【2006年回顧録】〜vol.1 旅立ったアーティストたち

2006/12/25掲載
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政治経済、スポーツ、エンタテインメント……。今年も色々ありました“2006年”。姿勢正しく新年を迎える前に、その偉大なる足跡を振り返っておくべき、音楽/映像界の偉大なるアーティストをピックアップ。安らかな眠りを祈るとともに、その功績を称えましょう。
“5人目のビートルズ”ビリー・プレストン死去

ザ・ビートルズの“新作”『LOVE』のリリースに世界が沸いた2006年。プロデューサーであるジョージ・マーティンとその息子のジャイルズが、楽曲を各パートのトラックごとに解体し、再構築。しばし音楽から遠ざかっていたオールド・ファンまでも、その調べに心を躍らせました(『LOVE』徹底ガイドは、CDジャーナル 2006年12月号2007年01月号に掲載)。そのビートルズとの交流も深く“5人目のビートルズ”なる異名をとった、ビリー・プレストンが6月6日に死去(享年59歳)。ローリング・ストーンズレイ・チャールズエリック・クラプトンとの共演をはじめ、ソロ・シンガーとしても類稀なる才能を発揮するなど、70'sを代表するミュージシャンとしての偉業は今も輝いております。



『ウルトラ・シリーズ』『帝都物語』で知られる実相寺昭雄監督が死去

イジリー岡田黒田アーサーつぶやきシロージーコ内山といったカタカナ・タレントに負けじと、原作者・筒井康隆も出演するなど、パロディ映画の金字塔となった『日本以外全部沈没』。同じく監督・河崎実による『いかレスラー』『ヅラ刑事』など爆笑スペクタクル大作の監修から、不朽の名作ウルトラ・シリーズ、そして『無常』『あさき夢みし』『悪徳の栄え』といったロマン&エロティシズム、振り幅広くも確実にある一点を突いてくる名作を数多く残した映画監督・実相寺昭雄が11月29日、死去(享年69歳)。遺作となったリメイク版『シルバー假面』の特別先行レイトショーが先日よりスタート(12/23〜1/12、渋谷ユーロスペースにて)。鋭くも生々しいその切り口、ぜひ劇場で拝見致しましょう。



元ピンク・フロイドのシド・バレット、死去

プログレッシヴ・ロックの代名詞ともいえるピンク・フロイドの結成メンバー、シド・バレットが7月7日、自宅にて死去(享年60歳)。その端正なルックスと天才的なサウンド・メイキング、ピンク・フロイドを世界的バンドへと導いた彼。精神崩壊でほぼ解雇という状態でバンドを脱退した後、ソロ・アルバム『帽子が笑う…不気味に』『その名はバレット』を発表するも、表舞台からその姿は消え、“伝説的”な存在としてファンに語り/聴き継がれるのみとなっていました。あまりにも短く、そしてあまりにも鮮烈な音楽活動、その刹那な存在感を信奉するアーティストの数はかなりのもの。「穏やかに亡くなった」という言葉を頼りに、ディスコグラフィを聴き直しましょう。



ポイズン・アイディアのメンバー、“Pig Champion”が逝去

2004年12月の初来日公演に息せき切って駆けつけたUSハードコア・ファンにはお馴染み、重量級の猪突猛進ハードコア・バンド“ポイズン・アイディア”のオリジナル・メンバー、トーマス・ロバーツ(ギター)が1月30日に死去(享年47歳)。“Pig Champion”なるニックネームでもお分かりの通り、人並外れた体格がやはり災いしたのでしょうか……。ブ厚く響き渡る渾身のギター・リフ、そこへ共鳴するバンド・サウンド、常に危険なアートワーク、彼の遺作となった『LATEST WILL AND TESTAMENT』(アナログ盤ジャケットはPUSHEADが担当)を聴いた後は、映画『AMERICAN HARDCORE』を観てさらに見聞を広めましょう。



●映画『ニュー・シネマ・パラダイス』の名優フィリップ・ノワレ、死去

ジュゼッペ・トルナトーレによる、アカデミー外国語映画賞受賞作『ニュー・シネマ・パラダイス』。物語の大きな軸となる映写技師・アルフレード役を見事に演じていたフランス人俳優、フィリップ・ノワレが11月23日に死去(享年76歳)。ヌーヴェルヴァーグの旗手であるルイ・マル『地下鉄のザジ』にて一躍脚光を集め、喜劇俳優マッシモ・トロイージがその力のすべてを注ぎ完成へと至った『イル・ポスティーノ』(夭折の歌手、カルロス・ガルデルが歌う「マドレセルバ」なども収録されたサントラに涙!)など大作に出演。フランスの至宝ともいえるその演技力に多くの映画ファンが魅了されました。



●女優の岸田今日子、逝去

『血を吸う』シリーズをはじめ、『太陽戦隊サンバルカン』嵐山長官、そして『ウルトラマンA』ナレーションなど、特撮ファンにも思い出深い故・岸田森の従姉妹であり、アニメ『ムーミン』の声で知られた女優、岸田今日子が11月17日に死去(享年76歳)。『とんねるずのみなさんのおかげです』の名コーナー“保毛尾田保毛男”シリーズ、盟友・富士真奈美吉行和子との旅番組、舞台/映画/ドラマでの背筋も凍る演技とは対極の心地良きユーモア感覚も持ち合わせたそのスタンス、素晴らしいの一言。今も語り継がれる名作『世にも奇妙な物語』「闇の精霊たち」(2006年裏流行語大賞「ガチンコすぎるわよ!!」を発した岡本夏生も出演)でのトラウマを引きずる方も多いのでは。



“ファンクの帝王”ジェイムス・ブラウン、逝去

クリスマス・ムードに沸く12月25日、“ファンクの帝王”“ゴッドファーザー・オブ・ソウル”“ミスター・ダイナマイト”“The Hardest Working Man in Showbiz”……その称号の多さからも偉大なる足跡がうかがえる、“JB”こと、ジェイムス・ブラウンが死去(享年73歳)。現在のシーンを彩る全てのサウンドに対し、その影響力を与えているであろうエンターテイナー・スピリッツ。「Get Up (Sex Machine)」(ミソっぱ!)の即効性にやられたディスコ世代の貴方は、足を向けて寝られないはず。来年2月公開のジェイミー・フォックス/ビヨンセ主演映画『ドリームガールズ』では、彼をモデルにしたジェームス“サンダー”アーリー(演じるはエディ・マーフィ!)なる役も登場するなど、リスペクトを表明するアーティストは後を絶ちません。
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