レイ・チャールズ 2004/06/11掲載(Last Update:08/03/31 17:57)
偉大なるR&Bの巨人、
レイ・チャールズ(写真は歴史的名盤
『ホワッド・アイ・セイ』)が6月10日、肝不全のためロサンゼルス・ビバリーヒルズの自宅で死去しました。享年73歳。
彼が生きた73年間は、20世紀初頭にポピュラー音楽が生まれ、今日まで様々な変化を辿って来た米国音楽史そのもの。1930年、米国ジョージア州に生まれ、6歳で緑内障のため失明。盲目のハンディを抱えながらピアノを学び、10代でデビュー。ゴスペル音楽やジャズなどのルーツ音楽を、ポップスに取り込む彼のスタイルは、今日、我々が“ソウル・ミュージック”と呼んでいるものの原型であり、レイ・チャールズを“ソウルの神様”として崇拝するミュージシャンやファンも多い。が、彼の魅力は、それだけに留まるものではなく、小粋なピアノのインスト曲をサラリと弾いたり、白人のルーツ音楽であるカントリーやウエスタン・ミュージックをユニークに歌ったりと、ジャンルに縛られることなく、どんなスタイルの曲でも、良い曲であれば曲の中に眠る“魂”を見つけ出して歌ってしまう。これぞレイ・チャールズが今日まで特別な存在であり続ける所以でしょう。
あまりにも伝説的な存在であるため、レイ・チャールズの音楽を“過去のもの”と勘違いしている方もいますが、今日まで第一線で音楽活動をしています。2002年にはビリー・オズボーンをプロデューサーに迎えた、もう何枚目なのかわからないオリジナル・アルバム『サンクス・フォー・ブリンギング・ラヴ』を発表して、“円熟した”どころの騒ぎでは無い、熟成に熟成を重ねたシンプルで力強い音楽を届けてくれたばかり。本当に残念です。心よりご冥福をお祈りします。
日本盤で流通しているものは、ベスト・アルバムの類が多いですが、輸入盤では『Blues Before Sunrise』や『Blues Is My Middle Name』など素晴らしい作品が、お求めやすい価格で、今月末にぞくぞくと再発されます。今のうちに入手しておくことをオススメしますよ。