7月7日に5枚目となるニュー・アルバム
『Al Toque [アル・トーケ] 〜フラメンコの飛翔〜』をリリースした日本人フラメンコ・ギタリスト、
沖仁が、7月7日、8日の両日、スペインのムルシアで行なわれた「第5回ムルシア“ニーニョ・リカルド”フラメンコギター国際コンクール国際部門」において優勝! 日本人としては初の快挙を成し遂げました!
このコンクールは、スペインの“3大ギター・コンクール”のひとつに挙げられるほど権威のあるもので、古典フラメンコ・ギターの神様的な存在、ニーニョ・リカルドに因み、歴史は5年と浅いながらも一流の審査員が揃う非常にレベルの高いコンクール。
通常スペイン人ギタリストを対象とするのに対し、国際部門を設けているのが特徴で、過去の受賞者には現在のシーンをリードしている実力者も。書類とデモの審査で8人がセミ・ファイナルへ進出、うち5人がファイナルへ進み、その中からスペイン人部門で1位、2位と、国際部門で1位が選ばれるとのこと。今回、2008年に続き2度目の参加となった沖は、決勝でアルゼンチン人のギタリストと競い、鬼気迫る演奏を披露。見事国際部門1位に。
コンクールへの挑戦に対し、沖は「僕は、いつも初めてフラメンコ・ギターを聴く人にもその魅力を伝えたいという思いで演奏活動をしています。でも、その一方でフラメンコの伝統は重く深く、生涯をかけても吸収しきれないほどで、絶えず勉強を続けないといけないと思います」と語り、「僕の理想の演奏とは、日本でフラメンコに馴染みのない人たちに聴かせる時の演奏とスペインの一流の審査員の前での演奏が矛盾なく重なり合うこと。今回のコンクールには日本のステージで弾く時と同じ心境で臨み、そして聴衆と審査員に認められる演奏をする、というのが大きな目標です。また、それに向けて自分を一層高めていきたい」と意欲を燃やしていました。
日本一のフラメンコ・ギタリストとも評されている沖は、単身スペインで3年半にわたりギターを学び、2000年に帰国。帰国以来、フラメンコの枠に留まらない様々なアーティストとのコラボレーションなどによってそのキャリアと感性を磨き、帰国10年目となる節目の今年、5枚目となるニュー・アルバム『Al Toque [アル・トーケ] 〜フラメンコの飛翔〜』を発表。「今回は、長い制作期間の中で、自分のあり方、フラメンコのあり方をじっくり見直せました。その中で気づいたのは、フラメンコのルーツは“人が人らしくありたい”という願いだ、ということ。かつて迫害を受けたジプシーの思いはそこに集約されており、よりポジティブな形で現在に受け継がれてきています。時代が激変する中で“人が人らしくありたい”という叫びは、今、日本中にこだましていると思います。だとしたら、今自分が日本でフラメンコギターを発信する意味はそこにあるはずだと信じて制作をしました。できるだけ機械に頼らずに「人間の輝きにあふれた音」を目指し、フラメンコの原点を見据えながらの2010年の音楽を作れたと自負しています。 聴いた人が昨日より少しでも元気になってほしい、そして自分自身の力を信じる小さな勇気を見つけてほしい、そんな願いが詰まったアルバムです」とその思いを熱く語っています。
今回の優勝に関して、沖もさっそく自身のブログで「とにかく本当にうれしいです。皆さんの応援も感じましたよ! 本当にありがとうございます!」と喜びの報告をしており、8月末にはニュー・アルバムを記念してのコンサートも東京、大阪、名古屋で開催。沖仁のキャリア、思いが込められた新作を聴いて、本場スペインの聴衆をも熱狂させたその情熱的な演奏、世界観を堪能しましょう!