2012年4月4日(水)21:43、大阪・梅田のクラブ「NOON」が“無許可で店内にダンススペースを設け、客にダンスをさせていた”という理由で摘発された――。ダンスを規制した風営法問題を問うドキュメンタリー映画、『SAVE THE CLUB NOON』(監督:宮本杜朗、企画:佐伯慎亮)が11月30日(土)より東京・渋谷「アップリンク」などにて公開されます。
風営法の取り締まりは2010年頃から強化され、関西では約2年間でおよそ20軒ものクラブが実質的な廃業へ。大阪・中崎町の老舗ナイトクラブ「NOON」も摘発、経営者をはじめスタッフ8人が逮捕されるという事件が起こる。さらに“深夜帯”ではない摘発だったこともあり、クラブ・シーンのみならず、ライヴハウスまで緊張は広がり、摘発されたNOONを救済するべく、日本全国から約100組ものDJ、ミュージシャンが集まり、イベント〈SAVE THE NOON〉が4日間にわたり開催――。
クラウドファンド(プロジェクトの賛同者がインターネット上で資金応援できる仕組み)で製作資金の100%を集めた作品としても注目を集める本作は、この〈SAVE THE NOON〉に出演した豪華ミュージシャンたちによる、熱く貴重なインタビューとライヴを収めたもの。現状を知って、未来を考える、そのための“最初の一歩”がここに記録されています。
《『SAVE THE CLUB NOON』Introduction》
2012年4月、風営法の厳密化により摘発された大阪中崎町の老舗クラブ[NOON](前身[clubDAWN])。クラブミュージックのみならず様々なジャンルのアンダーグラウンドな音楽シーンを支えた、いわばカルチャーの電波塔だったNOONへの「感謝」、そして「救済したい」という想いを伝えるべく、豪華ミュージシャンたちは20分や30分の少ない持ち時間でマイクをリレーする…… 。この映画は2012年の7月、4日間に渡り開催されたイベント〈SAVE THE NOON〉に出演したミュージシャン達の、熱く貴重なインタビューとライブを収めたドキュメンタリー映画である。 風営法によるクラブ摘発は2010年末頃から大阪、京都、福岡、東京と広がりを見せる中、あらゆるメディアがこの問題を取り上げてきた。そういった報道では、弁護士、クラブ経営者、音楽ライターなどの意見はよく目にするが、クラブやライブハウスを生業の場としているミュージシャンの声はなかなか表立って記事にはなっていない。表現者である彼らはこの問題をどう捉えているのか? この映画は、そのミュージシャン達それぞれのダイレクトな声をより多くの人に伝えたい、という想いが核になっている。 風営法に対して、怒りに任せて声高に異議を唱えるのではなく、この問題を冷静に捉え、風営法への疑問を通して自分たちが生きている社会をより深く知り、これからの未来を考えていく、そういうきっかけになればという想いで制作された。そして、記録としての役割。「2012年の夏にこういうイベントがあった」という事実を、音楽を愛する後世に伝えていく事を目的にしている。 この映画は、風営法のあり方について深く掘り下げて考察していくという内容の映画ではなく、あくまで「最初の一歩」である。その「最初の一歩」が、見た人の今後へと、きっと繋がっていく。その役割がこの映画にはあるものと確信している。