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二階堂ふみ主演、室生犀星の小説を石井岳龍が映画化『蜜のあわれ』

二階堂ふみ   2015/07/08 15:24掲載
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二階堂ふみ主演、室生犀星の小説を石井岳龍が映画化『蜜のあわれ』
 “金沢三文豪”の一人である室生犀星が1959年に発表した小説を、二階堂ふみ主演で石井岳龍監督が映画化。『蜜のあわれ』は2016年公開予定です。

 大正期の詩壇を牽引、昭和期には『幼年時代』『あにいもうと』『杏っ子』などの名作小説を発表しつつも、随筆、童話、俳句と多岐のジャンルにわたって作品を発表した、近代文学史作家のひとり、室生犀星(むろう さいせい)。そんな彼の理想の“女(ひと)”の結晶といわれ、変幻自在の金魚の姿を持つ少女“赤子”と老作家との会話で構成された超現実主義的小説『蜜のあはれ』を、ジャンルを超越した強烈な世界観で熱狂的な支持を受ける石井岳龍監督が映画化。撮影は、石井監督と数々の作品を共にし、近年では『悪人』『大鹿村騒動記』『許されざる者』などを担当した、日本を代表する名カメラマンの笠松則通。両者は20年ぶりのタッグとなるとのこと。

 また本作は、室生の地元である富山県・金沢市を中心にロケが行なわれ、キャストには、妖艶な美しさを兼ねそろえた魅惑的な少女“赤子”を二階堂ふみ、赤子と共に暮らす老作家を大杉 漣が演じ、あの独特の世界観を体現しています。

原作はプロデューサーから薦められて初めて知りました。室生犀星は好きな詩人でしたが、最晩年にこんな小説を書いていたとは、まったく知りませんでした。くらくらしてとっても楽しいと思いました。金魚や幽霊と小説家がこんなに活き活きと会話をし続けるお話が面白くない筈がないです。

 今回は以前からお仕事をしたかったけど叶わなかった初めての方々とたくさんご一緒でき、緊張もしましたが同時に大きな喜びでもありました。
脚本家 港岳彦君はじめ初対面スタッフとの仕事は大いに刺激になりましたが、20年ぶりになった撮影の笠松君との久しぶりのタッグもとても嬉しく充実しました。製作陣とも多くの再会があり記念碑的な作品になっています。現場は時間との闘いで日々乗り切るのに必死でした。原作の持つ面白さ、不思議さをいろんな側面からより映画的に豊かにしたいと欲張りました。本格文芸ドラマにファンタジー、エロス、ミュージカル要素なども盛り込まれ、それが目を見張る映像と美術世界の中に描かれます。見どころ満載の、おかしくて切なくて愛しい至福の作品になると思います。

――石井岳龍監督

原作「蜜のあわれ」を初めて読んだ高校生の時から、映画化するなら絶対に自分がこの赤子という役をやりたいなと思ってました。私はあの頃の時代の小説のフェチズムがすごく強調されているところがとても好きなんです。ロリータコンプレックス的な要素や女性に対しての憧れであったりとか、色んなものが入り混じっていて。今回の私が演じた赤子はすこし自分自身が子供にかえっているような気がしています。すごく無防備で、愛おしいキャラクターです。高野文子さんの漫画の動きをイメージしたり、知り合いの子供がやっていたことを真似してみたりとか、金魚ってこういう動きするかな……と手探りでやる作業がとても楽しかったです。人間以外の役をやるのは猫、狸に続いて、実は3回目なんですが、意外と人間以外もいけるな、と思いました(笑)石井監督はとても丁寧な紳士的な方で、俳優部の気持ちを優先させて下さって、やっぱり映画って素敵だな、と改めて感じた現場でした。
――二階堂ふみ

老いゆく作家の儚さ 切なさ 可笑しみ そして あわれ!
そんな人物像に愛おしさを強く感じました。撮影は全編北陸、作品の時代性もありますが、この映画のためにこの場所があったのではないかと感じるほどの素晴らしいロケーションでした。石井岳龍監督は言うまでもなく《映画の人》です。繊細と大胆を行き来する演出は、役者冥利の時間でもありました。室生犀星のリアルな言葉に老いてなお枯れることのない“残酷な蜜”を味わっていただければ嬉しい限りです。

――大杉 漣

『蜜のあわれ』
2016年全国ロードショー

出演: 二階堂ふみ / 大杉 漣

原作: 室生犀星「蜜のあはれ」
監督: 石井岳龍
脚本: 港 岳彦
撮影: 笠松則通

[STORY]
自分のことを「あたい」と呼び、まあるいお尻と愛嬌のある顔が愛くるしい赤子(二階堂ふみ)は、共に暮らす老作家(大杉 漣)を「おじさま」と呼んで、とめどないおしゃべりをして毎日を過ごしている。ふたりはかなりきわどいエロチックな会話を繰り返し、夜は身体をぴったりとくっ付けて一緒に寝たりもする。しかしなにやら様子がおかしい。赤子は普通の女とは何かが違う。普通の人間には彼女の正体がわからず、野良猫には正体がバレてしまう。そう、彼女はある時は女(ひと)、ある時は尾鰭をひらひらさせる真っ赤な金魚……。そんな赤子と老作家が静かに暮らしている中、少々怪しげな老作家の“過去の女”が現れて……。
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