現在、東京・渋谷ユーロスペースほかにて絶賛公開中の
真利子哲也監督『NINIFUNI』。2011年ロカルノ国際映画祭では中編映画としては異例の招待作品に選ばれ、42分1本で単独ロードショーが決定したことでも話題を呼んだ本作。公開後も、その熱さと切迫感に溢れた魅力が口コミで広がっています。
2月27日(月)には渋谷ユーロスペースで、“爪痕残すぜ”と題されたトークショーが開催。
向井秀徳(
ZAZEN BOYS)と
真利子哲也監督が登壇しました。(ちなみに“爪痕残すぜ”は、真利子監督が良く口にする「42分でも見た人に何か爪痕を残したい」という気合いの入った言葉から命名!)。
以前、「真利子哲也監督映画『イエローキッド』を観ました。カンペキ、戦慄、最優秀キてます賞受賞。私はヨがっています。高校生の頃、『ミッドナイト・ラン』を見た後、家族で松茸を焼いて食らった夜くらいに。新作『NINIFUNI』はさらにヨがれるので皆さん観た方がいいと思います」と自身のツイッターで絶賛していた向井は「まず、馴れ初めだな」ということで、『NINIFUNI』の裏話が真利子監督から飛び出す。
「実は最初、映画の音楽を誰に、という話が出た時、まっさきに向井さんが思い浮かんで、失礼かな〜とも思ったんですけど、ダメもとでお願いしてみようと。それで向井さんに手紙書いて、自分の映画のDVDを向井さんに送ったんですよね」(真利子)、「そう、あれは観たことのない映画だったな」(向井)、残念なことにその時は色々仕事が詰まっていて、真利子監督の依頼を受けられなかったそうですが、もし実現していたら、向井秀徳作曲で
ももいろクローバーが歌う楽曲が生まれていていたかも……。それについては「いや、私がやらなくてよかった。大体、アイドル・ソングも作ったことない俺になぜ。やってたら入院していたかもしれない」(向井)とのこと。
完成した映画『NINIFUNI』を観て「衝撃を受けた」「この映画もやっぱり観たことない映画だった」と感想を激白した向井は、淡々としてるのに“音”が生々しくて沢山の情報を伝えている、翌日もその翌日も生々しさが残る……などなど、本作の魅力を語りました。
向井から監督への真摯なエールと共に、トークの中には、なぜか向井が監督にバイク便で送ったという
勝新太郎主演のドラマ『警視-K』DVDの話、向井の忘れられない映画の1本だという『宇宙から来たツタンカーメン』の話も盛り込まれ、場内は適度にリラックス・ムード。今回、自分のやりたかったことを深く考えすぎることなくシンプルにやりきれたと言う真利子監督と、自分自身にぶれることなくロックする向井、“映画の面白さって何ぞや”との問いかけも残すような内容に、観客も引き込まれていました!