JR九州の超豪華寝台列車「ななつ星 in 九州」などのデザインを手がけた水戸岡鋭治が、仕事に関する考え方を語った単行本『鉄道デザインの心』（発行: 日経BP社）。7月に本書の発売を記念し開催されたトーク・イベントの映像がYouTube（youtu.be/y1__RwP_cmY）で公開。自身がデザインし、8月8日（土）から運行を開始した豪華列車「或る列車」についての水戸岡の貴重なコメントが公開されています。

　このトーク・イベントで水戸岡は、自身がデザインを手がけた「或る列車」、豪華寝台列車「ななつ星」の画像を参照しながら、多くの職人と共に作り上げた車両への思い、徹底してこだわった材料やデザインについて語りました。豪華を極めた或る列車について、「“黄金の馬車”と呼んでいる。車両正面の唐草模様は、あえて明治〜昭和にかけての技術によってメッキ加工を行ない独特の風合いを出した」とか。「ベルサイユ宮殿に負けない装飾に仕上げた」という内装の画像を見せた瞬間には、イベント参加者から感嘆の声がもれるほど。「貴族や殿様が使った最高のものを、現代のデザイン力と技術力でみんなが使えるようにした」と解説。

　また車両側面に注目し、「エンブレムをこれでもかというほど付けた理由は、ホームについた時にどこを背景にしても記念撮影ができるから」とのユニークなアイィデアは、会場を沸かせていました。

　ななつ星の最後尾の大きな窓について、「JR九州の唐池会長が “九州を再認識するための30億円の額縁”と呼んだことに感動した」とのエピソードを明かした水戸岡、「子供の頃に感動をした列車の旅の時間と空間を切り取って、自分の記憶を思い起こしてアイディアを生み出している。これからも、未来の子供たちのためにも感動させるものづくりをしていかなければならない」と、強くその思いを語っています。