昨年の夏、同じイベントの出演をきっかけに出会ったという
熊木杏里さんと
奥華子さん。正反対の性格でもある2人は初対面から意気投合。そんな彼女たちに曲を書くときのスタイルなどについて話していただきました。気を許せる間柄ならではの、とても楽しいフランクな対談となりました。
――まずは、お2人の出会いについてお聞かせください。
熊木杏里(以下、熊木) 「最初に会ったのは去年の夏でしたね。福岡のイベントで一緒になって」
奥華子(以下、奥) 「打ち上げで席が隣だったんだよね。もちろん以前から杏里ちゃんのことは知ってたから、話してみたいな、仲良くなれるかなってドキドキしながら自分のCDを渡したのを覚えてる。そしたら杏里ちゃんはCDと一緒に、なぜかヨーヨーをくれたよね(笑)」
熊木 「そう、あの日、お祭りがあったから」
奥 「“なんでヨーヨー!?”と思って、すごくおもしろかった(笑)。曲や見た目からおとなしいイメージがあったけど、実際に話してみると違うから、意外だったな」
熊木 「私も会う前から奥さんのこと、評判を聞いていて楽しみにしてた。確かにおしゃべりすると全部の発言がおもしろくて、初対面なのに爆笑しちゃった(笑)。それで、また一緒にごはんを食べようって話になったんですよね」
奥 「そうそう、あのときは夜の8時から朝の4時くらいまで、ずーっと喋ってたよね」
――「どうやって曲作る?」みたいな話をすることはありますか?
奥 「杏里ちゃんはいつもパッと曲ができるって言ってたよね。私は曲作りで何週間も苦しむから、全然違うなあと思った」
熊木 「奥さんはいつもどこで曲作りしてるんですか?」
奥 「人がいっぱいいるところ。人混みの街中や喫茶店にいると、いろんなメロディが浮かんでくるから、喋ってるフリしてケータイに吹き込むの(笑)」
熊木 「私、喫茶店で書いたこと、1回もないなあ」
奥 「杏里ちゃんは家でしか作らないの?」
熊木 「うん。人がまわりにいると気を遣っちゃって、自分のことに集中できないんですよね。だから家で歌詞を書きながら、頭の中で歌って作ってる」
奥 「確かに杏里ちゃんの歌って、言葉が先に生まれてる感じがする。私はメロディが先で、それに合う言葉を探して、その言葉から物語をふくらませることが多い。歌詞は何に書いてるの?」
熊木 「私は手書き。ファックス用紙にシャーペンで」
奥 「私はA3ノートに手書き。どうしてノートじゃなくて紙に書くの?」
熊木 「なんとなく、真っ白な紙は“明日はない”って感じがするから(笑)。ノートは、昨日も今日も明日も続いてる感じがする」
奥 「なるほど(笑)、その感覚はなんとなくわかる。やっぱり何に書くかって大事よね。私もB5の目が細かいノートだと、やる気なくすもん。ガーッと大きな文字を書けるノートが好き」
――歌詞を書くうえでいちばん苦労するのは?
熊木 「出だしですね。私の曲作りは、とにかく出だし命(笑)。書き始めた瞬間にすべてが生まれるから、まず自分がなにを言いたいのかを確認する作業に、すごく時間がかかる」
奥 「杏里ちゃんの集中してる姿が目に浮かぶなあ(笑)。歌詞は実体験をもとに書いてる?」
熊木 「そうですね。空想で書くことありますか?」
奥 「体験したことのないシチュエーションを書くことはあるけど、感情を想像で書くことはぜったいにない。だからいちどの失恋で何十曲書いてるんだろうって感じ(笑)。でも不思議なのは、生まれてくる曲って、そのときの自分の状態を表してるとは限らないんだよね。失恋したときこそ幸せな曲を作りたくなったりするし、すごく幸せだと不安になって、ものすごく暗い曲を作りたくなったりする」
熊木 「気持ちがフラットなときは?」
奥 「それがないの(笑)。つねに両極端なの」
熊木 「それは恋愛において?」
奥 「たぶんそう。恋愛は生きてる気持ちとくっついてるから」
――恋愛は曲を書くモチベーションになりますか?
奥 「もちろん!」
熊木 「そこがいいですよね……(しみじみと)」
奥 「えっ、杏里ちゃんは違うの!?」
熊木 「違う気がする。奥さんは誰のために、何を歌うのかが明確でいいなと思う。私はその模索中なのかな……。たとえば奥さんの“あなたに好きと言われたい”っていうフレーズなんて、私には絶対に書けないと思う」
奥 「杏里ちゃんの曲は、メロディも歌詞もすごく詩的よね。たとえば“君の名前は優しさと同じ”なんて普段言わないセリフだから、ドキッとする。これこそ杏里節だよね」
熊木 「そっか、奥さんは普段言うような言葉を使うのが上手なんだ……。もしかして普段から“あなたに好きと言われたい”って言ったりします?」
奥 「言う!」
熊木 「言うんだ(笑)!」
奥 「言っちゃう(笑)」
熊木 「だからそれを素直に書けるんだね。奥さんはいつも外に向かってるもんね。私はうれしいことがあると、心にホコホコ込めながら内にこもるタイプだから」
奥 「確かに杏里ちゃん、ときどきニヤケ笑いしてるよね」
熊木 「あはははは!」
奥 「ふと見ると、けっこうひとりでニヤニヤしてる(笑)」
熊木 「そうそう、普段からムフムフしてます(笑)」
――(笑)。では、歌詞を書くときにインスピレーションを受けるものはなんですか?
奥 「恋愛小説が多いですね。もともと吉本ばななさんの小説が好きなんですけど、最近はとくに女性の小説を読むことが多いかな」
熊木 「このあいだ、(
安野モヨコの)『ハッピーマニア』を読んでるって言ってましたよね」
奥 「そう、若い女の子が読むマンガを読んでみようと思って(笑)。最近(少女マンガ誌の)『Cookie』とか読んで、学生時代にドキドキしてた気持ちをマンガでもういちど体験してるんだ」
熊木 「私も恋愛小説をよく読んでます。島本理生さんや
谷村志穂さん、
江國香織さんが好き」
奥 「恋愛小説ってやっぱり恋愛を疑似体験できるのが楽しいから、自分が恋愛してるときはあんまり読みたいと思わないんだよね。恋愛したいなと思うときこそ読みたいと思う」
熊木 「きっと手がかりを探したいんだよね。いろんな気持ちを代弁してくれるから」
――それってラブ・ソングを聴く感覚に似てますね。ちなみにお2人が学生時代に好きだったラブ・ソングは?
熊木 「私は中学生の多感な恋愛をしてるときに
globeが大好きで、自分と重ねながらよく歌ってました。今でも聴くと、そのころを思い出してキュンとなる」
奥 「杏里ちゃんが歌うglobeってちょっと新鮮! 私はね、
槇原敬之さんが大好き。歌詞がすばらしすぎて、もうホント、生まれてきてくれてありがとうございますって思う!」
熊木 「すごい、今にも感謝の歌が生まれそう(笑)」
奥 「ソングライターとしてもすごく影響受けてると思う。私、男性のラブ・ソングが大好きなんだけど、
小田和正さんのライヴを観たときは、最初から号泣しちゃった!」
熊木 「号泣なんてすごい! 私はどんなに感動しても、その瞬間はワーッとなれなくて、淡々とした顔しちゃう」
奥 「淡々としつつ、心の中では燃えてるんでしょ?」
熊木 「中ではフツフツと燃えてますね。いいなあ、いちど奥さんになってみたい」
奥 「入れ替わったらぜったいおもしろいよね! でも私たち、正反対のタイプだから相性いいのかも。一緒にいて楽じゃない?」
熊木 「うん、楽だし、すごく楽しい」
――では最後に、お互いに歌をプレゼントするとしたら?
奥 「杏里ちゃんの歌は自分に語りかけてくれるような曲が多いから、激情的な歌はどうかな。心静かじゃない歌を聴いてみたい」
熊木 「私は奥さんに、心をほわっと包み込むような歌をうたってほしいな」
奥 「でも杏里ちゃんが書いた歌をうたうの、すっごくたいへんだろうな。私、杏里ちゃんのマネして歌ってみたことがあるんだけど、超難しかったもん」
熊木 「(真顔で)ちょっと歌ってみてもらえますか?」
奥 「ここで(笑)!? それだけはカンベンしてください(笑)!!」
取材・文/廿楽玲子(2009年11月)
撮影/高木あつ子
【奥華子 最新作『BIRTHDAY』】(PCCA-02954)
【奥華子 LIVE INFORMATION】〈奥華子クリスマスコンサート2009〜冬の灯〜〉
12月16日(水)愛知・名古屋芸術創造センター
(問)サンデーフォークプロモーション[Tel]052-320-9100
12月18日(金)東京・五反田ゆうぽうとホール
(問)ホットスタッフプロモーション[Tel]03-5720-9999
12月23日(水・祝)大阪・なんばHatch
(問)キョードーチケットセンター[Tel]06-7732-8888
※全席指定4,800円(未就学児入場不可)
※なんばHatchのみ立ち見席あり
〈《水害復興記念》第9回青少年のためのコンサート'09〉
12月12日(土)京都・三条市中央公民館大ホール
※問:三条市青少年育成センター[Tel]0256-32-0908
〈COOL BEAT in KYOTO 2009〜ACOUSTIC NIGHT REVUE 4DAYS〉
12月15日(火)19:00開演京都・京都文化博物館別館ホール
●出演:奥華子/シカゴプードル
※問:ナウウエストワン 075-252-5150
〈LIVE IN LANDMARK X'mas Night special five days〉
「Fm yokohama 25th anniversary pre-ivent〜男ZUSHI MAX SPECIAL!!!音霊番外編〜」
12月20日(日)神奈川・横浜ランドマークホール
●出演:奥華子/木山裕策/熊木杏里/高橋直純
奥華子 公式ホームページ
https://www.okuhanako.com/ 【6th アルバム『はなよりほかに』】11月6日発売
(初回限定盤:11曲+ボーナストラック2曲入り,000円)
(通常盤:全11曲入り2,800円)
【熊木杏里 Autumn Tour 2009 はなよりほかに】11/6 広島クラブクアトロ 開場18:00/開演19:00
チケット:前売¥3500/当日¥4000(整理No.付、別途ドリンク代要)発売中
info:夢番地広島/082-249-3571
11/7 福岡Gate's7 開場18:00/開演18:30
チケット:全自由 前売¥3500/当日¥4000(整理No付、別途ドリンク代要)発売中
info:BEA/092-712-422121
11/13 大阪なんばHatch 開場18:30/開演19:00
チケット:前売¥3500/当日¥4000.(別途ドリンク代要)
YUMEBANCHI WEB販売8/31〜9/4
一般発売:9/27(日)
info:夢番地大阪/06-6341-3525
11/15 東京国際フォーラムC 開場17:15/開演18:00
チケット:全席指定 前売¥4500.9/13〜発売中
info:FLIP SIDE/03-3466-1100
11/22 浜松 K-MIX space-K 開場16:30/開演17:00
チケット:指定¥3500.立見¥3300.(整理No.付)
一般販売:9/19(土)10:00〜
info:サンデーフォーク静岡/054-284-9999
11/23 名古屋ダイアモンドホール 開場16:30/開演17:00
チケット:指定¥3500.(整理No.付、別途ドリンク代要) 一般販売:9/19(土)10:00〜
info:サンデーフォーク/052-320-9100
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https://www.kumakianri.com/■オフィシャル・ブログ:
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