活動開始から今年で19年目を迎えるTHA BLUE HERB(以下TBH)。彼らの存在を特別なものとしてきたのが、ラッパーのILL-BOSSTINO、ライヴDJを務めるDJ DYEによるライヴ・パフォーマンスだ。彼らの生き様すらも透けて見える凄み溢れるパフォーマンスは、ジャンルを越えて熱烈な支持を集めてきた。
このたびリリースされたDVD『ラッパーの一分』は、彼らの凄みを余すことなく詰め込んだ映像作品だ。ここに収められているのは、2015年12月30日、tha BOSS初のソロ・アルバム『IN THE NAME OF HIPHOP』リリース・ツアーの最終公演として東京・恵比寿リキッドルームで行われた伝説的な一夜。2時間45分、MCも含めてノンストップで収録されている。
――今回のDVDは昨年12月4日の宮城・仙台 enn 2ndを皮切りとする全12公演のツアーの最終公演を収めているわけですけど、ソロ作のリリース・ツアーということでBOSSさんのなかでは普段とは違う思いもあったんじゃないですか。
「TBHでもリリース後のツアーはやってきたわけですけど、今回の12公演に関しては『IN THE NAME OF HIPHOP』の曲を全曲やりたかったんです。実は今までのリリース・ツアーでもこういうことはやったことがなかったんですよ。ファイナルのLIQUIDROOM(東京・恵比寿)までの11公演の反応もよかった。全会場良かったし、テクニカルな面で言えばこっちも少しずつ上がってきてましたしね」
――今回の公演のいくつかのピークのひとつが後半、ゲストを迎えるパートですね。なかでもYOU THE ROCK★さんの登場場面。BOSSさんがかつてYOUさんをDISってきたことは会場中のみんなが知ってたわけで、特別なムードがありましたよね。
「正直作品としてはここを入れなくてもいいかと思ってたし、俺がYOU THE ROCK★の立場だったら絶対に“カットしてくれ”って言ってたと思う。でも、あいつは“あれが俺の生き様なんで、そのまま入れてくれ”って言ってきたんだよね。失敗や挫折を隠すこと自体に我慢ならなかったと思うんです。“YOU THE ROCK★、格好いいな”と思った。YOUはいろんな負けを経験しながらここまできてる。やつの姿を見て、負けを知ってる分だけ俺より強いかもしれないと確信しましたね」
「12月まではずっとライヴが入ってますね。それをまずやって……今のライヴ、結構いいと思いますよ。DVDに入ってるものからだいぶ研ぎ澄まされてきてると思うんで。あと、TBHもTHA BLUE HERB RECORDINGSも来年20周年なんで、何かできたらと思ってます。まだ何も決めてないけど、アイディアを練ってる状態ですね」