世界最古の木管楽器ディジュリドゥ奏者として国内外で活躍している
GOMAによる初の絵画展『[記憶]展』が東京・南青山のPLSMISにて8月24日〜29日に開催されることになりました。
GOMAは2009年11月26日夕方に首都高速で追突事故に遭遇。当日は特に目立った外傷がなかったため頸部外傷性症候群(むち打ち症)と診断され帰宅しましたが、翌日から家族との話が噛み合わず、その後の生活において記憶が断片的であることが発覚し、外傷性脳損傷による高次脳機能障害を発症していたことが判明しました。
自分がディジュリドゥ奏者であることはおろか、何者なのかも分からなくなるという不安な毎日が続く中、ふと筆を手にした彼が描き始めたのが、深い眠りから覚めるときに頭に思い浮かんだという光の絵。それ以来、彼は襲いくる恐怖と不安を乗り越えるため、ひたすら絵を描くことに没頭。今回の展覧会では彼が半年間にわたり描き続けてきた絵画から数十点が展示されます。また、廃校になった体育館の資材などをリデザインしているデザイン・ユニットCONNECTがフレームワークを提供、GOMAの絵をバックアップします。
会期中には、彼のこれまでの活動をまとめたDVDの上映とアコースティック・ライヴを開催。また展覧会を記念し、今秋に発売が予定されているセレクト・アルバム『You Are Beautiful』の先行販売も予定されています。
<[記憶]展-世界最古の木管楽器ディジュリドゥ奏者GOMAが描く絵画の世界->●展示会期:8月24日(火)〜29日(日)
●会場:東京・PLSMIS(東京都南青山4-17-4-1F)
●主催:Jungle Music 協力:CONNECT,LJ,CAFE8,Wonderground Music
※チケット予約については7月15日 GOMAオフィシャル・サイトにて発表。
【GOMAからのメッセージ(オフィシャル・サイトより)】
応援してくれているファンの皆様、お世話になっている関係者の皆様へ
2009年11月26日の夕方。首都高速で追突事故に遭った。渋滞でブレーキを踏んで車を止めた。事故の記憶は、そこで止まっている。
搬送先の病院では画像上特に問題がないとの医師の判断で、入院することなく家に戻った。家に戻ってみると、テレビやコンピュータの画面がものすごく眩しく感じられ、光が全部ピカピカに見える。記憶のなかにあるものとは違う世界に来ているようだった。
家族と話していても、何かが噛み合わない。時間が経過しても、会話は噛み合わないまま。何で噛み合わないのか、自分ではわからない。記憶が飛んでしまっているんじゃないかとの疑念が家族のなかに生まれ、時間が経過していくうちに、わからないものが自分の周りにはいっぱいあることに気付いていった。自分の脳に残っている記憶が自分にとってのすべての記憶だから、何がわからないのかがわからない。その後の検査により、11月の事故によって軽度外傷性脳損傷になり、高次脳機能障害という障害を持ってしまうことになった。
事故からしばらく経って、急に娘の絵の具と筆で絵を描きはじめた。「俺は絵を描くことが仕事なんだ」と思って筆を手にした。心に隙があると恐怖心が襲ってくるのでその恐怖心と不安を乗り越えるために、絵に向かう。何を描くかではなくて、ふっと浮かんだものを描くだけ。なぜほとんど描いたことがなかった絵だったのか、それは今でもわからない。ただ夢中になれるものが欲しかったのかもしれない。絵を描くことによって、すごく救われた自分がいる。
ディジュリドゥも、最初はこれが楽器はもちろんのこと、何なのかさえわからなかった。自分の演奏する映像を見て、何も考えないで口を付けたら音が出た。吹くことができた。ディジュリドゥを吹くことを身体が覚えていた。
今は毎日のように絵を描いている。無心のうちに形として残った絵たち。その絵の展覧会を8月に開催します。絵、ディジュリドゥ、そして家族や仲間たち。一線を越えさせないで、それらを俺に神様が残してくれた。自分を支えてくれる大切なものを残してくれた。「GOMA、お前はまだやり残したものがあるやろ」って、神様が言ってくれているように感じている。
事故に遭う前は、「自由が欲しい」ってずっと思っていた。でも今は、前の自分は「自由だったんだ」と心の底から思う。事故後、周りの人が自由に見えて羨ましかった。けれど病院へ行くと、強度の障害を抱えつつもポジティブに生きている方たちにお会いする。まだ自分は自由に動けている。普通に歩けて、言葉も喋れて、ご飯も食べられて、絵も描けて、デイジュリドゥも吹ける。こんな幸せなことはない。
少し前までは、不安と恐怖しかなかった。けれど最近は「今」を楽しもうという気持ちが出てきている。フレッシュな気持ちで何事にも挑戦していく。挑戦していく過程で、ものすごく落ち込むこともあるかもしれない。それも自分に課されたことだと考え受け入れていく。過去を追いかけるのではなく未来を築いていく覚悟。
過去に囚われるのではなく、今日を精一杯生きていく。事故直後は、事故に対する恨みが強かった。けれど恨みからは何も生まれない。今は、家族をはじめ、みんなに支えられているということをすごく感じていて、恨みや怒りのパワーよりも愛のパワーのほうが確実に強い。
今は険しい山に登っているような感覚。けれど登り続けていけばいつか山頂に到達する。そして山を乗り越えることができる。
必ず復活するので、みんな、楽しみに待っていてください。
そのときは、応援をよろしくお願いします。
過去にお会いしたことがある方へ。
今は記憶が繋がりにくく、こちらから挨拶ができないかもしれません。お会いした際(再会した際)には、気軽に思い出話を聞かせてください。
2010.06.23 Goma