6月3日に7枚目のアルバム
『ULTIMATE DIAMOND』がリリースされた
水樹奈々。本作は、チャートの上位を獲得した
「Trickster」「深愛」といったシングル曲だけでなく、ポップス、ヘヴィ・ロック、ダンス・ミュージック……などじつに多彩で個性のある楽曲が収録された渾身の一枚。7月5日には西武ドームという大きな会場でのライヴも控えている彼女。本作について話を訊いた。
シングル「Trickster」「深愛」がいずれもシングル・ランキング2位を記録。その存在はアニメ・ファンだけではなく――彼女は声優としても圧倒的な支持を獲得している――広く音楽ファンにも浸透、いまやヒット・チャートの常連となった水樹奈々から、7枚目のオリジナル・アルバム『ULTIMATE DIAMOND』が届けられた。
「自分の名前の奈々にちなんだ“7”という数字には何かと縁があって。だからこそ、7枚目のアルバムは節目だし、大事にしたかった」と言う本作は、約300曲のデモのなかから選ばれ、作家陣との緻密なディスカッションのなかで磨きぬかれた15曲が収録されている。ポップス、へヴィ・ロック、トランス系ダンス・ミュージックからアコースティックな手触りのナンバーまで、ジャンルを超越しながら広がっていく彼女のヴォーカリゼーションは、デビュー9年目を迎えた今も、さらなる進化を続けているようだ。
「とても振り切った、個性の強い曲ばかりだと思います。前作(『GREAT ACTIVITY』)を上回るサプライズを仕掛けたかったし、そのためには新たなジャンルへの挑戦も必要だし。“水樹奈々、まだまだいろんなことにチャレンジし続けます!”っていう感じですね(笑)」
ジャズのテイストを取り入れたアップ・チューン「MARIA & JOKER」、そして、へヴィ・ロック・サウンドと和楽器の音色を融合させた「悦楽カメリア」も、本作における新しいトライアルを象徴するトラックと言えるだろう。
「〈MARIA & JOKER〉みたいな曲は、以前からやってみたかったんです。スパイ映画のような雰囲気があって、大人っぽくて……そういう曲はデビューしたばかりの頃にも歌ったことがあるんですけど、そのときは背伸びしている感が出てしまって。声優としてもいろいろなキャラクターに出会い、年齢とともにさまざまな経験を重ねてきた今ならチャレンジできるんじゃないかなって。〈悦楽カメリア〉はPVでアレンジした和服を着ています。小さいころから演歌を歌っていたので、和服を着ると身が引き締まるというか、原点に戻れる気がするんです。すごく艶やかだし、圧倒的な色彩を持った楽曲の世界にもピッタリだと思います」
また、自ら作詞・作曲を手掛けた「夢の続き」もまた、このアルバムに対する彼女の強い思いをストレートに示している。子供のときから歌手を目指し、一つ一つ夢をかなえてきた(昨年10月には、念願だった新宿コマ劇場での座長公演も実現!)彼女の軌跡そのものが、この曲にはしっかりと込められているのだ。
「今、伝えたいことを素直に歌っています。私の歌詞は比喩や当て字が多くて、いろんな想像をしてもらえるように書くことが多いんですけど、〈夢の続き〉は、“水樹奈々をそのまま曲にしてみよう”って。かなり赤裸々で恥ずかしいところもあるんですけど、今だからこそ表現できた曲だと思います」
7月5日には、西武ドームでのライヴも決定。「やりたいことはたくさんあります! 水樹奈々はまだまだ、始まったばかりです!!」という彼女は今、シンガーとしてもっとも充実した時期を迎えようとしている。
取材・文/森 朋之(2009年5月)