Trilogy〜いのちの歌 3部作〜〉ということで、季節の温度感ごとに曲を書いてみようかなと思っています」
――全体的なテーマとして「いのち」を選んだ理由は?
「私の曲はいろんなタイプがあるんですけど、心に染みるものや勇気が出るもの、前向きに頑張って行こうという気持ちになれるようなメッセージ・ソング的なものがKOKIAならではだと言ってくださる方も多くて。だったら誰もが永遠のテーマとして持っている〈いのち〉にKOKIAとして挑んでみようと思ったんです。〈君をさがして〉はまず、このテーマのリード曲として書きました」
――〈君をさがして〉は、大切な存在を失った時の混乱した気持ちが、KOKIAさんの声を聴いているうちに整理されていくような、そんな効果のある1曲だと思いました。
「歳を重ねるごとに失うものや別れも多くなるけれど、それをどう乗り越えていくかとか、どう整理をつけていくか。そこに断定的な提示はせず、それぞれの歌を聴いた中から、静かな決意とともに前に進んで行ってほしいなっていう曲です。〈君をさがして〉というタイトルですが、その前は〈答えをさがして〉だったんです。私自身〈いのち〉に対する答えが出ているから歌えるのではなくて、今もなお探しているんです。でもきっと、こっちの道であってほしいなという気持ちと、前向きに生きていかなきゃなっていうメッセージを込めて歌っています」
――そして今回の iTune EP(4曲+オリジナル・デジタルブックレット)にはルイ・アームストロングのカヴァーで「What a wonderful world」も収録されています。3部作を通して必ずカヴァーが1曲収録される予定だそうですね。 「はい。オリジナル・アルバムにはほとんどカヴァー曲は入れたことがないんですが、今回は企画性のある作品なので毎回1曲入れていきます。〈What a wonderful world〉の選曲に関してはスタッフのアイディアだったんです。とても有名な曲だしオリジナルのイメージが強いですが、歌詞も〈Life Trilogy〜いのちの歌 3部作〜〉というテーマにぴったりなのでこの曲にしました。今の等身大の私が歌うということを大事にしたくて、普段のKOKIAとは違い、つぶやくように歌ってみました。今後も年内に第2弾のリリースを予定しているので楽しみにしていてください」
取材・文/上野三樹(2009年7月)
※iTunes Store、レコ直、他にて配信中
「君をさがして/last love song」
(配信限定シングル/税込800円)
01. 君をさがして
02. What a wonderful world
03. last love song
04. クルマレテ