Tomato n' Pine   2012/08/01掲載
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【1stアルバム・リリース記念 トマパイ5週連続企画第2弾】
YUIソロ・インタビュー
 Tomato n'Pineのオリジナル・メンバー、そしてリーダーとしてグループを牽引するYUI。同時に小池唯としては、女優として戦隊ドラマ『海賊戦隊ゴーカイジャー』では主要メンバー:ゴーカイ・ピンク(アイム・ド・ファミーユ)を演じ、また「日テレジェニック2009」に選出されたグラビア・アイドルとしてなど、多面的な活躍を見せる彼女。本稿のソロ・インタビューでは、“YUI”と“小池唯”の両方に迫ってみました。
(中学時代)夏休みは3日ぐらいしか休みがなくて他は全部、吹奏楽部の練習。
朝5時に学校行って、帰るのは夜の11時ってぐらい練習してました。
――いきなりですが、普段はどんな音楽を聴かれますか?
 「割となんでも聴くんですけど、バラードが多いですね。切ない曲だったり、失恋の曲だったり」
――そういう曲を聴く理由は?
 「なんか……聴いて(気分が)落ちるのが好きなんですよ。テンション上げるのに、一回落とさないとダメなタイプなんで、そういう曲を聴いて下げて下げて下げて……上げる!みたいな(笑)。テンションの上がる曲を聴くと、その後は落ちていっちゃうんで」
――なんでテンションが落ちちゃうんですか?
 「なんか……いろいろ思い出して(笑)。“あー、高校生とか中学生に戻りたいな”とか」
――けっこう後ろ向きなんですね(笑)。
 「高校まではそんなことなかったんですけど、高校卒業してから昔のことをよく考えるようになっちゃって」
――ということは、学生時代がすごく楽しかったんですね。
 「楽しかったですね。何にも考えないでワイワイできてたから。そのぶん今は考えることも多いし、こういう(不安定な)仕事だから……手に職つけた方がいいかなとか(笑)」
――いきなり先を見過ぎな気も(笑)。
 「私、現実的なんで(笑)」
――ちなみに中学の頃は吹奏楽部だったんですよね。
 「そうです。中学の3年間は吹奏楽部に入ってて。その中で私は楽器じゃなくて、カラーガードっていうパートにいて」
――マーチング・バンドで旗を振ったり、動きで魅せるパートですね。
 「マーチングに力を入れてる学校で、全国優勝を何度もしてる強豪校だったんです。だから学年の半分ぐらいが吹奏楽部に入る人気の部活で、友達がみんな吹奏楽部に入ったから“じゃあ私も”って。でも本当に厳しくて、学年の半分が入っても結局残るのは3分の1ぐらい。カラーガードもオーディションだったんですけど、最初は30〜40人が受かって、そこからさらに12人に絞られて、でも半年後には6人しか残らなくて」
――相当厳しかったんですね。
 「練習も先輩も厳しいし、夏休みは3日ぐらいしか休みがなくて他は全部、練習。朝5時に学校行って、帰るのは夜の11時ってぐらい練習してましたね」
――ひえー。
 「ハードすぎて私も一時は辞めたいってすっごく思ってたんだけど、辞めると学校行けなくなるんですよ、先輩が怖くて。だから“なんで入っちゃったんだろう……”って、ちょっぴり後悔しながらも必死でやってましたね(笑)。でも、大会に出るとやっぱり気持ちいいんですよね。演じててもそうだし、それで賞が取れたりするとやっぱり嬉しくて」
――じゃあ、3年生までしっかりやったんですね。
 「……でもなくて、やっぱり3年になるとだらけちゃうんですよ。先輩もいなくなったから辞める人も増えるし、私も部活サボって遊びにいっちゃって先生に呼び出されたり(笑)。でも尊敬してた先生に引き留められて、結局辞めずに最後までやりましたね。今から考えると辞めないで良かったなって。お父さんも“お前は辞めてたら不良になってたな”って(笑)」
――カラーガードはマーチング・バンドの花形だと思うんですが、そういう“注目される”であったりには興味がありました?
 「いや〜苦手でしたね。すごく人見知りが激しいし、人前に出るのも苦手で。でも、衣装も可愛いし動きも素敵だし、どうせやるんなら花形をやってみたいなって。みんなの前で笑顔を作るのは楽しかったし、それは今と繋がってるなって思いますね」
――芸能のお仕事はもう中学の頃には初めてたんですよね。
 「小学校の頃には事務所に入ってたんですけど、入るだけで何もしてなかったですね。中学の頃も、部活が忙しすぎてほとんど何もできなくて」
――それだけ忙しいとお仕事する時間はないですね。
 「だって、休むと先輩が家まで来るんですもん(笑)。だから中学の頃はやらなくて、高校に入ってからお芝居だったりの仕事を始めて」
人前で歌うこととか、苦手だと思っていたことを乗り越えると度胸も付くし、
気持ちの部分でも成長しますね。
――そして、2009年に18歳でTomato n'Pineを結成されるわけですが。
 「でも人前で歌うのが苦手で。音楽の授業でみんなの前で発表しなきゃいけないときとか、学校休むぐらい(笑)。そういう場に立つと緊張しちゃうんですよね。だから“私で大丈夫かな?”とか思ったんですけど、歌も“(DTM)技術でなんとかなるから”って言われたんで、“じゃ、いいかな”って(笑)」
――でも一人でカラオケに行くぐらい、歌をうたうのはお好きなんですよね。
 「人前がダメなんです。一人だと“今日はaikoさん、今日はいきものがかりさん、今日は浜崎あゆみさん”とか、日によってテーマを作って歌ったりするし、ストレス発散になるから好きなんですけど。友達とカラオケに行っても、私は絶対に歌いません!」
――でも「トマパイの曲歌ってよ」とか言われるでしょ?
 「言われます。そんなときはみんなの飲み物を注いだり、盛り上げたり、逆に“これ歌って”とか言って逃げるんです(笑)」
――いろんな技を駆使して。
 「(眉間にしわを寄せて)“今ちょっと調子悪い”とかも使います(笑)」
――それって“恥ずかしい”って気持ちなんですか?
 「恥ずかしいし、自分の歌をあんまり友達に聴かれたくない。友達に見られてると気にしちゃって気持ちよく歌えないんですよ」
――でもトマパイのときは大丈夫なんですか?
 「緊張しますよ〜(笑)。でも、友達とかの前よりは緊張しませんね。歌った後に何か言われるわけじゃないから。“今の歌がどうだった”みたいなやりとりが苦手なんですよね」
――話は変わりますが、トマパイでの活動と『ゴーカイジャー』みたいな演技のお仕事で、心持ちって変わったりします?
 「違いますね、全然。私はもともと演技がやりたいって気持ちがあって。それにトマパイは人前で歌うとか苦手な部分があるし、苦手って思ってるぶん、ちょっぴり億劫な気持ちも出ちゃったりして」
――億劫……トマパイ・ファンに戦慄が走りました(笑)。
 「アハハ。最近は楽しくなってきたんですけど。人前で歌うこととか、苦手だと思っていたことを乗り越えると度胸も付くし、気持ちの部分でも成長しますね。それはなかなかできない経験だし、その経験がどこかに繋がるなって」
――僕も<PS2U>は楽しみに拝見させてもらってますが、ライヴがちょっと億劫だったとは(笑)。
 「今はそんなことないです(笑)。<PS2U>はホントに楽しいんですよ! クラブでやると音がしっかり出るから、トマパイの曲がちゃんと映えるじゃないですか。だから私達も気分が上がるし、お客さんも乗ってくれるから、ホントに楽しいですね。でも、インストアは、いまだにちょっと苦手で。知らない人もいっぱいいるし、チラっと見て通り過ぎられちゃうのがホントに苦手で。“通り過ぎたあと、なんか言われてるのかな……”とか」
――被害妄想(笑)。
 「それで緊張しちゃう(笑)。だから、クラブだとこう(手を振り回すゼスチャー)だけど、インストアだとこう(マイクを両手で握り縮こまるポーズ)なります(笑)」
――YUIさんは相当気にしいなんですね。
 「私、すっごく気にしいなんですよ、意外と。ぱっと見、“あんまり気にしてなさそうだよね”とか言われるんですけど、ホントはすごく気にしちゃうから、人が多いところだと静かになっちゃうんです」
――それは『ゴーカイジャー』で演じたアイムのおっとりキャラと通じますね。
 「いや〜、そうでもないのかな〜。似てるのはおっちょこちょいなトコだったり。私すっごいおっちょこちょいで、いつもなんかやっちゃうんですよね」
――物を壊しがちなタイプ?
 「それもそうだし、衣装になんかこぼしちゃったり(笑)。そういう部分は似てるってよく言われました。でも、性格的にはルカ・ミルフィ(ゴーカイ・イエロー)の方が似てるって言われましたね」
――じゃあ、割とさばさばした感じで。
 「男っぽいところがあるって言われます。だから地元の友達にはアイムの演技を見て“あんなに静かにできるんだね”って言われました(笑)。ゴーカイジャーのみんなにも“楽屋であんなに喋ってるアイムが、本番で静かにできるのか心配だった”って言われて」
MCで話があっちこっちに行っちゃうんで、それを軌道修正したり。
ツッコミながら二人の良いところを引きだそうっていうのは考えてますね。
――では、トマパイでの自分の役割って何だと思いますか?
 「カバーなのかな。ライヴだとHINAちゃんはインフォメーションを、WADAちゃんは盛り上げたりオチ担当みたいな部分があるんですけど、私はそれをまとめたりフォローする役割なのかなって。結構、MCで話があっちこっちに行っちゃうんで、それを軌道修正したり。ライヴのときはそうですね。あと、ツッコミ役かも知れないですね。ツッコミながら二人の良いところを引きだそうっていうのは考えてますね」
――トマパイだからできることって何だと思いますか?
 「クラブ・イベントとかはそうかも知れないですね。かつ、アイドルだけじゃなくて、バンドさんやシンガーさん、ラッパーさんとか、いろんな組み合わせでやらせてもらったり」
――ラッパーのZEN-LA-ROCKくんが<PS2U>に出たときに「あんなに盛り上がってくれるとは思わなかった」って言ってたんだけど、たしかにほとんどの人はトマパイやアイドルを観にきてるはずなのに、そうじゃないアクトのライヴでもちゃんと聴いて盛り上がってますよね。それはホントに素晴らしいなって。
 「トマパイのファンは誰が来ても受け入れてくれるし、盛り上がってくれるし、それも含めて、優しいファンに恵まれて幸せなんだなって思いますね」
――<PS2U>をやってる意味はYUIさんとしても大きい?
 「大きいです。<PS2U>で“ライヴってこんなに楽しいんだ”って知ったんですよ。だから毎月やってて面白いし、いろんな出演者さんを観て勉強にもなるし。いつも私達が最後なんで、そこまで他の出演者さんが温めてくれた雰囲気の中で、ステージに出たときの声援や盛り上がりは本当に気持ちが良くて」
――もう、前の方の人達は温まりすぎてちょっとグッタリしてたりしますよね(笑)。
 「それを私達がもう一回たたき起こすっていう(笑)。でも、それも含めて、最後までやりきった感を感じられるのがホントに気持ち良いですね」
――では、最後にトマパイの目標は?
 「近々の目標だと、ワンマン・ライヴとか全国でクラブ・ツアーとかやってみたいですね。もっと大きな目標だと……個々の活動とトマパイを両立させて、両方で知ってもらえる存在になりたいですね」
――トマパイのYUIとしても、女優の小池唯としても。
 「そうですそうです。メンバーは個人としての活動プラス、トマパイってスタンスだから、それはみんな思ってると思うんですよね。両方見て、どっちも良いねとか、こういう側面もあるんだとか、いろんな面で好きになってもらえたら嬉しいですね」
取材・文/高木“JET”晋一郎(2012年7月)
撮影/相澤心也
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