キーワードは“グラム後夜祭 パンク前夜祭”! ロックンロール本来の妖しげな煌めきを今に蘇らせる5人組、ヤングパリジャン

2009/03/31掲載
はてなブックマークに追加
キーワードは“グラム後夜祭 パンク前夜祭”! ロックンロール本来の妖しげな煌めきを今に蘇らせる5人組、ヤングパリジャン
 “グラム後夜祭 パンク前夜祭”というキーワードのもと、ロックンロールが本来持っていた妖しげな煌めきを今に蘇らせる5人組、ヤングパリジャン。坂本慎太郎(ゆらゆら帝国)、ROLLYスパークスなど国内外のミュージシャンから支持を集める彼らが2ndアルバム『オール・ザット・グリッターズ』を発表。アルバム全体を貫くグリッターな美学について、バンドの中心人物であるツネグラム・サム(vo)、ケイジ・ロンソン(g)に話を訊いた。
 
 これまで、グラムを標榜してド派手な格好でロックンロールを演奏したバンドはここ日本にもいたが、ごく一部を除き、そのほとんどのサウンドはカッキーンとしたちょいルーズなロックだった。“そんなのグラムでもなんでもねえ!”っていう。そこに現れたのがヤングパリジャン! “なんで?”っていうくらいにグラム。ペラッペラのグルーヴ感! マジカルでミラクル! そうそう、この感じ!
 「基本的に僕らはヘタですから。技術も重要なんでしょうが、僕個人は“カッコいい服着たり、カッコいいギター使ったりするのが重要だ!”みたいな、そういう雰囲気でずーっと今までやってますからね(笑)。スタジオで曲をアレンジするときも、いかにメンバーを笑わせるか……そんな感じでやってます」(ケイジ・ロンソン/g)
 「曲の大半は僕が下地を作ってくるんですけど、スタジオの練習って地味な作業じゃないですか? だから、みんなを楽しくさせるために曲に作ってるところはあります。メンバーは重度のロック・ファンだから、そのメンバーを納得させる曲を作るっていうのはものすごく大変なんですよ。だからこそ面白いし、やりがいもある」(ツネグラム・サム/vo)





 東京スカパラダイスオーケストラの初期が本物のスカ好き集団で、美容師ほかノンミュージシャンが、ちらほら混ざっていたことをふと思い出す。イヤミに聞こえたらごめんなさいだが、ヤングパリジャンのメンバーのロック経験値が相当高いのは、取材データ1時間45分(!)のほとんどが、本流・傍流問わず固有名詞が飛び交うロック談義に費やされたことからもよく分かるのだ。
 「手の込んだ冗談みたいなものですよ。そういう意味で個人的に、ゆらゆら帝国を指針にしているところはあります。サイケ・バンドみたいに思われてたのに“ポップスの名曲集”を作ろうとしたりとか。そういうことって誰もできてないし、やろうとすらしないじゃないですか。無難はダメですね。今回のレコーディング中にも何回か言ってたんですけど、もっと気持ち悪くしたいっていうのがあるんですよ。普通にルーズなロックになっちゃう可能性はあるから、そこはならないようにしてるかもしれない」(ツネグラム・サム)
 ゆらゆら帝国同様、ヤングパリジャンもまた、“自己表現”とか“才能”とかそんな得体の知れないものに自らのサウンドをゆだねることはせず、確固とした美意識を持ち、知識と経験を元に理想を追求する純・音楽集団なのだ。
 「うちのバンドは魔法が起きやすいんですよ。今回、ディスコの曲をやってるんですけど、僕はそういうのも好きなわけです。なんか、それってヴォーカルっぽいでしょ? ミック・ジャガーぽいっていうか(笑)。ヴォーカルは浮ついた方向に行くけど、ギタリストはそういうのをイヤがる。でもそれをうまく融合させると、〈Miss You〉(ローリング・ストーンズ)だったり〈I'm Sexy〉(ロッド・スチュワート)になるんですよ。この曲も、そうやってああいう奇跡的な感じになったんですね。こりゃ魔法だなと」(ツネグラム・サム)
 「ディスコって言われても僕は聴く気にもならない(笑)。だから、“リック・デリンジャーが弾いたらどうなるかな?”みたいなところをとっかかりにするんです。曲が遊び場みたいな感じですよね。それが上手くいった曲がアルバムに残ってる。さっきも言ったようにうちのメンバーは本当にロック・ファンの集まりなんで、“みんながいいって言ってるんなら本当にいいだろう”っていうのが判断基準なんです」(ケイジ・ロンソン)
 一口にグラムと言ってもそこには、T.レックスもいればデヴィッド・ボウイもいればロキシー・ミュージックもいればゲイリー・グリッターもいた。まったく別の音楽性ながらどれを聴いてもグラムに聴こえる、ということをひとつのバンドで表現しているのがヤングパリジャン。あらゆるポップ・ミュージックがアーカイブ化された現在を象徴するバンドだ。こういうバンド、外人さんが好きそうだから、先にみなさんに発見されることを望む。逆輸入って恥ずかしいよ。
取材・文/山内 史(2009年3月)




【ヤングパリジャン ワンマン・ライヴ情報】


2ndアルバム『オール・ザット・グリッターズ』発売記念 
『YOUNG PARISIAN ONEMAN LIVE SHOW』
●4月26日(日)
●東京・下北沢SHELTER
●開場18:30/開演19:30
●料金:前売り/\2,000(ドリンク別) 当日/\2,500(ドリンク別)
●問い合わせ:下北沢SHELTER  03-3466-7430


2ndアルバム『オール・ザット・グリッターズ』発売記念 
『YOUNG PARISIAN LIVE』
●5月2日(土)
●大阪・難波RockRider
●開場18:30/開演19:00
●料金:前売り/\1,800 (ドリンク別) 当日/\2,000(ドリンク別)
●共演:BAIT ONES, FRANTIC STUFFS, THE GO-DEVILS
●問い合わせ:RockRider 06-6634-1539
最新 CDJ PUSH
※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。
[インタビュー] 中国のプログレッシヴ・メタル・バンド 精神幻象(Mentism)、日本デビュー盤[インタビュー] シネマティックな115分のマインドトリップ 井出靖のリミックス・アルバム
[インタビュー] 人気ピアノYouTuberふたりによる ピアノ女子対談! 朝香智子×kiki ピアノ[インタビュー] ジャック・アントノフ   テイラー・スウィフト、サブリナ・カーペンターらを手がける人気プロデューサーに訊く
[インタビュー] 松井秀太郎  トランペットで歌うニューヨーク録音のアルバムが完成! 2025年にはホール・ツアーも[インタビュー] 90年代愛がとまらない! 平成リバイバルアーティストTnaka×短冊CD専門DJディスク百合おん
[インタビュー] ろう者の両親と、コーダの一人息子— 呉美保監督×吉沢亮のタッグによる “普遍的な家族の物語”[インタビュー] 田中彩子  デビュー10周年を迎え「これまでの私のベスト」な選曲のリサイタルを開催
[インタビュー] 宮本笑里  “ヴァイオリンで愛を奏でる”11年ぶりのベスト・アルバムを発表[インタビュー] YOYOKA    世界が注目する14歳のドラマーが語る、アメリカでの音楽活動と「Layfic Tone®」のヘッドフォン
[インタビュー] 松尾清憲 ソロ・デビュー40周年 めくるめくポップ・ワールド全開の新作[インタビュー] AATA  過去と現在の自分を全肯定してあげたい 10年間の集大成となる自信の一枚が完成
https://www.cdjournal.com/main/cdjpush/tamagawa-daifuku/2000000812
https://www.cdjournal.com/main/special/showa_shonen/798/f
e-onkyo musicではじめる ハイカラ ハイレゾ生活
Kaede 深夜のつぶやき
弊社サイトでは、CD、DVD、楽曲ダウンロード、グッズの販売は行っておりません。
JASRAC許諾番号:9009376005Y31015