通常のレコードとは、何かが違う、確かに違う、未確認ペラペラ物体“ソノシート”。ウルトラマンや仮面ライダーなど、ヒーロー絵本の付録として、最後のページに袋とじされていたのを懐かしく思い出される方も多いことでしょう。iMacを代表する世の“スケルトン・ブーム”の先駆けともいうべき半透明円盤!ドーナツ盤とはまた異なる風合いにて、コレクター心をくすぐるソノシートについて探ってみましょう。
時は1958年、フランスのレコード・メーカー“SAIP”によって開発された塩化ビニール製のレコードが“フォノシート(Phonosheet)”。これまでのレコード盤と比べて、音質の面では劣るものの、極めて薄い/軽い、大幅に安価である、などの利点を生かし、世界的に普及していったのでした。翌年には、朝日新聞社の系列会社として設立された朝日ソノプレス社(現在の朝日ソノラマ)によって“ソノシート(Sonosheet)”として商標登録され、ソノシート+雑誌という形態にて“音が出る雑誌”「月刊 朝日ソノラマ」が刊行されるなど、日本でもその存在は広く浸透することとなります(ソノシートは商標であったため、会社別にサウンドシート/シートレコード/コロシート/ミュージックブックなどとも呼ばれていた模様)。CD+雑誌/DVD+雑誌/オモチャ+駄菓子/ドラマ〜映画(『パ★テ★オ』)……などなど、現在まで脈々と続くメディア・ミックスはすでにこの当時より行なわれていたのでありました。
音楽ものを中心に、演説集/朗読集/ギターなどの教則集/漫画などを元にしたミニ・ドラマ/プログラム・データを録音したもの(パソコン雑誌の付録)……多岐にわたったソノシートの栄光も、レコード文化の衰退とともに陰りをみせ、2005年には日本国内での生産が終了。その歴史に幕を閉じることに。
ザ・スターリン「電動コケシ」/EXIT HIPPIES「ACID RAIN 4」(クリアー盤)/ゲームソフト『Dear My Friend』特典などが最後の製品となったのでした。
今や恐ろしいほどの高値を醸しだす『ビートルズ特集16曲』(写真・ビクターミュージックブック)、雑誌『ロッキンf』の特典として付いてきた
GASTUNK「DEAD SONG」、
KENZI&THE TRIPSのファンクラブ会員募集の文字も眩しい「INDIES FESTIVAL LIVE 87」、千葉がほこるメタル・コア“POISONOUS CROSS GIBBET(P.C.G)”のディスコグラフィ(ソノシートのみリリース?)、封入されたメッセージを読むたびにその苦労がしのばれるTEENAGE BONEHEADS×RABIESによるスプリット「A SPLIT SOUND SHEET 1997」などなど、決して忘れてはいけない数々の名盤を愛聴しつつ、太陽に透かしてみればマニアな世界が垣間見える、世にも麗しきソノシート文明を今一度振り返りましょう。
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