「きちべい」はたまた「よしごめ」? 「かりお」なのか「こりお」なのか……。“珍しい苗字/名前”のひとつとして、事典に掲載されていそうな
「吉米克里夫」。ない知恵を振り絞って考えた結果、とあるミュージシャンの中国語表記であることが判明! ジャマイカを代表する生ける伝説、レゲエ・シンガーの
ジミー・クリフを指しているのです。
レッド・ツェッペリンの
ジミー・ペイジが
「吉米佩吉」となる通り
「吉米 = ジミー」、『ハリー・ポッター』の
ダニエル・ラドクリフが
「丹尼爾雷徳克里夫」とくれば
「克里夫 = クリフ」、日本人にとってはまるで暗号のような意味が隠されていたのでした。
以前、
「漢字の国“中国”のアーティスト表記は奥深い!」として取り上げた“中国でのアーティスト表記”問題。他の国の言葉を表現する際に“漢字に当てはめる”という手法をとる中国では、「その漢字のヨミを元の言葉のヨミに合わす」/「元の言葉の意味から、その意味に合った漢字を当てはめる」なる2パターンが存在するということを、様々な例からご紹介いたしましたが、あまりの名作揃い故、フォローできなかった名前はまだまだございまして。雑学ブームの昨今だからこそ知っておきたい、(日本人にしてみれば)少し不思議な中国語表記を厳選のうえお届けいたします。
まず、多いのがバンド/ユニットなどを表していると思しき“楽団/合唱団”系。オルタナ/ジャンクの始祖を敢えて直訳してみた
ソニック・ユースの
「音速青春楽団」を筆頭に、「言われてみれば確かにそうなのかもしれない……」と、なぜか納得してしまうのが漢字の不思議な力。これを“尖端”と呼ばずして何が尖端か!とUKから遠吠えが聞こえてきそうな
デペッシュ・モードの
「流行尖端楽団」、ねっとり粘り気のある骨太メロディが思い浮かぶ
ウルフルズの
「糊里糊塗楽団」、誰もが通常の7割ほどの力で頷いてしまう自分の姿にお気づきのはず。そもそもは「ECSTASY」をもじったものだとまでは気が付かなかったのであろう、
XTC「XTC楽団」の丸投げぶりも興味深いところです。
「ジミー・クリフ = 吉米克里夫」のごとく、日本人にも馴染みあるファーストネームも、ちょっと工夫でこの旨さ。
ボビー・ブラウン「巴比布朗」、ボビー・ダーリン
「巴比達林」であることから
「ボビー = 巴比」。
ボブ・ゲルドフ「巴布吉道夫」、
ボブ・マーリィ「巴布馬利」とくれば
「ボブ = 巴布」。
ジョー・ストラマー「喬史都蒙」、
ジョー・ジャクソン「喬傑克森」なので「ジョー = 喬」。
マイケル・ジャクソン「麥可傑克森」、
マイケル・ボルトン「麥可伯得恩」つまりは
「マイケル = 麥可」。聞きなれたあの名前も、漢字となると何だか意味深。「朗らかに布を比べる巴(御前)」と『平家物語』の一説が飛び出してきそうな、もののあはれを感じさせてくれます(嘘)。
「クール」は「冷たい」、「冷たい」は「残酷」……と連想ゲームの果てに辿り着いた
LL COOL J「LL 酷 J」、かの昔、少林寺と対抗した武闘派「ウータン」(ウータンそのものは武闘の意/少林寺拳法の流派の一つと言われている)からその名を頂いた、
ウータン・クランのリーダー
RZA「武富派之RZA」、「そりゃそうだ」としかいえない
サイプレス・ヒル「墓園三人組」、打って閃く!と言い得て妙な
K DUB SHINE「K打閃」……。プライドとビジネスが渦巻くヒップホップ業界、漢字表記においてもそのオンリー・ワンな個性は失われるどころか輝きを増しています。
「愛的魔幻」に
「比比金」、探せば探すほど興味が沸いてしまう、中国における漢字表記ザ・ワールド。日本人の常識を覆すその深遠なる世界、ご旅行の際には貴方もぜひ注目を!
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