前田敦子の主演最新作、映画『もらとりあむタマ子』(11月23日[土・祝]より公開、監督:
山下敦弘、出演:前田敦子)。11月9日(土)には本作の公開を記念し、監督の山下敦弘、そして漫画家・コラムニストとして活躍する
しまおまほによるトークショーが東京「VACANT」で行なわれました。
イベントでは、前田敦子が演じる主人公“タマ子”の「女の子のB面」的キャラクターの魅力や、共通の知り合いである漫画家のいましろたかしと長尾謙一郎を通じて出会ったという2人の漫画原体験について、後半は「もらとりあむな人生相談」と題して事前に寄せられた悩みに、美大・芸大卒の共通点から、それぞれのモラトリム時代の思い出にも及ぶ珍回答&名回答を披露しました!
なお、11月16日(土)にはトーク・イベント〈タマ子の魅力を語る!〉が東京・新宿「NAKED LOFT」で開催。MCは森 直人(映画評論家)がつとめ、山下監督はじめ、脚本の向井康介、批評家の濱野智史(『前田敦子はキリストを超えた』著者)らが“ぐうたら女子が何故人を魅了するのか?”その理由に迫ります。
また、11月22日(金)には、東京「シネマート新宿」にて、〈山下敦弘×女優たち オールナイト〉と題し、
ペ・ドゥナ(『リンダ リンダ リンダ』)、
夏帆(『天然コケッコー』)、前田敦子(『苦役列車』)と、山下監督が輝かせた女優たちにスポットを当てた3作品をオールナイト上映。監督のトークもありますので、ぜひお出かけください!
〈『もらとりあむタマ子』トークショーより〉
――女性から見た“タマ子”というキャラクターについて。
しまおまほ(以下、しまお) 「女の子のダメな部分じゃないですけど、タマ子が美容室に行く場面で、気に食わない髪型になったんだけど、鏡越しに“ありがとうございます。”ってにこっと笑って次の瞬間にムスっとするみたいな、細かいところが女の子の一瞬のブスな瞬間というか(笑)ほつれの部分を指摘されているような気がしましたね」
山下敦弘監督(以下、山下) 「宇多丸さんも“ブスかわいい”って言ってたって聞きましたけど(笑)。映画全体がそういう感じかなとは思います」
しまお 「一瞬気が抜けてるその瞬間ばかりというか、写真だったら“プリントしない”のほうに入れる写真ばかりの表情が多かったので、……前田(敦子)さんはどう思ったのかなって(笑)」
山下 「今回は日常を淡々と描く作品なので、タマ子のキャラクターのそういう部分を楽しんでもらえるかがこの作品の重要な部分だったりするかと思っていて。僕らは異性だから“かわいい”で許せるんですよ。でも今日は是非しまおさんにお聞きしたかったんですけど、同性から見てどうなのかなって。僕とか(映画監督の)松江哲明とかは前田敦子にハマってるからもうわかんなくなってて(笑)」
しまお 「写真でも、女の子が良いと思う表情と男の人が良いと思うのは違ったりしますもんね。あと家族に対する態度って他人からみてキツいときあるじゃないですか。私もまだ実家なんでそういうところあるんですけど。“わかったよ!”とか“食べるよ!”とか(笑)」
山下 「確かに普通はそこはあまり描かない部分だと思うんですけど」
しまお 「“B面”て言われる部分ですよね」
山下 「そうそう。特にこの作品の前半はB面だけで作っているので、それを描くのは狙いでもあったんですよね」
しまお 「女の子の誰しもこういう面てあると思うんですけど、男性から見るとこのB面の部分て、夢を裏切られた感じになったりするんですかね?」
山下 「それもあるかもしれないですけどね。でも僕の周りにいる人たちにはそういう面が好きな人が多いですね」
――もらとりあむな人生相談
【お悩み1】
現在転職活動中ですが、ピンとこないまま面接をうけ内定をもらっては辞退したり、こんなことの繰り返しです。まさにモラトリアムな状態ですが、どうしたら良いでしょうか。
しまお 「この方は、内定もらっても自分で辞退しちゃうんですね。私の大学時代に、卒業制作をやり直す為に卒業を辞退しちゃう人いたんですけど、今思えば、卒業して世の中に出てから芸術魂燃やすこともできたと思うんですよ。やってみてから考えるのもいいんじゃないでしょうか」
山下 「あとは、このモラトリアム期を周りがどのくらい許してくれるかっていうのもある。俺は大阪でフリーターやりながらたまに映画とってたときが一番楽しかったんですが、結局、脚本や撮影やってる友人はみんな東京に行っちゃうんです。これじゃ映画とれないってなって、周りの状況の変化で俺も東京に来たんですよね。慌てるのはわかるんですけど、状況が許すまで続けてみるっていうのはどうでしょうか」
【お悩み2】
私は大学生ですが、サボリ癖が抜けません。いままでなんとなく出来てしまっていたのが原因だと思いますが、どうしたらよいでしょうか。
しまお 「私もサボリ癖ひどいですよ。美大・芸大って宇宙人みたいな人多くなかったですか? 卒業だけには命をかけて、卒業は絶対したほうがいいですよね」
山下 「いたいた(笑)ランドセル背負ってる人とか(笑)。卒業だけはしたほうがいいから、卒業できるだけの準備はしてサボったほうがいいと思いますよ」
※11月23日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
『もらとりあむタマ子』
《出演》
前田敦子
康すおん
伊東清矢
鈴木慶一
中村久美
富田靖子
《スタッフ》
監督:山下敦弘
脚本:向井康介
撮影:芦澤明子、池内義浩
主題歌:星野 源「季節」
(SPEEDSTAR RECORDS)
製作:エムオン・エンタテインメント、キングレコード
制作プロダクション:マッチポイント
配給:ビターズ・エンド
(C)2013『もらとりあむタマ子』製作委員会