ソニーMAP-S1を実際に5日間ほど使い、とても大きな驚きと可能性を感じた。この数年、ハイレゾの音楽データ再生やradikoなどインターネットラジオの再生に対応したオールインワンの機器が発売されてきているが、「あれができるのにこれができないのか」と思わせられる機種も多かった。でも、MAP-S1は実に気が利いている。必要な機能をすべて兼ね備えつつ、その上で小型でスタイリッシュであることが、何よりの魅力だった。
MAP-S1のリアパネル。LAN端子、USB端子、LINE入出力各1系統、スピーカー出力、そして無線LAN用のアンテナを装備している。
MAP-S1のマルチぶりを言葉で書くと、以下の通りになる。PCやMacと組み合わせるUSB接続のDAC、同じLAN上にあるDLNAのNASに保存した音源を再生するネットワークプレーヤー機能、Bluetooth接続が可能で、AirPlayにも対応し、radikoやMusicUnlimitedの再生アプリも組み込まれていて、USBメモリからの再生ができて、FMとAMのチューナーが内蔵され、CDの再生ができて、アナログの外部入力端子も付いている「アンプ」ということになる。MAP-S1の背面にLANケーブルを挿せば、現在考えられる新しい音楽再生のほとんどが可能で、これは驚きを超えて感動すら覚えた。
そして、MAP-S1の良さはCDを捨てていないことだ。ちょっと鋭角な雰囲気の中にスロットローディングのCDドライブが実にうまくデザインされていて、ソニーデザインの面目躍如という感じがした。一般にハイレゾ音源と呼ばれる、192kHz / 24bitまでのPCM音源、そして2.8MHzまでのDSD音源を再生することができるので、MAP-S1ではぜひハイレゾ音源の良さを体験してほしい。
MAP-S1はスピーカーがあればすぐに音楽再生ができるのだが、今はヘッドフォンの人気が高いので、ヘッドフォン端子からの音質も確かめてみると、これがなかなかよかった。だから、発想を変えてスピーカーレスで使うのもよい。CD、ハイレゾ、MusicUnlimitedなどの配信サービス、FMなどさまざまな音源からの音楽再生を一台で再生可能な少し大きめのヘッドフォンアンプ、という使い方もあるだろう。MAP-S1の能力は高く、一台であらゆるユーザーの要求に応じてくれる。