今もロング・セールスを続けるバラード
「奇跡を望むなら…」(07年)、
Spontaniaとのコラヴォレーション曲
「君のすべてに」、そのアンサー・ソングとしてリリースされた「素直になれたら」など、優れた楽曲を次々と発表、シンガーとしての強い存在感をアピールしてきたJUJUが2枚目のオリジナル・フル・アルバム『What‘s Love?』を完成させた。彼女のホーム・グラウンドであるニューヨークのクリエイター・チームによるR&Bナンバー「U Got Me」、スウィング・ジャズのエッセンスをたっぷり含んだ「My Life」、ヒットメイカー・
亀田誠治の編曲によるギター・ロック・チューン「I can be free」、日本的叙情をたたえたバラード「sakura」、松尾潔がプロデュースを手掛けたモータウン・テイストのポップ・チューン「LOVE TOGETHER」、
MONGOL800のキヨサクとのアコースティック・デュエット・ナンバー「愛しい(かなしい)」。ジャンルを超えたアーティストが参加した本作は、まるでコンピレーション盤のような広がりを持ったヴォーカル・アルバムに仕上がっている。
「ジャンルをひとつに絞るとすれば、まちがいなくストレート・アップなジャズ・アルバムを作ると思うんです。でも、前のアルバム(『Wonderful Life』)以降は本当にいろんなテイストのシングルを作ってきたし、これはどう考えても、コンピみたいなアルバムになるなって。それもね、一度はやってみたかったんですよ。“ジュジュ苑”(昨年4月から行われているマンスリー・カヴァー・ライヴ)をやっているのも“いろんな歌を歌いたい”っていう単純な動機だったりするし、もともと単なるカラオケ好きですからね(笑)」
色とりどりの楽曲をコンパイルしていく過程において彼女は、共通するひとつのテーマを見つけだす。アルバムのタイトルにもなった「What’s Love?」がそれだ。
「どの曲も愛について歌っているんですよね、気がつけば。親友ともいつもそういう話をしているし――私の友達はなぜか“ダメ男”が好きだから、結論はいつも“早く別れたほうがいいよ”なんだけど(笑)――私自身、“愛って何だろう?”って考えてきたので。タイトル曲の〈What’s Love?〉の歌詞の内容は、私の願望ですね。もし、こういう男性と出会えたら、きっと愛の意味がわかるんだろうなっていう。聴いている人にとっても、愛について考えるきっかけになってくれたらいいなって思います」
ジャンルの幅を広げることで、シンガーとしての才能を多面的に描くことに成功した「What’s Love?」。オーセンティックな魅力を持った本作には、“歌うこと=生きること、愛すること”というJUJUの在り方がストレートに反映されていると思う。
「音楽とお酒くらいしか、好きなものがないですからねえ。男の子? うーん、いないと困るけど、男性に対しては夢を持ってないし、大きな期待もしてないので……。でも、結婚はしたいんですよね――って、言ってることに全然まとまりがないですけど(笑)。まあ、“2011年の11月まで結婚はない”って占い人に言われたので、しばらくは仕事を頑張りたいと思います」
取材・文/森朋之(2009年1月)