〈第26回東京国際映画祭〉のワールド・フォーカス部門にて、10月22日(火)と23日(水)の2日間、ドキュメンタリー映画『ホドロフスキーのDUNE』がアジア・プレミア上映。フランク・パヴィッチ監督が上映後のQ&Aに登壇し、観客からの質問に答えました。
本作『ホドロフスキーのDUNE』は、『エル・トポ』や『ホーリー・マウンテン』でカルト的な人気を誇る
アレハンドロ・ホドロフスキー監督が、1974年にSF小説『DUNE』の映画化を企画、
サルバドール・ダリや
ミック・ジャガー、
オーソン・ウェルズ、フランスのコミック作家メビウスやH.R.ギーガーら、錚々たるキャストとスタッフを起用し撮影しようと乗り出したものの、制作に至る前に中止となってしまったという、その壮大な企画の顛末について描いたドキュメンタリー。
客席からの「あなたが『DUNE』を実際に撮りたいと思ったことはありますか、もしあなたが『DUNE』を作っていたとしたら、どんな作品になっていたでしょうか」という質問に対し、パヴィッチ監督は「いろんな人が『DUNE』を映画化しようとして失敗して、映画化は不可能に近いと言われてきましたが、この映画こそが僕のヴァージョンの『DUNE』なんです。僕の『DUNE』はここで終わります」と回答。
また、本作にも登場する『DUNE』のデザイン画や絵コンテが描かれた分厚い“あの本”については、「全部で20冊ほど制作され、現在確認できているのが3冊。ホドロフスキー監督が1冊、ミシェル・セドゥさんが1冊、そして第3冊目が日本にあるかもしれません。リサーチをしたところ、eBayで10年〜15年前に5千ドル〜1万ドルで売られた形跡がありました。だれが売ったか、だれが買ったかはわかりませんが“日本のかた”という事実が分かりました。もし、この劇場の中のどなたかが持っているかもしれません。もし持っていたら手を挙げてください!」というパヴィチ監督の発言に場内が一気に盛り上がりました!
さらに、「アニメーション・パートでメビウスの絵コンテをアニメ化するにあたって、ホドロフスキー監督は関わっているのでしょうか?」という質問については、「この映画の中で、ホドロフスキー監督はさかんに“映画は私の夢だ、だから誰にも触らせない! 誰にも文句は言わせない!”と言っていますので、果たして僕の映画にどれくらい口を挟むのかと思っていたんです。もしかしたら、あれこれ言われるんじゃないかと思っていたら、ほんとうに嬉しく驚いたことに、まったく何も言われませんでした。僕の作りたいように作らせてくれたんです」。
そして、「なぜ『サンタ・サングレ / 聖なる血』の大ファンで知られている
クエンティン・タランティーノ監督を採用しなかったのでしょうか」という質問には、「タランティーノ監督は、とにかく個性的な方です。もちろん、出演のオファーを考えていましたが、彼が話し始めると“タランティーノ・ショー”みたいになってしまうので、ほかのキャストとのバランスを恐れてオファーしませんでした」とのこと。
最後に、ホドロフスキー監督が本作を観た際の反応については、「彼が初めてこの映画を観たのは、今年のカンヌ国際映画祭のプレミア上映でした。僕の隣が奥様でその隣がホドロフスキー監督だったので、上映中も彼がどんなリアクションをするか気にしていました。そうしたら、最後のほうで涙を拭いているんです。自分のアートワークが映像化されていくことを見て感動されたのかもしれないし、何十年と会っていないクリス・フォスやH.R.ギーガーが彼を讃えているのを聞いて感動されたのかもしれませんが、とても嬉しかった。そして上映が終わってから、彼に“どうでしたか?”と聞いたところ、一言“パーフェクトだよ”と言ってくれたんです」という、感涙のエピソードも飛び出しました!
なお、『ホドロフスキーのDUNE』は2014年初夏公開、ホドロフスキー監督の23年ぶりの新作『リアリティのダンス』は2014年公開が予定されています。
※2014年初夏公開
『ホドロフスキーのDUNE』
監督:フランク・パヴィッチ
出演:アレハンドロ・ホドロフスキー / ミシェル・セイドゥ / H.R.ギーガー / クリス・フォス / ニコラス・ウィンディング・レフン
配給:アップリンク / パルコ