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【インタビュー】ライヴ・アット “セカンドライフ”!?

2007/10/26掲載
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海外ではメジャー・レーベルが、自社ビルをどーん!と建て、所属アーティストの情報を提供/公開しているらしいとか、イギリスの新聞“ガーディアン (The Guardian) ”がインテルとタッグを組んで“夏フェス”「Secondfest」を開催したらしいなど、音楽ファンの間でも話題にのぼりながらも実際に何が起こっているのか実像がなかなか掴めないヴァーチャル・サービス“セカンド・ライフ”。団塊世代の一斉退職“2007年問題”と関係あるんだろうか……などとうっかり考え込んでしまう方のため、どんなことが起こっているのか、CDJournal.comがリサーチしてみました。
 では、セカンド・ライフ(以下SL)の基本的な説明から。米リンデン・ラボ社が運営するヴァーチャル・コミュニティ・サービスのこと。インターネット上に存在する3次元空間に、インターネットを経由して接続、利用者は“アバター”という3次元での分身を介して、その空間を楽しんだり、他ユーザーとコミュニケーションをはかります。

 SL内での通貨がリアル・マネー(現実世界の通貨/米ドル)に換金できることや、不動産運用も可能であることから、経済的にも大きな注目を集めています。ファッションの世界では、クリスチャン・ディオールが新作ジュエリーのプレス・プレビューを行なったり、出演者もアバターとなってSL内で公開収録している番組『デジタルの根性』(NTV系)がテレビで放送されたり、もはや無視することの出来ないコミュニティを形成。全世界中のユーザー数は1,000万人にせまり、常時数万人がログインして状態とも言われています。詳しくは、この9月に発売された日本初のSLガイドDVD『セカンドライフの歩き方 バーチャルワールド・ガイドDVD』(写真右上)をチェックして、実際にアカウントを作成し、楽しんでみてください。

音楽ファンの間で記憶に新しいイベントとしては、ミュージシャンとしても活動し、ファッション・デザイナー、モデルとしても人気を博すMEGが、8月にSL内で行なわれたファッション・イベント「SL CREATORS AWARD 2007」の一部として、10月にリリースする新曲「OK」をお披露目するライヴを行なったことが大きな話題となりました。画像でもわかる通り、MEGの愛猫をモチーフにしたというキャラクター、“リウさん”もアバターとしてリアルのライヴと同様に登場しています。このライヴはなんと、入場規制がかかってしまうほどの盛況だったとのこと。MEGは彼女のblogで<また次回をやりたい>と発言しているので、自身のファッション・ブランド“カロリナグレイサー”関連のものも含め、今後もSL内でのさまざまな活動を計画しているようですよ。




 さらに、ミュージシャンとしてのプロモーション活動だけでなく、ユーザーとして実際にSLを楽しみながらライブ活動を行なっているアーティストの姿も見受けられます。なかでも、かつてフリッパーズ・ギターのトリビュート・アルバム『TRIBUTE TO FLIPPER'S GUITER 〜FREINDS AGAIN〜 FLIPPER'S GUITAR トリビュート』をリリースしたことでも知られるイズミカワソラさんはSLでは“Solary Clary”という名前で、実際にSLの生活を楽しみながら、“pro-musicista group”というアーティストのグループを立ち上げて定期的にライヴ活動を行なっています。




――SLに参入しよう、と思ったきっかけについて教えてください。

きっかけは、妹がたまたまテレビでSLの特集を見ていて、勧められたことです。私が参入したのは今年(2007年)の4月です。音楽作業はもちろんですが、映像や写真など、一日のほとんどをパソコンの前で過ごすような(笑) デジタル・ライフを送っていたので、妹は「これはソラにぴったり!! 」と思ったそうです。私もおもしろそうだなーと思ってすぐにアカントを取って参入しました。


――SLの魅力って何ですか?

いろいろあるのですが、一番は世界中の人々と交流を持てるというところですね。
私は今、月に1〜2度、SL内でライヴを行なっているのですが、日本をはじめ世界中の人々が私のライヴを見に来てくれます。これは現実社会ではあり得ないことで、自宅にいながらにして、SLという世界を通じて、世界中の人々と交流が持てることがとても楽しいです


――まだユーザーではない方のためにライヴの仕組み、について教えてください。

私の場合はすべて生演奏です。ライヴもMCもすべて、リアル・ストリーミングの方法で配信を確立し、ピアノ(キーボード)を弾いて、唄ってますっ!
ライヴを行なっているアーティストの配信方法はそれぞれで、リアルタイムで演奏している人もいれば、事前収録した音源を流す人もいますよ。


――なるほど。他のアーティストさんのお話が出たところで、イズミカワさんが中心となっているpro-musicista groupについて教えてください。

SLの中では、国を超えてたくさんのミュージシャンがいてライヴ活動を行なっていますが、日本のミュージシャンはまだまだ少ないのが現状です。
単純にこんなに楽しいんだから、“もっと日本のミュージシャンが増えたらいいのになー!”と思っていたんです。ある日、ふと待ってるだけじゃなくて、自分から知り合いのミュージシャンに声をかけてみようと思い立ち、そこから先輩、友達のアーティストの方々に声をかけた結果、“おもしろそうだからやってみるっっ!!”と快く集まってくれたのが、pro-musicistaなんです。


――イズミカワさんが、ミュージシャン仲間に楽しさを広めたんですね(笑)。具体的にはどんな活動をしていらっしゃるんですか?

pro-musicistaは、月に2度程度、SL内でライヴを開催しています。毎回、開始4時間前から行列ができるほど盛況で、中には時差もあるのに海外から集まって下さる方もいるんですよ。


――4時間も前から行列するなんて、オーディエンスの方々がどれだけ楽しみに待っているか、伝わりますね。……実際に現実世界でもミュージシャンとしてのキャリアがあるイズミカワさんにとって、SLでの活動とリアルでの活動の違いを感じることはありますか?

まずは、やはり日本全国そして世界をベースに活動しているという実感があることですね。北は北海道から南は沖縄、そして世界中の方々が、SL内にあるひとつのライヴハウスに集まって下さるんです。現実では、海外に出向かないと海外の方々にライヴを聴いていただくことは難しいですが、SLの中では、日本にいながらにして世界中の方々にライヴを届けることができます。しかも、その反応がダイレクトにかえってくるんです!リアルでのライヴは、よっぽどの小規模のものでない限り、拍手をもらうことはあっても、ひとつひとつ会話をしながらライヴを進めることはないですよね。でも、SL中では、聴いている方々もチャット・ツールを通して、私たちと話をしながらライヴを聴けるので、リアルよりもダイレクトに反応がかえってきます。すごく一体感があるんですよね。それがSLのライヴのおもしろいところで、もっともっといろんなミュージシャンの方々がSLに参入しないかなー!と思ってます。


――ステキですね。 物理的な距離を越えて、ライヴでの一体感を感じることが出来るんですね。ではSL内での今後のイベントはどんなものが予定されているか教えていただけますか?

SLでは、完全予約制でオールリクエストによるライヴを行なったり、11月に予定されている、ある大学の文化祭でのライヴに乱入するかも(笑)。通常のライヴはもちろんのこと、SLでしか出来ないライヴにもどんどん挑戦しています。

――実際に、現実のソラさんのライヴを体験してみたい!という方は……

リアルでは、12月1日/2日に石野田奈津代さんと一緒にプラネタリウムでコンサートを行ないますので、足を運んでみてください!


「プラネタリウムコンサート 〜月夜にオリオン〜」
出演 : イズミカワソラ 石野田奈津代

12月1日(土) open-17:00 start-17:30
12月2日(日) open-12:30 start-13:00
北とぴあ6F プラネタリウムホール (東京都北区王子1-11-1)
チケット : 前売り 5,000yen (全席指定・税込)
プレオーダー : e+(イープラス)
[ 2007年10月26日(金)〜29日(月) ]
一般発売日 : [ 2007年11月4日(日) ]
▽チケットぴあ [ Pコード : 274-387 / ぴあ受付電話番号 : 0570-02-9999 ]
▽e+ (イープラス)
お問い合わせ : TーBSラジオイベントダイアル 03-5570-5151
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