コンテンポラリー・フィールドでアクティブに活躍する気鋭の声楽家、松平敬のデビュー・アルバム『MONO=POLI』(EZCD-10006 オープン価格)が2月20日にリリースされます。
当作は、普通のクラシック・アルバムとはまったく違う衝撃的な内容。すべて松平敬一人の声を多重録音した究極のワンマン・アカペラ=電脳声楽アンサンブルなのです!
選曲も凝りに凝っており、
マショーから
ブラームス、
リゲティまで、800年にわたる“声”の芸術を“カノン”形式で俯瞰するというコンセプト・アルバムです。
松平敬はバリトンでありながら、ファルセットを駆使しつつ、混声のソプラノ・パートまで、すべての声部を一人で歌っています。たった一人の肉声を駆使して、とてつもなく広い音域を歌うことだけでも、曲の難易度を考えれば大変な偉業ですが、驚くのはその歌唱力だけではありません。松平みずからがDAW(デスクトップ・オーディオ・ワークステーション)システムを駆使し、エディットからエフェクト処理といったポスト・プロダクションまで、その手で行なってアルバムを完成させている点でも、注目に値するものと言えるでしょう。
結果生まれた今回の作品は、世界のどんな一流声楽アンサンブルもなし得ない空前絶後の精度の高さで、劇的空間を創出したものとなりました。
収録曲の中でとくに注目すべきは、
キューブリック監督の映画『2001年宇宙の旅』に使われたことで有名な、リゲティの「ルクス・エテルナ」。なんと16声部を多重録音し、果てしなく広がる宇宙的なトリップ感を描き出しています。
“カノン”という音楽のこだま効果を全体のモチーフにした当アルバムには、冒頭の「夏のカノン」(現代に伝わるもっとも古いカノンの例)から始まり、
バッハ、
モーツァルト、
シェーンベルク、
ブラームス、ジョスカンらのカノンに加え、前述のリゲティ、さらに松平の自作「MONO=POLI」を収録。「MONO=POLI」は、逆再生や変調を取り入れた新時代のカノンです。
そして全31曲の最後に収録されているのが、マショーの「我が終わりは我が始め」。アルバム全体における各曲の配列は、この作品の構造を踏襲して決められています。逆行カノンとなっているこの作品は、楽譜をはじめから読んでも後ろから読んでも同じ演奏結果になる、という作りになっています。収録曲全体を、古い作品から新しい作品へ、そしてまた古い作品へと時代が逆行してゆくように配置することによって、全体がマショーのカノンと相似形をなすようにした、コンセプト・アルバムになっているのです。
音のすべてのトラックだけでなく、ブックレットの文章からジャケットのアートワークに至るまで、すべてを演奏者自身が手がけた注目作。こんなクラシック・アルバムは過去に例がありません。大きな話題を呼ぶこと必至の一枚です!
※2月20日発売
松平敬
『MONO=POLI』
(EZCD-10006 オープン価格)
[収録曲]
01. 作者不詳:夏のカノン
02. 作者不詳:アレ〈歌え〉ルヤ
03. 作者不詳:ねんころりん、私は可愛らしい、上品な姿をみた
04. 作者不詳:ローマは喜び歓喜の声をあげよ
05. ダンスタブル:聖なるマリア
06〜08. ジェズアルド:マドリガル曲集第6巻より
09. J.S.バッハ:8声のカノン BWV1072
10. モーツァルト:心より愛します KV348(382g)
11. グリーグ:めでたし、海の星
12. ストラヴィンスキー:アヴェ・マリア
13. シェーンベルク:3つの風刺〜分かれ道にて Op.28-1
14. ケージ:居間の音楽〜昔話
15. リゲティ:ルクス・エテルナ
16. 松平敬:モノ=ポリ
17〜18. ブライアーズ:マドリガル集第2巻より
19. ベリオ:もし私が魚なら
20. ケージ:声のためのソロ2[4ヴァージョンの同時演奏]
21. シェーンベルク:千年を三度 Op.50A
22〜24. ドビュッシー:シャルル・ドルレアンの3つの歌
25. ブラームス:おお、なんとなだらかに
26. パーセル:主よ、わが祈りをききたまえ
27. パレストリーナ:主よ、今こそあなたは
28. ジョスカン・デ・プレ:ミサ『ダ・パーチェム』〜アニュス・デイ
29. 作者不詳:3人のムーア娘
30. 作者不詳:手に手をとって
31. マショー:我が終わりは我が始まり
[演奏]
松平敬(歌&多重録音)
[録音]
2009年8月 スタジオ録音
24Bit/96KHz ProTools HD3 Recording System