是枝裕和 2014/11/17掲載(Last Update:14/12/09 15:42)
小学館『月刊フラワーズ』にて大人気連載中、発行部数累計250万部をほこる
吉田秋生のコミック『海街diary』が
是枝裕和監督により映画化。2015年6月13日(土)より公開。また、豪華なキャスト陣が発表されました。
長女の幸(
綾瀬はるか)、次女の佳乃(
長澤まさみ)、三女の千佳(
夏帆)と離れて暮らす実母“都”役には日本を代表する女優・
大竹しのぶ。離婚し、夫が家を出ていった後自らも再婚。まだ子供だった娘たちを母親に預けて家を出ていってしまった母を演じます。
大竹は是枝作品に初出演となったことについて、「是枝監督とは、監督がデビューする前からの知り合いだったのですが、なかなか御一緒できなくて、今回やっと実現できて本当に嬉しいです。想像していたとおり、細やかで優しくて丁寧に映画を作っていらして、感動しました」とコメント。3姉妹の母親役を演じ、「娘三人を見ていると本当に、あー、可愛らしくて、美しいなと思います。この子達がやがて結婚して子供を産んで、幸せな家庭を作っていって欲しいと心から祈る自分がいました」と撮影時の心境を明かしています。
3姉妹については、「とにかくみんな綺麗で、可愛らしいくて、あんな四人がいたらお家の中は、華やかだろうなと思います」「私も四人姉妹で、父や母も色々心配しただろうな、こんな気持ちだったのかな、と思ったりしました」と自身の思い出を披露。4女・すず(
広瀬すず)の異母という役柄から、広瀬の印象については「名前の通り、可愛らしく、涼やかな女の子でした。でも、しっかりしていて、このまま素直に美しい心で、大人の女性になって欲しいな思います」とのこと。また是枝監督には、「日本の風土における、日本人にしかない心の機微を監督にしか描けない世界をこれからも作っていって欲しいと思います」との言葉も。
看護師の長女・幸が働く市民病院の小児科医で、別居中の妻がいながらも幸と心を寄せ合う“椎名和也”役は、演劇、ドラマ、映画など幅広い分野で活躍する
堤 真一が好演。大竹と同じく、是枝監督作品に出演するのが初となる堤は、「一言で言うなら、是枝監督は“こだわりの人”です。とてもおだやかな方なのですが、照明やセットの細部にまで徹底的にこだわる姿勢からは、作品に対する並々ならぬエネルギーがあふれていました。とてもプロフェッショナルな空気に満ちた現場は、居心地がよくて楽しかったです」と現場を振り返り、「今回、僕は、短期間に集中した撮影だったのですが、最後に監督から“またガッツリ一緒にやりましょう”と、とても光栄な言葉をかけていただき、参加してよかったと思いました」と語りました。
共演陣には、次女の佳乃が働く信用金庫の上司“坂下美海”役に
加瀬 亮、4姉妹が住む鎌倉にある飲食店「海猫食堂」の店主“二ノ宮さち子”役は
風吹ジュン、山猫亭の店主“福田仙一”役は
リリー・フランキー、四女すずの同級生で、湘南オクトパスのチームメイトの“尾崎風太”役に
前田旺志郎、四女のすずが所属するサッカーチーム湘南オクトパスの監督“井上泰之”役を
鈴木亮平。
さらに、三女の千佳が働くスポーツマックスの店長の“浜田三蔵”役に
SUPER BUTTER DOGのメンバーとして活躍し現在はソロ・プロジェクト“レキシ”として人気を博す
池田貴史、次女の佳乃の年下の恋人“藤井朋章”役は『MEN'S NON-NO』専属モデルとして活動するかたわら俳優としても将来を期待される坂口健太郎と、豪華キャストが集結。
是枝監督はキャストに寄せて、「うまい役者さんというのは主役もはれるけれど、脇にも回れる人のことだと思います。自分だけがいい芝居をすればいいというのではなく、ちゃんと物語の中で生きて主演を立たせる。今回はそういった俳優陣を配置させてもらいました」と語っています。
(C)吉田秋生 / 小学館
■是枝監督よりキャスト陣へのコメント
[大竹しのぶ]
是枝監督 「実はかなり以前に大竹さんの舞台のメイキング撮影をしたことがあり、その後も是非ご一緒したいと思っていた女優さん。本作は4姉妹を中心にした女性たちの映画であると考えていて、姉妹たちと対比する上の世代の女性たちが大事な役割を担いますので、どう現実感を伴うかたちでキャスティングするかは重要でした。その中で大竹さん演じる幸、佳乃、千佳の3姉妹の母、都はとても重要な役。弱いところを出してしまう女性としての湿り気もありつつ、決して憎めない愛する対象でもある、表現するのがとても難しい役どころだと思う。都を演じた大竹さんはそのバランスが絶妙で素晴らしかったです。幸が少女時代を経て、母性を獲得する話と捉えた場合、都の存在が鍵となる。それまで許せなかった都を受け止める糸口をみつけ、幸は一歩大人になる。二人が向き合う芝居は本作の見せ場のひとつになったと思います」
[堤 真一]
是枝監督 「ご一緒する機会をうかがっていた俳優さんの一人です。これまでタイミングがあわなかったけれど、やっと実現しました。主人公4姉妹にそれぞれ重要な男性がいて、それぞれどういう人に演じてもらうかすごく考えました。堤さん演じた椎名は、幸が妻になるかどうかという人生の岐路に立ったときに、どういう選択をするかに重要な絡み方をする人。自分を律して生きている幸が唯一肩の力を抜いて女性的な部分を出せる相手ではあるが、そこはウェットには描きたくなかった。そのあたりの匙加減がさすがで、二人とも現場でもリラックスして演じてくれて作品のトーンに馴染んでくれたと思います」
[加瀬 亮]
是枝監督 「自分の初期作品から何度か撮らせてもらっている。各年代でご一緒したい俳優さんの一人。お互いにそのときそのときで今後とも関わっていきたく、繰り返し起用させてもらいたいと思っています」
[風吹ジュン]
是枝監督 「風吹さんが演じる二ノ宮さんの役は今回の映画で一番膨らました人物であり、実は物語の中心にいる。彼女が“海街そのもの”。『海街』を象徴できる柔らかさと芯の強さを表現できる方を、と思ってお願いしました。スイッチ入ったときの風吹さんのお芝居にはいつも心奪われます」
[リリー・フランキー]
是枝監督 「リリーさん今後全作品出ていただけるっていう約束をしてくれたので! 今回もよかったです」
[前田旺志郎]
是枝監督 「風太の役は悩みましたけど、撮ってみたら彼しかいなかったと思わされました。自分の恋愛感情に無自覚でありながら少し女子の前で詰まってしまう絶妙な中学生男子の感じがよくでていて、すずとのかけあいが爽やかで愛おしい。どのシーンも素晴らしく撮れています。彼は本当に希有な存在です」
[鈴木亮平]
是枝監督 「この作品で初めてお会いしてみてキャスティングを決めました。現場でもすごく自然体の素敵な人で、今回をきっかけに今後もっと一緒に仕事していきたい俳優さんです」
[池田貴史]
是枝監督 「飛び道具です。髪型ももちろんありましたが(笑)。千佳と浜田店長のかけ合いが作品の中で一番遊べるところであり、現場で固まらせず、ライブ感を楽しめるミュージシャンか芸人さんか、と考えていましたが、狙い通りとても楽しい現場でした。池田さんは間のとりかたが音楽的で感覚的に優れていてすごくよかったです」
[坂口健太郎]
是枝監督 「オーディションで出会いました。原作の朋章とは変えていますが、大事だったのは彼にまとわせる雰囲気。どこかしら影があり、どこかしら悪い部分があるところ。佳乃が惹かれる男性というのは大事で、幸が好きになる男性と対比を考えてキャスティングし、とても成功したと思います」