ご質問のCMにて
田村正和のバックで、壮大かつ華やかなイメージを喚起してくれる音楽は、
マーラーの交響曲第1番「巨人」です。
世紀転換期の中欧で活躍した作曲家マーラーは約9曲の傑作交響曲で有名。その第一弾であるこの「巨人」を発表した当時の彼は弱冠29歳、むしろ若く優秀な指揮者としての名声が高かった頃でした。当初は全部で5楽章あり、彼自身の恋愛体験を色濃く反映した“花の章”という部分を含んでいましたが、失恋の痛手が個人的にこたえたのか? 後にこの楽章を削除し、現在普通に演奏される4楽章の形に落ちつきました。彼自身が名付けた「巨人」という題には“曲の感じが何となく”以上の意味はないらしいのですが、それにしても雄大な曲想といい、華やかなオーケストレーションといい、まさに広い空の下をゆっくり闊歩する巨人のイメージそのままですね? “新製品登場!”という晴れがましさにぴったりではないでしょうか?
マーラーの交響曲はどの曲もCDがたくさん発売されていますが、この「巨人」を手軽に、しかもわかりやすい(つまり、息が詰まるほど荘重さがない綺麗なもった)演奏で聴けるのが、
エリアフ・インバルの1枚です。すっきりした演奏ながら、聴いた後に豊かな充実感が残る名演で、発売当時は世界各国で絶賛され多くの賞を受賞した1枚です。
また、オリジナルの5楽章形式を再現した演奏もいくつかありますが、その中ではエイベックス・クラシックスの1枚が秀演でおすすめ。
テオ・アンゲロプロスの映画を思わせる高雅にしてキッチュなジャケット写真もオシャレです。演奏されているのが、“5楽章版”という点もふくめ、ちょっと技アリな1枚といえるでしょう。
なお、
サントリーのHPで、
「ダブル絞り」のCMはご覧になれますよ。
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