“〜化”シリーズ第3弾! お近くの古本屋へと急行してしまうに違いない“マンガ化アーティスト特集”! 虚構と事実が入り混じった不思議な世界観、マンガだからこそ表現できる緻密な人間模様を体感ください!
セックス、ドラッグ、ロックンロール! 世にも奇妙かつ、いつみても波瀾万丈、一般人には計り知れないスケールで生活しているに違いない有名アーティストの方々。各種暴露本で目にしたあられもない光景に一喜一憂しては、その潤んだ瞳で星空を見つめる貴方へ捧ぐ“マンガ化アーティスト特集”! ゴースト・ライターどころの騒ぎではない、フィクション/ノン・フィクションを絶妙なバランスで配合したうえに、マンガ特有のエッセンスを散りばめた逸品の数々。ひとたびページを開けば、アーティストの隠された一面を発見できるに違いないファンタジスタな世界へいざ出陣。
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『GodSpeed : The Kurt Cobain Graphic』●
『Death Rap - Tupac Shakur- A Life』●
『Eminem - In My Skin』 まずご紹介したいのが、『Toxic City』『Fruitmachine』『Sexmachine』などのコミックで知られれるFLAMEBOY COMICSより発売された『GodSpeed : The Kurt Cobain Graphic』。タイトルでもお分かりの通り、かの
ニルヴァーナのフロントマンであった
カート・コバーンを題材としたもの。表紙には、ボロボロのジーンズ/ネルシャツに身を包み、折れた翼とともに凄惨な表情を浮かべた彼の姿が。〜ある日突然舞い降りてきた不思議なノートに自作ヒーローを書き込んだところ、いつのまにやら変身ヒーローとしての超人的な力を手に入れてしまったカート。ポドリムスからやってきた
コートニーとともに悪の帝王と戦うのだった……のようなサイド・ストーリーは一切無く、内容的には割と忠実に彼の人生を辿っている模様。ちなみに
FLAMEBOY COMICSは、
2pacを題材にした『Death Rap - Tupac Shakur- A Life』、
エミネムを題材にした『Eminem - In My Skin』なども刊行しております。チェイング!
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ラモーンズ『ラモーンズ・ストーリー(原題:Weird Tales Of The Ramones)』 故
ジョニー・ラモーンが企画/監修を手掛け、ヒット曲/レア音源などを詰め込んだ3CD(全85曲&リマスター済み)に、ビデオ・クリップ集『ライフスタイルズ・オブ・ザ・ラモーンズ』+EMI移籍後のビデオ・クリップ5曲+ライヴ1曲を収録したDVD、以上の4枚で構成されたBOXセット。まるで大食い選手権のような振る舞いっぷりに、さらなる彩りを与えているのが豪華ブックレット!全52ページに及ぶその内容は、Sergio Aragones (Mad magazine)、Bill Stout (EC Comics)、Bill Griffith (Zippy The Pinhead)、Xaime Hernandez (Love And Rockets)、Carol Lay (WayLay)、そしてJim Woodringらによるラモーンズ・アンソロジー・マンガ。付属の3Dメガネ(レンズの色は赤/青)をかければ、気分は途端にCBGB! バーチャル・ボーイなどなくとも、いつの間にやらパツパツ・ジーンズを着こなせるような気分になっているに違いない一級品。
●『Cryptic Writings of Megadeth』
変化球をお望みの貴方にオススメなのが、
Chaos! Comicsより刊行されました『Cryptic Writings of Megadeth』(写真はVol.1)。
メガデスの7thアルバム
『クリプティック・ライティングス』発売を機に、1997年よりスタート。Vol.4に及ぶシリーズとなりました今作品。CDに付属のブックレットでは収まりきれない彼らのアートワーク/歌詞を全掲載、そして彼らのサウンドをもとにしたストーリーをマンガとして展開しているとか……。ちょこちょことジャケットに登場するサングラス着用のガイコツ野郎・メガデスくん(仮称)が繰り広げる阿鼻叫喚の地獄絵巻! 人間界に3バカお供を連れて修行に来たかと思えば、近所の少年ヒロシと仲良くなったり、母親を懐かしんでみたり、お妃候補のメガ子ちゃんがいたり、
野沢雅子が声を担当してみたりと、てんとう虫コミックスもビックリのお話を妄想してしまいます(未読)。
●『Rob Zombie SpookShow International』
好きなものには凄まじいばかりの情熱を捧ぐ趣味人にしてアーティスト。
ホワイト・ゾンビを率いた変なおじさんこと、
ロブ・ゾンビ。B級どころかZ級テイストをこよなく愛する彼が自らプロデュースをつとめ制作されたのが『Spookshow』なるホラー・マンガ。謎のマスクマン(プロレスラー)が町にはびこる怪物を倒していくという、王道中の王道でありながら、特撮ヒーローの持つ憂鬱を表現したかのごとき影のあるストーリー展開が泣かせます。近年では、映画『House Of 1,000 Corpses』(無論ホラー。監督/脚本を担当)の公開に続き、ホラー・マンガ家のSteve Nilesと共に“Creep Entertainment International”なる制作会社を設立。
『The Nail』『Bigfoot』『The Lords Of Salem』などのコミックの他、様々な作品(やっぱりホラー)を発表していく予定であるとのこと。精神的ホラーともいえる2005年公開ロード・ムービー『The Devil's Rejects』(監督/原作)も要チェック!
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『ソニン物語』 日本マンガ史上に大きな爪あとを残した
矢沢永吉『成り上がり(コミック版)』(江原良道)をはじめ、
雛形あきこ『ヒナに胸キュン!イエローキャブ物語』(橋口隆志)、
志村けん『わ〜お!ケンちゃん』(竹村よしひこ)、
アンディ・フグ『アンディ・フグ物語 鋼鉄の魂』(坂井孝行)、
ミニスカポリス『出動ミニスカポリス』(岡田正尚)、
プリンセス・テンコー『魔術のプリンセス引田天功 誕生から世界への挑戦(コミック版)』(飛鳥幸子)……といった具合に、どこを見渡しても伝説的な作品が並ぶ日本のマンガ化シーン。その中でも“本気度”“ガッツキ度”で群を抜くのが、
ソニン(写真は
『digi+KISHIN DVD ソニン』)の華麗にて波乱なる半生を描いた『ソニン物語』(姫野かげまる)。
EE JUMPからはじまった彼女の芸能生活、どんな困難にぶち当たろうとも、日々ガツドルとしての意地とプライドで成長を遂げてきた彼女の軌跡をドラマティックにお届け! エモーショナルな人間ドラマを体感したくば、ぜひお手元へ。
単行本としてリリースはされていないものの、CDジャケット上で、ある意味マンガ化を果たした
アベジュリー(名義は“アベジュリー(A)”“アベ・F・ジュリー”)、
忌野清志郎 with
井上陽水「愛を謳おう」(画・
水木しげる)、
デイジー「はじまり」(画・
藤子不二雄A)、
ルイ・アームストロング『ハロー、サッチモ!〜ミレニアム・ベスト』(藤子不二雄A)といった興味深きブツに感嘆しつつ、古本屋を漁ってみるのもまた楽し。\100均一で埋もれている逸品の数々を救出すべく、街へと繰り出しましょう。