4月27日(土)に東京・日比谷野外大音楽堂で、ライヴ・イベント〈HOT STUFF PROMOTION 45th Anniversary HEADZ 〜NEW HOT WAVE〜〉が開催される。80年代から多くの人気ロック・バンドが出演してきた伝統的イベント「HEADZ」の約5年ぶりとなる開催で、Billyrrom、ドミコ、NIKO NIKO TAN TAN、Penthouse、離婚伝説、新東京、joOjiといった、新世代ロック〜ポップス系のフレッシュな顔ぶれが集まった。その中のひとつBillyrromは、ソウル、ファンク、ロック、ヒップホップなどを、洗練されたセンスで咀嚼した音楽が魅力の若手6人組バンドだ。ヴォーカルのMolに、最近の活動や今回の出演について話を聞いた。
New Single Billyrrom 「DUNE」配信
――Billyrromはデビューしてから約2年半経って、配信シングルをかなりのペースで出し続けていますよね。曲がどんどんできるんですか。
「そうですね。デモを作れるメンバーが3人いるので、“これ、もう完成させちゃいたいね”というのが多くて。曲を作る行為自体に生産性があるので、それはどんどん世の中に発信していったほうが、結果的に自分たちのためにもなるかなって思っています」
――これまで出してきた楽曲はR&B〜ファンク的なサウンドがほとんどですが、3月に出た最新シングルの「DUNE」はエイト・ビートのロックで、スケール感のある曲ですね。これまでと違う、ダンサブルではない曲をやりたかったのでしょうか。
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「はい。ロック調でスケール感の大きい曲というのは、じつは1年半くらい前からずっとやりたいと思っていたんですけど、6人いるとやっぱり6人のロックがあるんですよ。ルーツがバラバラなので、ロックといっても、アークティック・モンキーズみたいなロックを思い浮かべるメンバーもいれば、ピンク・フロイドみたいなロックを思い浮かべるメンバーもいるので、6人総意でこれでいこう、というロックを作ることがなかなか難しくて。そんななかでこの曲は、タイミング的にもどうしても今出したくて。この先、1〜2年くらいを見据えて、もっとスケールの大きいバンドになりたいし、もっとたくさんの人たちに僕たちの音楽を聴いてもらいたいっていう思いがあったので、やっぱりロックをやりたい、っていう気持ちが強くなって。去年12月頃に僕がフラッシュ・アイディアでイントロを作ったんです。そうしたらみんなが“あ、これは広がりそうだね”って言ってくれて。最終的に、6人総意で“これは俺らなりのロックだね”って言える作品に仕上がったと思います」
――“DUNE=砂丘”というイメージの世界観があったんですか。
「楽曲ができていく中で、まず壮大というイメージが根底にあって、それを彷彿させるものとして、たとえば“頂(いただき)”とか“大海原”などがあると思うんですが、その中でみんなこの曲に対してのイメージが、砂漠だったんです。そこから、イントロのシンセサイザーを、エアー感を含ませた感じのちょっとざらっとした質感にしてみたり。荒れた地で、立ってもがいて歩き続ける、みたいなイメージを、みんな持っていた気がします」
――こういうロック的な試みをやって、バンドとしても新たな段階に入ったように思えるんですが、そこはどうですか。
「そうですね。僕たちの中では“Billyrrom第2章”みたいな感じで謳っていますね。だからといって、今後曲調をガッツリ変えていくというわけではなくて。つねに自分たちの根本にある芯の部分は変わらないんだけど、自分たちがどこまでできるのか、今後さらに追求したいという気持ちが強いんです。その示しとして、〈DUNE〉みたいな曲をバーンと、自分たちの中でも掲げておきたかったのはありますね」
――これまでも、ファンキーでグルーヴィなサウンドを軸としつつ、ラップが入ったり四つ打ちのエレクトロがあったりと、少しずつ変化してきていると思うんですが、それはメンバーの意識が広がってきているということなんですか。
「そうですね。バンドを始めてから広がったメンバーもたくさんいて。たとえば僕やドラムのShunsukeは70〜80年代のディスコやソウルが根本にあるんですけど、キーボードのLenoは電子音楽とかテクノに精通している人なんで。どういう発想でフレージングが出てくるか理解したいから、Lenoが聴いている音楽を聴いてみたい、ということもあって。そういう中で、バンド内での音楽の共通言語がどんどん増えていっている感覚がありますね」
――では4月27日(土)に開催されるイベント“HEADZ 〜NEW HOT WAVE〜”についてなんですが、まず出演についてどう思いますか。
「お話をいただいた時に、野音は僕らが目標のひとつにしていた、聖地のような会場で、そこに立てるっていう喜びがいちばん大きかったです。それに今のシーンで台頭しているようなアーティストさんがたくさんいて、最近こういう大規模でいろんな音楽ジャンルが集まる対バンのイベントに出演することもあまりなかったので、僕たち的にもすごく新しい刺激になりそうだなあと思いますね。僕たちの第2章の闘志もぶつけたいなと思います」
――以前、野外のライヴはすごく好きって言っていましたよね。
「野外はみんな大好きです。空気感も地下のライヴハウスとは違うし、音楽的な話で言えば、歌っている時、空間に声が広がっていく感覚がすごく気持ちよくて。もちろんライヴハウスにはライヴハウスの良さがあるんですけど、野外はバーッと広がるような開放感がすごく好きですね」
――共演がドミコ、NIKO NIKO TAN TAN、Penthouse、離婚伝説、新東京と、世代的に近い方たちだと思うのですが、交流のあるバンドはいますか。
「Penthouseさん、ドミコさん、joOjiさん以外はご一緒したことがあります。離婚伝説さんと新東京さんは何回か一緒にやったことがあるし。交流もありますね。NIKO NIKO TAN TANのドラムのAnabebeさんは、うちのShunsukeがドラムを習ったことがあって、それ以降、さらに迫力のあるドラムになりました。好きなアーティストばかりなので、すごく楽しみですね」
――その中でBillyrromはどういうところを見てほしいですか。
「僕たちはライヴ・アレンジが光っているバンドだと思っているので、お客さんとの距離感が近い面もあれば、アングラなアレンジだったりとか、ちょっとカオス的な面もあると思っているんです。サウンドだったりパフォーマンスにおいて、ほかのバンドにはなくて僕らが持っているものを全面的に出せたら、と思っています」
取材・文/小山 守
〈HOT STUFF PROMOTION 45th Anniversary HEADZ 〜NEW HOT WAVE〜〉 出演:Billyrrom、ドミコ、NIKO NIKO TAN TAN、Penthouse、離婚伝説、新東京、joOji(Special Act)
4月27日(土)東京・日比谷野外大音楽堂
https://www.red-hot.ne.jp/45th/headz/