Tomato n' Pine   2012/08/15掲載
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【1stアルバム・リリース記念 トマパイ5週連続企画第4弾】
HINAソロ・インタビュー
 Tomato n' Pineのクール・ビューティーなHINAこと草野日菜子。アイドル・グループの中でも異色な雰囲気のあるトマパイだが、その3人の中でもひと際、大人っぽくキリッとして見える彼女。そんなアイドル然としてないところが、またHINAの魅力でもありナゾ感を高めるところでもある。しかも、ハードロック、ヘヴィメタル好きというのだから意外性たっぷり。果たして彼女はどのようなパーソナリティを秘めているのか? 素顔のHINAにグイッと迫ろう!
中学は真面目な子かヤンキ−しかいないって感じだったんですけど、
私はどっちにも行きすぎず中間って感じで(笑)。
――HINAさんは、小さい頃どんな子だったんですか?
 「意外と活発な子だったんです。そう見られないんですけど(笑)。一輪車に乗ったり、アドベンチャー・クラブに入って外でザリガニを採ったりしてました。実家が栃木の田舎だったんで、小学校低学年は外で遊んでましたね。あとスポーツも得意で、中学のときは軟式テニス部に入ってたんです。大会に出るぞっていうよりも、普通に部活動って感じだったんですけど」
――インドアな印象があったので結構意外です。友だちは多かった方ですか。
 「ハイ。よく“永世中立だね”って言われてました(笑)。“クラスで 2人組を作りなさい”ってときとか誰とでも組めちゃう感じでしたね」
――ヤンキーっぽい子から大人しい子とも普通に接することができたと。
 「そうです。中学は真面目な子かヤンキ−しかいないって感じだったんですけど、私はどっちにも行きすぎず中間って感じで(笑)。すごい仲良かった子がヤンキー寄りで、でも私のことを巻き込んだりはしなかったですね。学校にいるときはいつも一緒にいました。なぜか私のとこに来てくれてたんです(笑)」
――面白いですね。中間って意味では、今のトマパイのポジションと近いような?
 「あー、近いですね」
――“永世中立”感はしますね。では、好きだった音楽の話を聞かせてください。
 「私、2人姉妹なんですけど、音楽はお姉ちゃんからの影響が強いですね。小さい頃はJ-POPが好きで、当時は小室ファミリーがすごくて、家でglobeさん、TRFさんとかずっと流れてました。あと、『ウリナリ!!』が流行ってたときで、ポケットビスケッツブラックビスケッツとか聴いて、学校で<タイミング>を踊ってました(笑)。あと椎名林檎さんとか、t.A.T.u.がすごい流行ってて。ジュリアちゃんが好きで『Mステ』出るの楽しみにテレビの前で待ってたんですけど、出なかったショックが大きくて。それは今でも覚えてます」
――懐かしい! 幼いHINAさんにトラウマを植え付けるとは、イカンですよt.A.T.u.(笑)。ちなみに最初に買ったCDは何ですか。
 「『ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』という映画のエンディング・テーマで、小林幸子さんが歌ってた<風といっしょに>のシングルです。小2のとき、ポケモンがすごく流行ってたんです」
――小林幸子さんが最初だったとは(笑)。
 「曲がすごくよかったんです。アニメもすごく好きでした。『HUNTERxHUNTER』が大好きで、声優さんが出てたミュージカルを観にいったんですよ。そのとき歌や演技を初めて観て、刺激を受けたのかなって」
――現在の自分に繋がる体験をしたと。
 「そうかもしれないです。あと、中1のときから洋楽が好きになったんです。『ミュージック・ステーション』でアヴリル・ラヴィーンを観てカッコよくて、初めてアルバムを買いました。そこからブリトニー・スピアーズとかを聴くようになっていったんです。お母さんから“英語もできないのになんで洋楽ばっか聴いてるの?”って言われてたけど、逆に言葉が分からないぶん、メロディや雰囲気で落ちついて聴けました。どんどん洋楽にハマってしまって、中学のときはテレビでやってた『ビルボードTOP100』を毎週観て、上位の人をチェックしてアルバムを買ったりしてました。エミネム『アンコール』は友達もみんな聴いてましたね」
――映画『8 Mile』も観たり?
 「観ました。生きざまとか本を読んですごいなって」
――アーティスト本も読んでたんですか。
 「すごい読んでました。でも、全部買うとお小遣いがなくなるんで、立ち読みしたりして(笑)」
――ほんと洋楽どっぷりだったんですね。特に好きだったアーティストは誰でした?
 「ブラック・アイド・ピーズですね。ファーギーが可愛くて、ファッションとか、ふたつしばりの髪型を真似してました(笑)。武道館のライヴもお姉ちゃんに誘われて行ったんです。1階席の1番前で観たんですけど、お客さんがノルと客席が揺れるのがすごいなと思って。そのとき初めて、音楽はみんなをひとつにしてくれるものなんだなって実感したんです。それが15歳、中学の終わりでした」
(芸能関係の仕事を志したのは)すごく平凡なコだったんで、
自分を変えたいという気持ちがあったんです。
――歌手や芸能関係の仕事をしたいと思ったのはいつ頃ですか?
 「音楽は好きだったけど、自分がやるとか思ってなくて。まさかできるとも思ってなかったです。なかなかこういうお仕事ってできるわけじゃないし。18歳くらいですかね、興味をもったのは」
――結構遅めだったんですね。どんなきっかけがあったんですか。
 「自分を変えたいという気持ちがすごくあったんです。すごく平凡なコだったんですよ。みんなからよく“HINAなら任せられる”って言われていて。先生にも“ここの掃除やっといてね”とか言われたり、掃除の班長とかは結構推されてました(笑)。決められたものはきちんとこなさないと嫌なタイプなんです。言われたこともできないようじゃ成長できないなって」
――責任感が強いんですね。
 「それはありますね。任せられたことを中途半端にやると、あとあと自分が気持ち悪くなっちゃって。しっかりやらないと気が済まないっていうのはあります。燃えますね(笑)」
――(笑)。芸能の世界に対して、ご両親から反対されたりしませんでしたか。
 「親も、“やりながら何か変われたらいいね”って言ってくれたんです。小さいときは心配性だったんですけど、中学の頃から“好きなことやりなさい”って言ってくれるようになって」
――親からも任されてたと(笑)。
 「意外とそうですね」
――で、2008年から、映画や舞台で活動していくわけですね。
 「グラビアのお仕事を1回くらいやってから、今の事務所に入って演技をやっていくようになったんです。2年前にトマパイに入ってからは、トマパイ優先で活動するようになりました」
――舞台での演技はどうでした?
 「最初は難しかったですね。台本を読んで気持ちで理解していても、いざ演じてみると台詞が棒読みになっちゃったり。難しくてすごく落ち込んだ時期もあります。落ち込んだときに自分を元気づけてくれたのが音楽だったんです」
――自分を助けてくれる音楽を、トマパイに入って今度は自分から発信する立場になったわけですが。
 「ハイ。でも最初は本当に全然ダメでした(笑)。最初のお披露目ライヴは手とか震えちゃって、こんなに緊張するものなんだなって」
――舞台とも違ったと。
 「そうですね。舞台も緊張したけど、お芝居って毎日稽古を積んでかっちり作り上げていくものだから。ライヴはステージに出てみないと分からないんですよ。舞台だと、お客さんも声を発さないで観るし、集中すれば自分の役の世界に入れるんです。ライヴだと、いくら練習しても、お客さんの歓声や雰囲気ってそのときどきで変わるじゃないですか」
――確かに。歌っててもMCしてても、ファンの声は飛んできますもんね。
 「それに最初慣れてなかったんです。みなさんが応援してくれてるのに、その声にガチッと固まっちゃったりして(笑)。今はそういうのもなくなって、声を聞くと嬉しいし元気を貰えます」
――最近のライヴは、3人でのパフォーマンスもすごくしっかりしてきましたよね。さて、音楽の話に戻りますが、HINAさんは、ハードロック、ヘヴィメタル好きなんですよね?
 「ハイ。大好きです!」
――22歳だと、同世代で、そういう音楽を好きな人ってあんまりいないんじゃないですか?
 「いないですね。でも、好きって言ってたら、だんだん友だちが“実は私も聴くんだ”って言ってくれるようになったり」
――HINAさんきっかけでメタル・カミングアウトがあると(笑)。 いつからメタルにハマったんですか?
 「トマパイに入ってからです」
――なんと、トマパイ以降だったとは。
 「トマパイに入る前は、仕事でいっぱいいっぱいで、ちょっと音楽が途絶えぎみだったんです。それでトマパイに入って、いろいろ音楽を聴いてみようと思ったんですね。私、トマパイに入ってから東京に出てきたんですよ。レディー・ガガのCDを買いに中野ブロードウェイに行ったら、ガガがメタルのコーナーにしかなくて、他のを見てたら気になるジャケットがいっぱいあって。結構、綺麗じゃないですか、シンフォニック・メタルのジャケとか」
――いきなりシンフォニック・メタルですか(笑)。
 「そっち系も大好きです。エリスってグループの女性のヴォーカルが聴いてて綺麗な声だなって。最初、うるさいものかと思ってたら、全然いい曲だなって」
――音は激しいけど、ヴォーカルは綺麗ですよね。
 「はい。そのよさが分かってきたんです(笑)。
――つまり、ハードロック、メタルは、人の影響より自分の興味で入っていったと。
 「ですね。未知の世界ものって、いろいろ聴いてみたくなっちゃうんです。最近だと、エアロスミスの<ミス・ア・シング>とか毎日聴いてます。エアロスミスの東京ドーム公演に行けなくて残念だったんですけど、その日ちょうど用事でドーム前に行くことになって、ドームの音漏れを聴いてました(笑)」
――(笑)。じゃあ、メタルの中のジャンルもいろいろ聴いてしまう?
 「そうですね。ハノイ・ロックスはお姉ちゃんが好きだったんです。<ファッション>って曲があるんですけど、それがすごく好きで。あと、ハノイ・ロックスってフィンランド出身のバンドですよね。私、フィンランドの家具とか可愛くて大好きで。フィンランドという国が好きなんです」
『BURRN!』買ってます。“ギャルメタラー参上”ってコーナーがあって、
仲間だと思って面白くて読んでます(笑)。
――フィンランドってだけで惹かれてしまうんですね。あとはどんなの聴いてます?
 「ガンズ・アンド・ローゼズとかも聴きますし、アイアン・メイデンハロウィン。ハロウィンは<ミセス・ゴッド>が好きで、トマパイのラジオでもかけました(笑)。メタリカも好きです」
――ゴツゴツなのも全然いけるんですね。
 「ハイ。聴いてくとどんどんハマって、次々いっちゃうんですよね。でも、ここら辺のメタルって、大体どのくらいの世代の人が聴いているんですか?」
――40代、30代後半くらいが中心じゃないですか(笑)。
 「そうなんですか。でも全然、古臭く聴こえないし、飽きないですよね。探り探りでいろいろ聴いちゃいます。モトリー・クルーは<ガールズ・ガールズ・ガールズ><スモーキン・イン・ザ・ボーイズ・ルーム>も好きです。ニッキー・シックスがカッコいいです(笑)」
――ほんとに22歳ですか(笑)。
 「そうです(笑)。もちろん最近のJ-POPも聴いてますよ。加藤ミリヤさんやYUKIさんも大好きだし。でも、音楽の話をすると、そっち系に反応される方が多くて(笑)」
――オトナが寄ってきますよ、確実に(笑)。
 「そうですね。私は知ったばっかりなんですけど、皆さんすごく詳しくて」
 「(食い気味に)チルボドはアレキシ・ライホがカッコいいです! アーク・エネミーは最初に聴いたとき、ヴォーカルが男性か女性か分からなくてビックリしたんです。ドラゴンフォースはギターがすごく速くてカッコいいですよね!」
――完全に『BURRN!』『LOUD PARK』の人じゃないですか(笑)。
 「『BURRN!』買ってます。“ギャルメタラー参上”ってコーナーがあって、仲間だと思って面白くて読んでます。『LOUD PARK』は行ったことないんですけど、ぜひ行ってみたいですね。みんながモッシュやってるのを観るのも好きなんです。もし自分があの中に入ったら巻き込まれちゃうなーって想像したり(笑)。……そういえばチルボドもフィンランドのバンドですよね」
――やっぱりそこですか(笑)。フィンランド好きは、何がきっかけだったんですか。
 「中学のときに、『ヘイフラワーとキルトシュー』という映画を観たんです。小さい女の子が主役の映画なんですけど、そのときに家具とか可愛いなと思って。そこで惹かれたんです。全然メタルと関係ないんですけどね(笑)。すごく可愛らしい映画なんです。なんか私、好きになるものが、すごく離れてるんですよ。すごく可愛いものか、すごく激しいもので、中間があんまりなくて(笑)。好きな男性のタイプを聞かれても“ギャップのある人”って答えます。見てくれはゴツいのに、子犬を可愛がってたりとか」
――HINAさんは、ギャップ萌えタイプだと(笑)。ちなみに趣味にギターとありますが、結構弾けるんですか。
 「ギターは、ディープ・パープルの♪ジャジャジャ〜だけ弾けます(笑)」
――「スモーク・オン・ザ・ウォーター」のリフのみ弾けると(笑)。
 「ハイ。でも、大家さんが厳しくて、最近、全然練習できないんですよね」
――じゃあいつか練習して、トマパイのライヴでギター・ソロを弾きまくってください! トマパイの話に戻って、3人の中での自分の立ち位置というのは?
 「初期からIT担当で、ツイッターとか任されてるんですけど、情報が分かったらすぐに出したいという気持ちはあります。ライヴでの告知MCとかも任されてるので、そこはちゃんとやらないとなって思ってます」
――任せられたものは確実にやるという姿勢は、昔からずっと変わらずなんですね。個人的に今後どうなりたいとか目標ありますか。
 「まだ、ライヴで緊張しちゃうので、まずはそれを直したいですね。自分のことで精いっぱいになることが多いし。ほどよい緊張感は持ちつつ、ちゃんと回りを見て、もっとライヴでお客さんを楽しませることができたらいいなと思います」
取材・文/土屋恵介(2012年7月)
撮影/相澤心也
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