広末涼子、
稲垣吾郎の共演も話題の映画『桜、ふたたびの加奈子』が4月6日(土)より全国公開。これに先立ち、3月25日(月)にはTOKYO FMホールを会場に、
栗村 実監督をはじめ、本作の音楽を手掛けたクラシック作曲家・
佐村河内 守と、演奏のヴァイオリニスト・
大谷康子を迎えたヴァイオリン演奏付き試写会が行なわれました。
音楽の佐村河内 守(さむらごうち まもる)は、米『タイム』誌で“現代のベートーベン”と称されるなど、国内外のメディアで熱い注目を集めているクラシック界の鬼才。30代で完全に聴力を失い、様々な困難と闘いながら『交響曲第一番〈HIROSHIMA〉』を2003年に完成させ、2011年に
CDリリース。2012年にTV番組で彼の特集が放送されるや一大センセーションを巻き起こし、2012年にはamazonのクラシック部門にて年間一位を獲得しています。
試写会では、「僕たち(佐村河内&栗原監督)は、まだ世間に認められておらず、無名の時から支え合ってきた友人同士です。今回僕は長い時間をかけて組曲を紡ぎあげ、それを栗村監督にすべて渡し、どこの箇所を使うかを選んでもらって、それに対して僕が文句をつけるという作業でした(笑)」(佐村河内)、「実際に撮影現場で佐村河内さんが作ってくれた音楽をかけて撮影をしていたりもしました。音楽のイメージで撮ったり、映像に音楽をつけてもらったりという形で進め、実際に字幕を入れた本編も観てもらいました」(栗原)と制作秘話を語りました。
完成へと至る過程では、「監督は本当に才能があって、ほとんど彼に一任していたのですが。気に入らないところは“全然違う!”と言ったりもしました。だけど連絡もなく、結果、僕の意見が却下されていて腹を立てたり、大喧嘩もしましたね(笑)」(佐村河内)、「ものすごいプレッシャーで、寝ていてもそのことを考えるくらいいっぱいいっぱいで……。返事をしなければならないという時に全体を通して考えたとき、そこはどうしても譲れなかったので、“出来上がったものは納得してもらえますから”と言って佐村河内さんにはこちらの要求を何とか飲んでもらいました」(栗原監督)とのやり取りもあったそうですが、「冷静になって考え全体を見通してみたら、監督が正しかったですね。本当に全体を通して音楽がここに必要かどうかといったことは、監督の全体を見渡せる力に説得されたというより納得したんです。彼の才能は素晴らしくて、ずっと付き合ってきていますが、天才的だと思っています。ずっと付き合ってきて本当に良かったし、本当にありがとう」と、佐村河内は監督へ感謝の言葉を寄せていました。
最後に、映画『桜、ふたたびの加奈子』と佐村河内の音楽とで通じ合う点、共通のテーマについて、「自分の指針に“闇の中の小さな光”という言葉があるのですが、人は闇の中に落ちて、初めてその小さな光に気が付くことができる。その小さな光というのは何かというと、日常にある、代わりのない幸せですよね。それが明るい中だと小さな光はまったく見えない。でもおいしいご飯が食べられて、お父さんがいて、お母さんがいて、そういったことが本当に幸せなんだなということは失ってから気付くことが多い。そんな小さな幸せを闇の中から生みだしていきたいと思って音楽を作っています。監督にも通じるものがあると思う」(佐村河内)、「僕も佐村河内さんと十数年のお付き合いをしていて、彼の芸術に対する姿勢というのは僕が何か作るときのものすごく基本になっています。この作品についても、暗い中でこそ小さな光が見えるということを念頭に置いて作りました。最初映画を観はじめたら暗くて驚かれると思いますが、その中にすごく小さいけれど、美しい光を皆様にもぜひ感じて頂きたいと思います」(栗原監督)と、2人は語っています。