「Follow the Leader(s)」〜注目のアイドル・グループのリーダーに訊く“リーダー論”〜
取材・文/鈴木妄想
数多くのアイドル・グループがしのぎを削る昨今、そのグループごとの特徴、色、そして雰囲気をしっかり持っていることが非常に重要になっているように思われます。それぞれのグループを率いるリーダーのキャラクターはどのように作用しているのでしょうか。さまざまなグループのリーダーへのインタビューを通じて、各リーダーが持つ独特のリーダー論やキャラクター、そこから染み出してくるグループの色を見てみようというのが、今回の企画「Follow the Leader(s)」です。さてさて、どんなリーダー論が飛び出すか、乞うご期待。今回は、こちらのお二人にお話を聞いてみました。
前編 若きリーダーたち:山邊未夢(東京女子流)&中元すず香(さくら学院)
中元すず香
山邊未夢
今回取り上げるのは、日本のアイドル界、いや芸能界・ショウビズ界をこれから背負って立とうとする若きリーダーたち。まずは、12人のスーパー・レディを目指す美少女が集まった、成長期限定グループ、
さくら学院の中元すず香さんと、そしてパフォーマンスも楽曲もまさしく実力派として注目を浴びる5人組ダンス&ボーカル・グループ、
東京女子流の山邊未夢さんです。お二人が自分自身を、リーダーとして実感できる瞬間って、どんな時なんでしょうか? そして、普段はリーダーとしてどんな仕事をしているんでしょう?
中元すず香(以下、中元) 「MCですね。さくら学院が、各界の有名な方を講師にお迎えして、学校では教えてもらえない授業として行なっている<公開授業>(イベント)では、担任の森ハヤシ先生がいろいろとトークで助けてくれているんですが、さくら学院のライヴなど森先生がいないときのMCは、すー(中元の愛称)が仕切ってます。この夏たくさんのイベントが増えてきてから、ダンスの練習なども生徒会長として、だいたい、すーが仕切るようにしています。リーダーの実感はですね……そうですね、取材のインタビューとかで“メンバーのみなさん、じゃあどうですか?”って聞かれると、メンバーが私をぱっと見てくれるんです。そんなとき、メンバーのみんなが無言で頼ってくれてるなって感じています」
山邊未夢(以下、山邊) 「リーダーの仕事ですか? MCの順番を決めるときとかは、“決めるよー”ってみんなに言ったり。あと、スタッフさんからこっそり“リーダーだから未夢にだけ言うけど”って話をされたり。メンバーにはあとで伝えるんですけど、間違って伝えちゃうことも……。“あれーなんだったっけ?”って(笑)。実感するときは、自己紹介のときに、“リーダーの山邊未夢です”って言うじゃないですか。自分で名乗るとリーダーだって思います。他のときには、そんなに……(照れ笑い)。もともと引っ張る感じじゃなくて、みんなと遊ぶタイプだからかな?」
さくら学院
東京女子流
お二人に共通するリーダーの仕事、実は“MCの仕切り”でした。ただグループを引っ張るというよりも、その場をまとめる役割が期待されているということでしょうか。もちろん、どんな人でも、生まれながらにしてリーダーではありません。今回、話を伺ったお二人にしても、若くしてリーダーになったにせよ、リーダーになるにはさまざまな経緯があります。まずは、お二人がそれぞれのグループのリーダーになった経緯を伺ってみました。実は、このお二人、リーダーになった経緯も、その感想も、まるで正反対だったのです。
中元 「生徒(メンバー)と先生のみなさんの投票で決まりました。一番年上だったから、結構前からインタビューで、“次の生徒会長でしょ?”みたいに聞かれてたんです。でも、“すーで出来るのかな? もっと出来る子もいるのになぁ”ってずっと思ってました。今年5月に開催した<転入式>のとき、正式に発表されたんですけど、その日は他のことが全然集中できなくなっちゃって、ライヴでは堀内まり菜ちゃん(副会長)に助けてもらったりして……。“中元すず香!”って発表されたときホッとしました。あの感じは忘れられないです」
山邊 「初めてメンバーが集まったとき、スタッフさんに“リーダーね”って言われたんですよ! “うそー! わー! 自分が!?”って感じで……。だって、私そういうの苦手なんですよ! それまで、学校でも学級委員とか頑張って避けてきてたんです。なのに、いきなりリーダーって言われて、すっごいびっくりして! “え、ムリだ……”と思ったんですけど、反抗するわけにもいかないじゃないですか。“あぁ、はい”って答えました(笑)。あっさり決まっちゃったよって感じでした」
さくら学院
次のリーダーとなる責任をひしひしと感じ、いよいよ決定した中元さん、そして突然、思いも寄らぬ指名を受けた山邊さん、リーダーになる経緯が対照的な二人に共通するのは、リーダーとしての自分に疑問を感じ、苦しんでいたこと。うら若きアイドル・グループと言えど、いや、うら若き乙女のグループだからこそ、人の上に立つというのは楽なことじゃありません。二人とも、それぞれのプレッシャーを感じながらリーダーという役職を担っているようです。
中元 「生徒会長になるまでは、みんなと同じようにふつうのメンバーとして活動してたんですよ。前生徒会長の彩未ちゃん(武藤彩未)が卒業した後、5月の<転入式>で生徒会長が発表されるまで、リーダーはいなかったんです。彩未ちゃんが生徒会長のときは、ちゃんと、さくら学院らしい空気感を作ってたん です。休み時間はすっごく明るくて、お笑いみたいなことをしてメンバーを盛り上げたり、真剣に向き合うときはすごくしっかりとメンバーと向き合ったりできるし。当時、すーは、彩未ちゃんみたいにまとめられないし、どうしようって思ってました」
山邊 「(プロデューサーS竹氏の“リーダーやめようかって悩んだことあるよね”という問いに答えて)あー、ありました。サイン会移動のとき? 新幹線で名古屋に向かうときだったかも。その頃、家でお父さんとお母さんに怒られてたんですよ、リーダーらしくないって。“あんた、リーダーなんでしょ”っていつも言われて、すっごいへこんで……。親の考えているリーダー像と私が違ったみたいで、どうしたらいいか全然分かんなかったんです。“やだなぁ。今まで(リーダーとか)避けてきたのに……”って思ってました」
東京女子流
なかなか、リーダーとしての自分に自信が持てなかった彼女たち。若いリーダーである彼女たちを支え、救ったのはやはり周囲の存在でした。リーダーとは、人を引っ張る存在でありながら、人に支えられる存在なのかもしれません。
中元 「最初は、彩未ちゃんに、今度はすーなんだから、すーがまとめていけって言われていて、プレッシャーもありました。でも、正式にリーダーに決まって、“じゃあ、すーさんが決めて”って言われて、いろいろ決めていって。そのうちに、“彩未ちゃんみたいにならなくていいんだ、すーのやり方でいいんだ!”と思えたんです。卒業生の3人にも、今まであったことが伝わっていて、“すーが無理だったら私達が行こうか?”って言われていたんです。でも、“私がやります!”って、自分で頑張ってました。特にTIF(TOKYO IDLE FESTIVAL)で変わってきたかな……。練習も、ぎりぎりまでバラバラだったんですけど、話し合いの中で、メンバーみんなが“もっと言ってくれていいよ。優しすぎるよ”って。メンバーに遠慮してたんですけど、それから素直にガンガン言えるようになりました。最近は、みんな、無言で通じ合ってる感じになって、すごいなって思います。何ヵ月か経っていろんな経験をして、ようやく形になってきたかなと思います」
山邊 「S竹さんに相談したときには、“別にそのままでいいよ”って言われて……徐々に、ですかね? あ、下北FMの大蔵さん(下北FM代表兼DJの大蔵ともあき氏)に、話の振り方を教わったんです! MCのときとか、すっごい困ってたんですけど、話す時どうしたらいいか、教えてもらいました。自分なりに分かったのが、困ったときにはゆり(中江友梨)に振ること! ゆりならなんでも喋ってくれるんで……今日も、振ってしまいました(笑)。MCをしてても、一人だとどうしたらいいか分からなくなるんです。でも、ゆりに振ったら絶対答えてくれるし、事前にめい(庄司芽生)に一度聞いてみたり。みんながいてくれてよかったなぁ〜って思います」
さくら学院
「WONDERFUL JOURNEY」
東京女子流
2nd JAPAN TOUR 2012〜Limited addiction〜
CONCERT*03『Rock you!』
中元 「さくら学院のレコーディングでは、最初にお手本として歌をレコーディングするメンバーがいて、それを聴きながらみんなが歌をレコーディングをするんですけど、これまでは彩未ちゃんだったんです。今回の新曲<WONDERFUL JOURNEY>からは、私が最初に歌を入れました。あとで、“最初がすーさんでよかった”って言ってもらえてすごく嬉しかったですね。あと、<Song for Smiling>(初回盤カップリング曲)は、今の12人になって初めてのレコーディングで、すごく時間がかかったんですよ。そのとき、<夢に向かって>(メジャー・デビュー・シングル)の初レコーディングのときもそうだったのを思い出して……初心に戻れた、スタート地点だなって思いました。この秋に開催する<さくら学院祭☆2012>には、卒業生の3人も観にきてくれるらしいから、頑張らなきゃって思います。父兄(ファン)の皆さんに観ていただく舞台でもあるけれど、卒業生の皆さんに見てもらうのも大きいですね」
山邊 「(活動休止期間の)2ヵ月は、ダンスと歌のレッスンを本当にいっぱいしてました。個人的には音をしっかり聴くことを意識しています。ちょっと前に(歌に)入っちゃう癖があるんで。ダンスレッスンは2人と3人に分かれてやるんですけど、ゆりが指導的に言ってくれたり、課題曲の練習では、分かんないところをあぁちゃん(小西彩乃)に聞いたりして。みんな、困ったときに助けてくれるんですよ。あぁちゃんは包帯を持っていてくれるし、めいは話を聞いてくれるし、ゆりはMCで助けてくれるし、ひとみ(新井ひとみ)も、すごくしっかりしてて……みんな優しくて、女子流っていいなぁって思います」
では最後に、二人のリーダーに、こんな質問をぶつけてみました。“あなたのグループは、あなたにとってどんな存在ですか?”そして、返ってきた答えには、二人のキャラクター、そして二組の個性が強く現れているようです。
中元 「ホント普通ですけど、学校って感じです。以前は広島から通っていたから、学校に行けない日もあったんですよ。だから、さくら学院の方が本当の学校みたいに思っていました。公開授業も本当に勉強になるし、メンバー同士で遊ぶのもすごく楽しいんです。本当に学校にいるみたいで。だから、特に“元気にしよう!”とかは言ってないんですよ。練習ではしっかり言うけど、ライヴ前も“今日は楽しもう!”としか言わないです。これからは、転入生のメンバーの個性も出していきたいと思ってます。それぞれが自分を出すことで、父兄(お客さん)のみなさんが面白い一面を見つけてくれて……さくら学院を楽しいと思ってくれたらいいですね」
山邊 「女子流はみんなで助け合ってるグループなんです。だから家族だと思います。両親に言えないことも、メンバーには何でも言えるんですよ。だからみんな安心なんです。(グループ内の雰囲気が)怖いのってイヤじゃないですか? 背筋を伸ばしてないといけないから……。いつもカッコいい曲をやってるけど、素の女子流メンバーはヘラヘラしてます(笑)。あ、でも、まだちゃんとメンバーに言えないこともあるんですよ。"これを言ったら傷つくんじゃないかな"とか気にしちゃって。でも、これからは、言わなきゃいけないことは、言おうかなって思ってます」
学ぶ場である“学校”という言葉を選んだ中元さん、そして寄り添って支えあう“家族”という言葉を選んだ山邊さん、それぞれに、それぞれのグループへの強い思いが垣間見えました。リーダーとしても成長し続ける二人は、人間としてもさらにさらに大きく成長していくことでしょう。将来が楽しみとはこのことです。さて、「Follow the Leader(s)」今回はここまで。次回はどんなリーダーが登場するか、お楽しみに。
〈さくら学院祭☆2012〉【日時】10月27日(土)(1)17:00 / 17:30〜、10月28日(日)(1)13:00 / 13:30〜 (2)17:00 / 17:30〜
【会場】恵比寿ザ・ガーデンホール
【料金】全席指定 ¥3,900(税込)
《チケット一般発売》9月30日(日)10:00〜
《お問合せ》ディスクガレージ 050-5533-0888(平日12:00〜19:00)
※4歳以上要チケット・3歳以下は保護者同伴で保護者1名につき1名まで膝上観賞可。ただしお席が必要な場合はチケットをお買い求め下さい。
※座席は公演中座ったままでご鑑賞いただくお席となります。
※客席は後方部に設置致しますロールバックチェアー部のみ傾斜がついております。お子様やご高齢の方をお連れになってご来場を希望される場合、一度お電話にてご相談、ご連絡頂けますようお願い申し上げます。
■さくら学院 オフィシャル・サイト http://www.sakuragakuin.jp/〈TOKYO GIRLS' STYLE『LIVE AT BUDOKAN 2012』〉【日時】12月22日(土)17:00 / 18:00〜
【会場】日本武道館
【料金】全席指定 ¥5,800(税込)
《お問合せ》ソーゴー東京 03-3405-9999
■東京女子流 オフィシャル・サイト http://tokyogirlsstyle.jp/