爽快な季節に、植村花菜の心地いい楽曲を! 7色のシチュエーションの“春”が詰まった新作『春の空』

植村花菜   2009/03/19掲載
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 2005年のメジャー・デビュー以来、東京を拠点にして3枚のアルバムを発表した植村花菜が、2月に出身地でもある関西限定で両A面シングル「BLESS/春にして君を想う」を発表。原点に立ち返る意味も込められたこのリリースにともない、いま、関西地方で植村花菜に大きな注目が集まっている。テレビCM、FM局のヘヴィ・ローテーションなどもさることながら、関西地区で大人気の番組「ちちんぷいぷい」の生出演で彼女は「BLESS」を歌い、その歌の力によって驚異的な視聴率を獲得したという。そして、その話題の曲も含む7曲が収録されたミニ・アルバム『春の空』が3月25日にリリース決定! 本作について彼女に話を訊いた。




 「地元をもっと盛り上げていきたいなという意識があって、関西限定のシングルを出すことになったんです。地元には思い出がいっぱいあるので、初心にも帰れる場所です。ストリートでやった場所とかもよく通るので、そのたびにここでやってたなとか、音楽をやり始めたときのことを思い出せたりする、そんな場所ですね」
 そんな関西でのブレイクを全国に広げようと、3月25日にはミニ・アルバム『春の空』がリリースされる。先行して関西地方を賑わせた楽曲「BLESS」「春にして君を想う」「ありがと。」や、昨年リリースされ「ライヴでも盛り上がる曲」と本人も言うシングル曲「シャララ」など、幸福な気持ちになれる明るい曲から、哲学的な名曲といえるバラードまで、7つのシチュエーションの“春”を想起させる曲が収録されている。
 「前作『愛と太陽』からは一年と数ヵ月経っているので、環境が変わったりとか、自分の心情の変化とかもあったんです。だから、今までとは違う一面を見つけられたかなと思います。アルバムのタイトルは春をかなり意識しました。春ってすごく気持ちいい時期じゃないですか。とくにわくわくする季節で。私はもともと空が好きでよく見上げることがあるんですけど、たくさんの人がいろんな希望を持って、空を見上げることが多いんじゃないかと思って。出会いも別れも空で繋がっているという」


 楽曲の中で特筆すべきは、今までの彼女の作品にはなかったテーマやサウンド面の変化だ。これまで以上に個性を放つサウンドが印象的で、詞の内容もより深みが増している。
 「〈ダーリン〉は遠距離の相手を想う曲ですね。ただ距離が離れているのではなく、近くにいるんだけど、忙しくて会えないという場面もあるかもしれませんね。詞は切ないけど温かい。離れていても変わらない強い心というのを描きたいなと。これはライヴを意識して、ロックっぽい曲になりました。〈春にして君を想う〉は、蔦谷好位置さんに、“壮大なバラードが歌いたい”ということだけお伝えして作ってもらいました。いいメロディですよね。〈BLESS〉は、アレンジが今までの私の作品とは違いますね。出会いがテーマの超ハッピーなラブ・ソングです。この広い世界の中で一つ一つの出会いって奇跡だなって。当たり前のことなんだけど、本当はすごいことなんだよってことが表現されています。〈神様につながる時〉は、都倉俊一さんが書いた曲で……。じつは彼がジャニス・イアンに提供している曲なんです。世の中に出ていない未発表の曲なんですけど。日本語詞は森若香織さんに書いてもらいました。これは素晴らしい名曲ですよ! 歌いこなすまでに時間がかかりましたね。歌詞も曲も偉大で、生半可な気持ちでは歌えない曲です。森若さんの歌詞は、難しい言葉ではないんですけど、いつも深いんですよね。言葉の中に哲学があるんだと思います。人であったり、夢であったり、迷いがあるような中途半端な気持ちではいろんなことに出会えないぞということですよね」

 このアルバムを出すことによって、彼女のシンガー・ソングライターとしての“志”も明確になっている。いま、世の中に対して、何を伝えたいのか。しっかりとビジョンを持てている人は、とにかく強く、とにかく美しい。その求心力のある志には彼女ならではの大らかな優しさも込められている。
 「嫌なことがあると、心がすさむというか。そういうときほど“笑おうよ”ということを伝えたいですね。あと、一人じゃないよ、ということは音楽を通じて伝えていきたいなと思っていて。辛いことがあったりしたら、曲を聴いて“そんなことないな”とか、“まだ頑張れる”とか、“植村花菜がいるから”って思ってもらいたいですね。元気になりたいときに聴くのもいいですけど、塞ぎこんでしまうときにも、音楽は手を差し伸べてくれるものでもあるので。そう思ってもらえるように曲を作っていきたいですね」



取材・文/清水 隆(2008年2月)
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