今のラフィンノーズは超おもしろい――“50代のラフィンロール”を体現した新作『50’s ROLL』

ラフィンノーズ   2017/07/07掲載
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 “今の”ラフィンこそが最高だ!……むやみに懐かしがってる輩に長くそう言い続けてきたのに嘘偽りはなかったが、今度こそその言葉を真に受けて飛び込んできていただきたい。ラフィンノーズ3年半ぶりの渾身のニュー・アルバム『50's ROLL(フィフスロール)』は、いわば“50代のラフィンロール”。そいつが走り出し、加速して、駆け回り、踊りだす。クレイジーなオシャレさと、カラフルなせつなさと、トンガリ続けたエンターテイメントがせめぎ合う……そんな愛と暴走のパンクロック・アルバム『50's ROLL』を作り終えたばかりのCHARMY(vo)とPON(b)に話をきいた。
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――3年半ぶりと、かなり久しぶりのアルバムですが、待ってたかいがありました。タイトルは『50's ROLL』。50代にアップデートした『ラフィンロール』みたいな感じでしょうか。
PON 「50になってもう一回『ラフィンロール』を作ろうみたいな。やっぱりもう50代やから、それを全面に出していこうぜと」
――50代? 関係ねえよ!じゃなくて。
PON 「そうそう。それを踏まえて背負っていこうぜっていう。心配すんなや、見とけよって。うちは客も50手前くらいかな? そいつらにぶつけるには一回さらけ出さなあかんかなと思って。目を覚まさせたろうかなと。“こっちはティーンネイジャーのふりしてやってるんじゃないぞ”みたいな。いつまでもおとぎの国ではいられないいう感じで」
――ネヴァーランドじゃないぞと。
PON 「そうそう、でも結果ネヴァーランドみたいな空気のアルバムになったけどね(笑)」
――これまでもラフィンがやってきたものは“ラフィンロール”っていう名のロックンロールではあったのかもしれませんが、今回それが決定づけられた気がします。キャッチーなグッドメロディはラフィンの持ち味ですけど、「TWIGGY BEE」とか絶品ですね。これは「DINGO」(『AM A LIVE』収録)系で。
PON 「CHARMYはあのパターンはいくらでも作れるのよ」
CHARMY 「得意なやつやね。あれジュリーみたいやろ(笑)」
――たしかに。なんか昭和歌謡的なものも少し意識したようなことを言ってましたよね。
CHARMY 「まぁ、結果的にぜんぜん違うんやけど〈DINGO〉あたりからかな? ちょっと昭和歌謡的なもの、阿久 悠とかさ、あれを意識してる部分はあって。まぁそういうのが流行ってた時代はバカにしてたわけ。でもそれから年をとって、昭和歌謡ってヤバいぞ、それに比べて今のポップスの薄っぺらいことよって。だからそれを活かさない手はないじゃないかというのが俺の中にあって。そういう自分の中から湧きあがってくるのを抑える必要はないかなと。逆にパンクっていうのに縛られるのもちゃうやん。俺らが出す音で俺とPONがOK出してたら、それはもうパンクロックだし、それはもうラフィンやから」
――いろんな要素がありますし、これは○○風って噛み砕いてわかる部分もありますけど、やっぱりラフィンノーズでしかないですもんね。あと感じたのはスティーヴ・ジョーンズ的なムードですね。「LONELY BOY」あたりの。
CHARMY 「いうたら、(セックス)ピストルズでも俺が好きなのはジョン・ライドンが歌うやつよりも〈LONELY BOY〉とか〈SILLY THING〉で、クラッシュやったら〈STAY FREE〉とかミック(ジョーンズ)が歌うやつ。そういう感じかな、俺の作る曲は。でも、ラフィンには元々そういう要素があって、〈LONDON NITE〉とかもそうだし。だから今回は初心に帰って『ラフィンロール』みたいなアルバムを作りましたって感じ」
――そのセリフは、これまでインタビューしてきて何回か聞いてきましたけど、今回は確かに一段とそれがしっくりきますね。
CHARMY 「ほんまにほんまに、ちょっとメジャーっぽいの意識しようかみたいな」
――『ラフィンロール』や『SOS』あたりに近い雰囲気で。
PON 「『SOS』と『ラフィンロール』の中間ちゃうかな。あの間の感じ」
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――CHARMYさんがプロデュースした『大韓不法集会』を経て、ちょっと実験的な……言ってみたら『MEAT MARKET』みたいな感じにはいかなかったわけですね。
CHARMY 「うーん、今あれをやりたいとも思わないしね。たとえばさ、PONにKUANG PROGRAMみたいなの作ろうやっつって作ったとしてもたぶんおもしろくないと思うんだ。というか、そんなこと考える以前に絶対違うと思うしね。例えばWEDANCEやKUANG PROGRAMはかっこええし大好きだけど、音楽的に影響を受けたわけじゃなくて、彼らのあのとことんオリジナルなとこに刺激を受けてさ。ラフィンノーズもいつだってそんな風に思ってるとこでもあったからね。それを改めて再確認したところでアルバムに臨んだ」
――『ラフィンロール』といえば、タイトル曲「50's ROLL」では盟友のマルさん(D・O・T / ex-ラフィンノーズ)がハープを吹いてますね。
CHARMY 「〈ラフィンロール〉はライヴでは俺が吹いてるけどレコードではマルが吹いてて。“お前の方がうまいから吹いてくれや”って(笑)。で、今回もマルに頼んだらおもろない?って。ファンも喜ぶやろうし。今でも仲いいアピールしとこうかと思うて(笑)。そんでハープのフレーズをPONがキーボードで打ち込んだデモ音源を送ったんだけど、電話がかかってきて“あのさぁ、PONが打ちこんだフレーズがどうしても一音出ないんだよ”って言うわけ。“いやいやいや、そんなことないわ。ハープなんて吹く、吸う、吹く、吸う、吹く、吹く、吸うやから、それで出るから!”つって(笑)」
――はい(笑)。
CHARMY 「なんか、大きい楽器屋さんにそのデモ音源のCD-Rを持ってって聴いてもらったんだって。そしたら“うーん、この音は出ませんね”って言われたらしく(笑)。じゃあもう全吹きでええわ!って。そんでめっちゃ練習してくれて。でも、結局録り終えたその音はちゃんとデモの音が出てるのよ。不思議やったな。理屈で考えたらあかんのやね、ロックンロールは」
――さて、今回はこれまで以上にCHARMYさんの熱が伝わってきましたし、もう10年以上ほぼ毎回インタビューしてますが、こんなに作品に対して活き活きしてることもなかったんではないかと思うほどです。
CHARMY 「今回はやりがいがあった。今までやりがいがなかったっていったらそんなことないけどね、取り組む姿勢が全然ちがったね。だから曲のオーラがちがうやろ? PONからも“『大韓不法集会』作るくらいの気持ちでとりかかってくれや”って言われて」
――『大韓不法集会』に対するCHARMYさんの意気込みはすごかったですもんね。
CHARMY 「あの勢いは凄かったから、その勢いをそのままこの『50's ROLL』にぶつけた。『大韓不法集会』を作ったのは今の自分に反映されてるよ、だから今回はいままでの俺とは違うんだってのもあったし。完全にガチでいった」
PON 「CHARMYが死ぬ気で『大韓不法集会』をやったじゃん? それを見てて、“あ、この感覚や。やっぱりCHARMYが前に出らなあかんな”ってのはあったね」
CHARMY 「もちろん俺もそのつもりでおったんよ。頭を切り替えて、いや、切り替えるというか『大韓不法集会』を作った時と同じ感覚で。あの時は必死でやって、こんな素晴らしいのが出来たんだからそれをどうやってみんなに伝えようかと。今回もそういう気持ち。PONも“これが最後やと思うて作ろうぜ”って言うてくるし」
――そこまででしたか!
CHARMY 「めっちゃ言うてきたで(笑)。“俺らこれではずしたらもう後ないで”くらいの。じゃあガチでいかせてもらうわって。で、ここんとこ韓国の音楽ばっかり聴いてたからちょっと感覚を戻そうかと思ってさ、俺がこれまで好きだったものをもう一回聴いてみようと思って。パンクはもちろん、あ、やっぱクールスやなとか、キャロルも久しぶりに聴くとええなって。そういうのが自分の中でいろいろシャッフルされて。一回りしてなんか基本に帰るというか、それでいい感じで作曲に臨めたかな」
――制作にあたり意見がぶつかったりとかはあるんですか?
CHARMY 「曲順決めでめちゃめちゃ時間かかったね、俺の案とPONの案でかなりぶつかって。俺はカーステレオで自分で爆音で何回でも聴けるものを作りたいってのが基本にあって。でも最終的に二人ともホントに納得できるものになって、この曲順で聴くと一曲一曲がピカピカなんだよ。輝いてる。シーンをバラで見せられてるんじゃなく、ちゃんとした映画になってる。見終わっても、また最初から見直したくなるようなね。それが俺のアルバム観だから」
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――今回は自分たちで録音したんですよね?
CHARMY 「ちょっとリスキーな部分もあったけど、そこは絶対出来ると信じて。PONがエンジニアを担当して、自分でマイクを立ててね」
――場所は普通のリハーサルスタジオですよね。
CHARMY 「そう、リハスタでPONが横に座って録ってるのよ。で、“やったー! いい歌録れたー! 今のどうやったー?!”つったら“ごめん録れてなかった……”みたいなこともあったけどさ。そん時はいつもやったら“お前プロだろ、なにやってんだよ!”って思うけど、今回は“待て、この人はプロじゃないんだ……PONなんだ……”って心の中で言い聞かせて(笑)。でも、PONはすごかったな。かなりプロに近いとこまでいったで。びっくりしたわ」
――プロツールスを使ったんですか?
PON 「そう。ヤフオクで2,000円で落札して」
CHARMY 「初めてやのに、結果的に使いこなしてたな。最初は“どう? 慣れてきた?”って聞いたら……“アミダクジみたいや……”って言うてて」
――どこに着地するかわかんないと(笑)。
CHARMY 「んで、三日くらいたってまた聞いてみたら“いやぁ……知れば知るほど怖なってきた”って(笑)。でも、いい意味での緊張と信頼があって、結果的にすごいよかったよ」
――ミックスは中村宗一郎さんで。
CHARMY 「PONから、この録った音を中村さんにミックスしてもらおうと思うと。俺は『大韓不法集会』で中村さんのすごいとこ知ってるからさ、それは絶対ありやなと。そっから、これはリスキーやけど絶対うまくいくと確信して。で、録ったゴッツゴッツした岩みたいな音を中村さんに預けて」
PON 「丸投げでね。そしたらバッチリに仕上げてくれて」
CHARMY 「え! こうなって返ってきた? やったうれしい!って。要所要所でいろいろ技を入れてくれてたんやけど、それが全部正解で」
――納得できるものが出来たと。
PON 「大納得やな」
CHARMY 「すべてのリスキーな賭けに全部当たりが出た。あぁ、やっぱり駄目だった……ってのが一個もなかったね」
――今後もこのスタイルでいけそうですね。
PON 「ほんとにいいの出来たから次も作らなって感じやね。これで最後になるかもしれんって気持ちでCHARMYと俺でやったけど、これでまたやれるなぁと」
CHARMY 「このシステムおもしろいから俺も興味が出てきて、またちょっと試してみたいなってのがあるんだよね。だから“あぁ、もうレコーディング終わっちゃうんだ”って。自分の中でまだ燃えてるものがあって、もうちょっと作ってたいなっていうのが今もある」
――今までも唯一無二のポジションでしたが今作で完全にぶっちぎりましたね。レジェンド枠みたいなのとはほど遠い……。
CHARMY 「レジェンドってなんなん? 俺はそういうのと並べてほしくない。俺らはどこかに括られないし、そういう次元ではやってない」
PON 「パンクに関しては、レジェンドいうのはちょっと失礼やからね。リタイヤと同じで“がんばってきましたね、これからも出来たら続けてくださいね”みたいな感じやん? “いや、こっちはもういってんねんから、お前らがついてこいや!”って感じやね。昔と違って、今の40、50って若いからね。俺たちがそれを後押しするようなアルバムができたな」
CHARMY 「自分にリミットかける必要ないんだよ、そういう人が多いような気がする。50ってこんな感じ、60ってこんな感じみたいな……それ全部まちがってますから! “くたばっちゃたまんねえよ”っていう超自信作が出来たんで、ハッピーにやってます。今のラフィンノーズは超おもしろい、超自信がある」
取材・文 / 恒遠聖文(2017年6月)
ラフィンノーズ “50's Roll Tour ワンマン”
www.laughin.net/
2017年7月8日(土)
宮城 仙台 BIRDLAND
開場 18:30 / 開演 19:30
前売 3,300円 / 当日 3,800円(D別)
※お問い合わせ: BIRDLAND 022-223-7926



2017年7月13日(木)
福岡 天神 graf
開場 18:30 / 開演 19:30
前売 3,300円 / 当日 3,800円(D別)
※お問い合わせ: graf 092-733-1199



2017年7月15日(土)
大阪 ミナミ KING COBRA
開場 18:30 / 開演 19:30
前売 3,300円 / 当日 3,800円(D別)
※お問い合わせ: KING COBRA 06-6211-2875



2017年7月16日(土)
愛知 名古屋 UP SET
開場 18:30 / 開演 19:30
前売 3,300円 / 当日 3,800円(D別)
※お問い合わせ: UP SET 052-763-5439



2017年7月22日(土)
東京 新宿 LOFT
開場 18:30 / 開演 19:30
前売 3,300円 / 当日 3,800円(D別)
※お問い合わせ: LOFT 03-5272-0382


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