映画『MINAMATA―ミナマタ―』でジョニー・デップが演じた写真家のユージーン・スミスは、1950年代半ばに米ニューヨーク・マンハッタンへ。住まいのあったロフトにはジャズ・ミュージシャンが出入りし、日夜ジャム・セッションを繰り広げていました。その模様を写真に収め、録音したスミスのアーカイヴを編集した、黄金期のジャズの熱気を伝える映画『ジャズ・ロフト』が10月15日（金）より東京・渋谷 Bunkamuraル・シネマほか全国で順次公開されます。配給はマーメイドフィルム、コピアポア・フィルム。

　スミスを研究するサム・スティーブンソンは、1999年アリゾナ州ツーソンのスミスのアーカイヴでロフトで録音された4,000時間におよぶオーディオテープを発見。その書き起こしと、ロフトで撮られた写真、当事者たちの証言などで構成した書籍『The Jazz Loft Project: Photographs and Tapes of W. Eugene Smith from 821 Sixth Avenue, 1957-1965』を2009年に発表しました。その後、この本をもとに制作されたラジオ・シリーズ『Jazz Loft Radio Series』の制作・脚本・ホストを務めたサラ・フィシュコが監督した映画が『ジャズ・ロフト』です。

　映画は、セロニアス・モンクとホール・オーヴァトンが、のちにライヴ・アルバム『セロニアス・モンク・オーケストラ・アット・タウン・ホール』にまとめられた1959年2月28日の公演に向けて準備する歴史的にも貴重なシーンをはじめ、ロフトに集っていたズート・シムズ、カーラ・ブレイ、ビル・クロウ、デイヴ・フリッシュバーグ、ロニー・フリーほか多くのミュージシャンによるセッションの模様や証言、さらにジュリアード音楽院で講師を務めていたオーヴァトンの教え子だったスティーヴ・ライヒ、モンクの息子のT.S.モンク、ジャズ・ピアニストのジェイソン・モランらの証言などで構成されています。


©1999,2015 The Heirs of W. Eugene Smith.