映画『バトル・ロワイアル』シリーズの監督・脚本などで知られる映画監督・
深作健太のオペラ演出作第2弾〈東京二期会オペラ劇場 リヒャルト・ワーグナー作曲 ローエングリン〉が、2018年2月21日(水)より東京・上野 東京文化会館大ホールにて上演開始。25日(日)まで全4公演が決定しています。指揮はドイツオペラの名匠・
準メルクル。
ワーグナーの台本・作曲による『ローエングリン』は、領主が亡くなり荒れたブラバント公国で弟殺害の容疑をかけられた公女エルザが、夢に見た“白鳥の騎士”(=ローエングリン)の助けを借りて疑惑を晴らすものの、“けっして自分の名前や素性を尋ねてはならない”という騎士との約束を破ってしまうというストーリー。
今回の演出は、ドイツ帝国への編入や普仏戦争により混乱の状態にあった19世紀末のバイエルン王国において、ワーグナーに心酔していたバイエルン国王ルートヴィヒII世が、建設途中のノイシュヴァンシュタイン城で『ローエングリン』の譜面を繰りながら破滅の間際に見た“夢”という設定を基に、作品全体を読み替えていくもの。“狂王”と呼ばれたルートヴィヒII世が、自分の生涯を思い起こしながら、自身を憧れの英雄ローエングリンに重ねてゆくというコンセプトです。
演出の深作は「彼(ルートヴィヒII世)は実際に中世に憧れ、国家財政を傾けてまでローエングリンになりたかった、そしてなれなかった男です。ワーグナー作品の中で唯一、愛による“救済”がないといわれる『ローエングリン』。今、僕たちは混迷に生きる21世紀の日本で、物語の最後に、どんな“フューラー(指導者)”を見出すのでしょう?」と語っています。