長きにわたるロック史に、その名を刻むヘヴィメタルの代名詞。“メタルゴッド”
JUDAS PRIEST(ジューダス・プリースト)。ヘヴィメタルそのものとさえ言える偉大な存在である彼らが、現在大規模な世界ツアー<EPITAPH>を実行中。こちらはウェアウェル・ツアーとなっており、ツアーの終焉とともに約40年にも及ぶ活動に終止符を打つことが宣言されています。これはJUDAS PRIESTの歴史 = ヘヴィメタルの歴史がひとつの終わりを迎えようとしていることにほかなりません。
2月7日(火)より、日本での<EPITAPH>ツアー、<EPITAPH JAPAN TOUR 2012>が福岡サンパレスホールを皮切りにスタート。9日(木)の神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールでの公演を終え、11日(土)神戸国際会館 こくさいホール、13日(月)広島 ALSOK HALL、14日(火)愛知芸術劇場、そしてツアー・ファイナルの17日(金)東京・日本武道館の4公演を残すのみとなりました。鋼鉄神最後の雄姿を、お見逃しなく!
2月9日(木)パシフィコ横浜 国立大ホール公演の模様を、音楽ライター・増田勇一氏のレポートでご確認ください!
【<EPITAPH JAPAN TOUR 2012>
2月9日(木)神奈川 パシフィコ横浜 国立大ホール】 『EPITAPH JAPAN TOUR 2012』と銘打たれたジューダス・プリーストのジャパン・ツアーが、去る2月7日、福岡サンパレスにて開幕。同9日、パシフィコ横浜での公演を迎えた。新旧世代が入り交じったオーディエンスを前に、まず最初に披露されたのは『BRITISH STEEL』(1980年)からの「Rapid Fire」。以降、創成期から近年に至るまでのさまざまな作品からの楽曲をちりばめながら展開されたライヴは、まさにフロントマンであるロブ・ハルフォードがステージ上で口にした通り、「ジューダス・プリースト流クラシック・ヘヴィ・メタルの、およそ40年にも及ぶ歴史」を凝縮したものとなった。もちろんそれが王道的であるのみならず、常に大胆で画期的なものであり続けてきたことを確実に証明しながら。
なにしろ、いわゆる定番曲が網羅されているばかりではなく、デビュー作の『ROCKA ROLLA』(1974年)からも、現時点での最新オリジナル作品にあたる『NOSTRADAMUS』(2008年)からも選曲されているという、前代未聞のプログラム。しかもそれが、ヘヴィ・メタル界におけるアリーナ・ショウの先駆者というべきこのバンドならではのダイナミックで場面転換豊富なステージングを伴いながら繰り広げられていくのだから、観衆が熱狂しないはずもない。アンコールを含めて全21曲、約2時間20分に及んだライヴが、筆者にはまるで一瞬の出来事のように感じられた。また、ハルフォードをはじめとするオリジナル・メンバーたちの威厳あるたたずまいに加え、突如の脱退によりファンに衝撃を与えたK.K.ダウニングの穴を埋めるべく起用されたリッチー・フォークナーの躍動感あるギター・プレイも印象的だった。
世界規模で展開されているこのツアーをスタートさせるにあたり、ジューダス・プリースト側は、今回をもって大規模なツアー活動から身を引く旨を公式に発表している。それは、すぐさまバンドの終焉と直結するものではないようだが、少なくともこうした形で彼らのライヴ・パフォーマンスを堪能することができる機会は、これが最後になる可能性が高いと言わざるを得ない。が、そうした事情を抜きにしても、このツアーが鋼鉄神を愛するすべてのファンにとって必見であることに変わりはない。今後、バンドは神戸、広島、名古屋の各地を巡演し、このツアー自体は2月17日、日本武道館にてクライマックスを迎えることになる。オールド・ファンのみならず、彼らのステージを観たことのない新世代メタル・ファンにも是非駆けつけて欲しいところだ。
さらに補足しておくと、去る1月25日に初期4作品の新装盤がビクターから発売されているのに続き、2月15日にはソニーより、『SIN AFTER SIN』(1977年)から『PAINKILLER』(1990年)に至るまでの12作品のリマスター盤がリリースされる。こちらも当然ながら要チェックである。
増田勇一photo by Takumi Nakajima