限りあるこの日々を追い続けよう――伝説のアイドル、セイントフォー再始動

セイントフォー   2018/05/11掲載
はてなブックマークに追加
 セイントフォーを覚えているだろうか。1980年代のアイドル全盛時代に、「不思議Tokyoシンデレラ」など印象的なヒットを飛ばしながら、わずか2年で流星のように消えた伝説のグループ。そんな彼女たちが本格的に再始動を遂げ、5月16日に過去の音源をすべて収めた『コンプリート・コレクション 1984-1986』と、セルフカヴァー + 新曲によるニュー・アルバム『時の旅人』の2枚のCDをリリースし、6月17日にケネディハウス銀座にて復活ライヴを開催することが決まった。グループ解散後も互いの絆を失わず、波乱万丈の人生を生き抜いてきたメンバーたちは今何を思うのか。再始動メンバーの岩間沙織濱田のり子、鈴木幸恵の3人に、デビュー前からサウンド・プロデューサーとしてグループを支え続けてきた上田 司を交えた、再始動記念インタビューをお届けしよう。

濱田のり子さん(@hachinna)がシェアした投稿 -

――たくさん聞きたいことがあるんですが。まずは再始動記念ライヴのチケットが、発売1時間でソールドアウトになりました。
濱田 「はい! すごいですよね」
――そして2枚のアルバムが、リリース発表と同時にamazon新着予約ランキング歌謡曲部門の1、2位を独占。大変なことになってます。
岩間 「私たちもビックリしてます」
濱田 「でもそれって、パッと決まってパッと始まったことではなく、ここにたどり着くまで1年ぐらい、スタッフのみなさんの頑張りがすごかったんです。そういう思いが結果となって出てきたのかなと思うと、感謝しかないですし、ファンの方のあと押しもあってこういうありがたいことになりました。本人たちが一番ビックリしてますけど、全力で頑張るしかないですね」
鈴木 「私たちがデビューした頃は、言われたことをこなすだけで一生懸命だったんです。でも今回の再始動は、上田 司さんが発起人となって、私たちが知らないところで一人一人がいろんなことをやっていただいた過程を思うと、本当にありがたいの一言しかないですね。そういう、当時はわからなかったことも少しわかるようになって、今更ながら大人になったなと思います。ちょっと遅いですけど(笑)」
――あらためて、今回の再始動の経緯について、話してもらえますか。
濱田 「昨年1月ぐらいに、(上田)司さんから声をかけていただきました」
上田 「僕はもともと谷啓さんの弟子みたいなところから始まって、その後は加瀬邦彦さんにお世話になっていたんです。加瀬さんがセイントフォーの1枚目と2枚目をプロデュースする時に、私も加わっていたんですが、レコード会社のリバスター音産が“3枚目は正統派アイドルっぽくやりたい”ということで、加瀬さんが抜けました。それで〈ハイッ!先生〉というシングルと3枚目のアルバムが出たんですが、4枚目は“もう一回お願いします”ということで、加瀬さんが4曲作ったんです。〈COME BACK HERO〉〈スリリング〉〈トライアングルラブ〉〈ラストショー〉の4曲を。それを当時のメンバーでレコーディングして、あとは発売を待つだけだったのが、突然解散ということになった。その4曲はラジオでもかけましたし、日仏会館の解散コンサートでも歌ったんですね」
鈴木 「その時はメンバーチェンジをしていて、いわお潤さんがいました」
上田 「その、加瀬さんの作ったセイントフォーの未発表曲をCD化したいというのがきっかけだったんです。でもそれだけじゃなく、新曲も作りたい、新譜も出しましょうって、図々しい提案をみなさんが快く引き受けてくれた(笑)。だから僕にとっても、このCDが出るのがとてもうれしいんです」
濱田 「本当にありがたいです」
――その4曲がボーナストラックとして、『コンプリート・コレクション 1984-1986』に入るんですね。
上田 「実はその曲は、僕らが持っていたわけではなくて」
濱田 「ファンの方が持っていたんです」
上田 「僕が聞いた話だと、事務所に行って録ってきたらしい。“録音させてください”って。それをお借りして、音質を改善したんです。それをやっていただいたのが宮澤 謙さんという方で、彼は『時の旅人』のサウンド・プロデューサーであり、『名探偵コナン』の劇中音楽を手がけていて、加山雄三&ハイパーランチャーズのキーボードでもある。いい音源をたくさん持っていて、全部打ち込みなんですけどめちゃくちゃ音が良くて、本当に弾いてるみたいでょう?」
濱田 「めちゃくちゃかっこいいです! 宮澤さんのアレンジの勢いのある感じが私たちに合っていて、すごく好きです」
鈴木 「アレンジが変わると、歌い方もこんなにも変わるんだなと思いましたね。乗り方も変わるし、同じ曲を歌ってもすごく新鮮でした」
――『時の旅人』にも、当時の未発表曲がボーナストラックとして4曲入っていて、さらに新曲も2曲。「噂のダンディーボーイ」と「時の旅人」は、どんなふうに作った曲ですか。
上田 「〈噂のダンディーボーイ〉は、セイントフォーの3枚目のアルバムのために僕が作っていた曲です。作詞は〈ダンシングオールナイト〉を書いた水谷(啓二)さんで、もう出来上がっていたんですが、加瀬さんと僕が外れたので曲が宙に浮いていたものを、新しくアレンジし直しました。もう1曲の〈時の旅人〉はもともと僕のオリジナルで〈スペースファンタジー〉というタイトルで歌っていたんですけど歌詞を書き直しました。セイントフォーの1枚目、2枚目に岩里祐穂さんという有名な作詞家の方がいて、その方にオファーしたんですね。“セイントフォーが再始動しますので、岩里さんに詞をつけていただけませんか”とお願いしたら、“これは運命ですね。ぜひやらせてください”と言っていただいて、わずか1日でこの歌詞を書いていただいたんです」
濱田 「ええ〜! そうだったんですね」
上田 「セイントフォーの気持ちを表してくれている、とてもいい歌詞だなと僕は思いました」
――これは素晴らしいです。あの日の約束、あの日の夢。忘れ物じゃなくて宝物。僕らはみんな時の旅人、限りあるこの日々を追い続けよう。ぐっときました。
濱田 「〈時の旅人〉はまさしく私たちの気持ちを象徴しているような曲で、40代、50代の人が頑張ろうと思ってもらえるメッセージだと思います。いろんな世代もそうですけど、特に同じ世代にメッセージを伝えたい気持ちが私は強くて、“この年齢でもまだまだ行けるよ、頑張ろう!”みたいな、私たちのステージがみんなの勇気になってくれたらいいなって、最近すごく強く感じるんですよね」
岩間 「ぜひたくさんの方に聴いてもらいたい曲ですね」
鈴木 「今回あらためて思ったんですけど、セイントフォーってやっぱり歌って踊るエンターテイナーなんですよね。踊りも激しいし、青春とか熱さとか、そういういう言葉が似合う曲が多いので。新曲をライヴで披露するために、今も3人で振付を考えながらやっているんですけど、大変だけどすごく楽しいんです」
上田 「この間リハーサルを見させてもらって、僕の作った新曲に振付をつけてくれたのを見た時は、もう感激しましたよ。“これはすごい!”って」
濱田 「うれしい〜」
拡大表示
――今これを読んでいる方は、もちろんご存じだとは思いますが。ひょっとしてセイントフォーのパフォーマンスをまだ見たことがない方は、今すぐYouTubeをチェックしてください。すごいですよ。バク転、バク宙、側転、あのアクロバティックな動きは、もはや振付を超えてます。
鈴木 「私たちも、あらためてYouTubeを観ながら練習したりしてるんですけど(笑)。“こんなことやってたんだ、すごいね”みたいな」
――当時は、何も疑問に思わずやっていたんでしょうか(笑)。
岩間 「あの頃は本当に何もわからなくて、そういう環境でこういうふうにやるんだと言われたら、本当にみんな素直に一生懸命やってました」
濱田 「私、体育の成績が2だったんですよ。毎日命がけで、レッスンのたびに“今日は生きて帰れるだろうか……”と思ってました。あまりにも筋肉がなさすぎるから、私だけレッスンが終わったら、メンバーをおんぶしてスタジオを何周も回る補習授業があったんです。(板谷)祐三子をおんぶして、ずーっと」
鈴木 「今考えると、よく頑張ったよね。私と沙織は運動が好きだから苦にはならなかったけど、のり子は〈不思議Tokyoシンデレラ〉の間奏の、一番のメインのところで宙返りするじゃないですか。それをはらはらしながらファンの方が見ていて」
拡大表示拡大表示
岩間 「“やったぜのり子!”っていうコールがあるんですけど、できた時の力の入り方が違うもん。コール隊の人たちの(笑)」
濱田 「コンセプト変わってきてるよね(笑)」
鈴木 「私がのり子を持ち上げる役だったんですけど、たぶん沙織だったら2回転ぐらい行けたと思うんですよ。ばねがある人は、ちょっと持ち上げればひょいっと上がるんですけど、のり子は全体重が乗っかってくるので(笑)。全力で半分ぐらいまで持ち上げないと回転できなくて、そういう緊張感が見る人にも伝わるらしくて、YouTubeのコメントにも“悲壮感が漂ってる”って書かれたりして(笑)。確かにそうだよな〜って」
岩間 「でもその真剣さが、見てる人の心を打つんだろうし、そこを応援したいというファンの方が、今もずっといらっしゃるんだと思うんですね」
――間違いないです。
濱田 「私たちは全然何もないところから、マットを敷いて練習するところから始まっていて、すごくまっすぐだったし、それが今も変わらないんです。久しぶりに3人で会った時も、私が一番うれしかったのは、沙織も幸恵も、私が大好きな感じだったんです。いろいろ経験してきただろうけど、何も変わってなかった」
岩間 「あの時に吸収してきたすべてのものが糧になってるんです、今でも。デビュー前に2年間毎日レッスンして、あれだけ過酷な時間をみんなで共有して生きてきた中で、培ったものはやっぱり大きいんですよね。一番多感な時期に、それを集中して一生懸命やってこれたというのは、やっぱり宝物ですよね」
拡大表示拡大表示
濱田 「基本はそこだと思うんです。それは応援してくださるファンの方も一緒で、今回のライヴのチケットも、取れた人と取れなかった人の気持ちの差って、どれだけすごいものかと思うんですよ。電話を2台用意して、400回かけてくれた方もいるんですよ。それでやっとつながってチケットが取れた人と、僕はつながりませんでしたという方との差はすごいと思うんですけど、取れなかった人から“楽しんできてくださいね”っていう書き込みがあったりして、涙が出ちゃいました。取れた人も“来れない人のためにぜひ追加公演をやってください”って、私にメッセージをくれたりとか、そういうのがすごくありがたくて……(涙)」
――素晴らしいファンです。
濱田 「ファンの人の人間性がすごくいいんですよ。昔から、コンサートが終わったらきちっと片づけて帰るとか(笑)」
岩間 「昔のアイドルのファンって、いろんな子を応援していたんですけど、セイントフォーのファンの方は、私たち一途みたいなところがあるんですよね。それがすごくありがたいです。だから、そういうファンの方たちのためにも私たちは手を抜けないし、その思いを裏切っちゃいけないなと思います」
――これからの活動を本当に楽しみにしています。再始動ですから、ずっと続けていってもらえるんですよね?
濱田 「はい! 私は今日マネージャーに“次はこういうイベントをやりたい”と電話で言いましたし、再始動した以上は精力的にやっていきたいと思っています」
鈴木 「まずは6月17日のライヴをやって、今後のアイディアを出し合っていきたいですね」
岩間 「セイントフォーは昔から、汗をかいて一生懸命やっているイメージがあって、ファンの方もそれが好きで、待ち望んでいると思うんですよ。だから、けっこういい歳になってるんですけど(笑)、でも今の自分たちができる全力を出してやっていきたいなと思ってます」
濱田 「今回の再始動で、こんなにもたくさんの方が待ってくれていたんだなってあらためて感じたので。それに応えるためにも、精いっぱい頑張ります!」
取材・文 / 宮本英夫(2018年4月)
セイントフォー インストア・ライヴ
2018年6月3日(日)
東京 タワーレコード新宿店 7F イベントスペース
開演 12:00
出演: セイントフォー(岩間沙織 / 濱田のり子 / 鈴木幸恵)
ミニ・ライヴ + 特典お渡し&握手&サイン会

※イベント中は、いかなる機材においても録音/録画/撮影は禁止となっております。
※タワーレコード新宿店で『時の旅人』『コンプリート・コレクション1984-1986』いずれかをご購入いただくと、先着でイベント参加券&特典引換券を進呈いたします。
※タワーレコード オンラインの店舗予約サービスでも承っております。


オール・ジャンル 最新CDJ PUSH
 
※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。
[インタビュー] もう変わる必要はないし、これをずっとやっていけばいい “時代を逆走する”小林太郎の決意と信念[インタビュー] 原動力は愛、すべてのものへの愛――般若『話半分』
[インタビュー] 限りあるこの日々を追い続けよう――伝説のアイドル、セイントフォー再始動[インタビュー] “生き様が音楽に現れる。だからこそどう生きるかが重要”――デビュー30周年を迎えた寺井尚子
[インタビュー] “シンガー・ソングライターとして”前に進むための一歩、山森大輔『銀のピストル』[インタビュー] 踊Foot Worksみたいなヤツ、いなくない? 自由奔放な音楽の魅力が詰まった『odd foot works』
[インタビュー] 屈強でしなやかな東京のヒップホップ――KANDYTOWNのビートメイカー、MIKIがファースト・ソロ・アルバム『137』を発表[インタビュー] より肉体的なものへ――神奈川・逗子を拠点とするHalf Mile Beach Clubが初の単独作を発表
[インタビュー] “続編”ではなく“新作”を作ろう きゃりーぱみゅぱみゅ「きみのみかた」[インタビュー] “俺の不幸で踊ってくれ!”――沖縄出身のラッパー、唾奇が最新作『道-TAO-』をリリース
[特集] [LIVE Report] まっすぐな気持ちを届けてくれる藤田麻衣子の歌[インタビュー] 自分というジャンルをちゃんと作りたい “シンガー・ソングライター”Nao Kawamura初のフル・アルバム『Kvarda』
新譜情報
e-onkyo musicではじめる ハイカラ ハイレゾ生活
データ提供サービス
弊社サイトでは、CD、DVD、楽曲ダウンロード、グッズの販売は行っておりません。
JASRAC許諾番号:9009376005Y31015