あのバンドのあの人と、このバンドのこの人が一緒にステージに立つ……。まさしく“夢の競演”!どちらのファンをも唸らせる豪華“スーパー・バンド”を特集!
ペリー・ファレル(
ジェーンズ・アディクション/
ポルノ・フォー・パイロス)と
ヌーノ・ベッテンコート(元
エクストリーム)による“Satellite Party”のデビュー・アルバム(フリー/
ジョン・フルシアンテなど、
レッチリのメンバーも参加!)のニュースが伝わってきたかと思えば、オルタナ界の猛者によって構成された
“ゴールデン・スモッグ”が復活を果たすなど、ここ最近の音楽ニュースを騒がせている“スーパー・バンド”の数々。縦横無尽にひた走るミュージシャン・シップを生かして結成された、豪華メンバーによる夢の競演! パーマネントなものから、一夜限りの限定ユニット、メンバー当人の気分次第でその寿命が決まる、スーパー・バンドの魅力について検証してみましょう。
●レジェンズ
『ライヴ・アット・モントルー1997』 全てのジャンルを超越して“スーパー・バンド”の冠にもっともふさわしい方々といえば、コチラ! 1997年に開催されました“モントルー・ジャズ・フェスティバル”のために結成された、その名も“レジェンズ”! まさしく伝説といえるそのメンバーは、
エリック・クラプトン(vo,g)、
スティーヴ・ガッド(ds)、
マーカス・ミラー(b)、
ジョー・サンプル(key)、
デヴィッド・サンボーン(sax)、以上の5名。ロック&ジャズの最高峰のアーティストが結集し、自らのルーツであるR&Bを中心にお送りする濃密なアンサンブル……。原点回帰や回顧主義なんて言葉では片付けられない、奇跡の一夜がここに詰まっております。個性×個性ゆえの多少のガタつきもまた貴重。船頭多くして……なんて言葉はグイッと飲み込んで!
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TMG(TAK MATSUMOTO GROUP)『TMG1』 時を遡ること約10年前、ある雑誌の紹介ページにて「日本のガンズと自らを称する」と衝撃のひとことが書いてあったことがひたすらに思い出深い
“B'z”のギタリスト、
松本孝弘によるソロ・プロジェクト。
ジャック・ブレイズ(b、元
ナイト・レンジャー/元
ダム・ヤンキーズ)、ブライアン・ティッシー(ds、
ボール/元
スラッシュズ・スネイクピット)、極め付けには元
MR.BIGの
エリック・マーティン(vo)!と、日本発とは思えないほどのコテコテHR人脈が揃いも揃ってしまった驚きときたら!着物姿の女性が腰掛ける、極めて“和心”なジャケットとの対比も「ナイスですね〜。」
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ロードランナー・ユナイテッド『オール・スター・セッションズ』 ヘヴィ・メタルを中心に、80年代より激重の鋼鉄名盤を量産してきた名レーベル
“ROADRUNNER RECORDS”。その設立25周年を記念してリリースされたのが、この作品。ジョーイ・ジョーディソン(
スリップノット/
マーダードールズ)、ディーノ・カザレス(元
フィア・ファクトリー/
ブルヘリア)、ロブ・フリン(
マシーン・ヘッド)、マット・ヒーフィー(
トリヴィアム)、“リーダー”として任命された以上の4名が曲を書き、新旧レーベル所属アーティストの中よりレコーディング・メンバーを選出する、という、お楽しみ抽選会のごとき企画性の高さが秀逸。総勢55名が参加!
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ヴェノモス・コンセプト『レトロアクティヴ・アボーション』 遠藤ミチロウ氏曰く「吐き気がするほどブルータルだぜ!」(妄想)。Shane Embury/Danny Herrera(
ナパーム・デス)、Buzz Osborne(
メルヴィンズ)、そしてKevin Sharp(元
ブルータル・トゥルース)という、世にも凄まじい暴虐音楽アーティストによって結成されたヴェノモス・コンセプト。一瞬たりとも休むことなく、魂こがしてノイジーなグラインド・サウンドで畳み掛ける殺気の凄まじさたるや!ナパーム・デス来日時でのステージから交友がはじまったという324とのスプリットCD『Making friends vol.1 split』に続いて、BLOOD DUSTER、NAUSEAとのスプリットを予定しているとか。
●トマホーク『トマホーク』
レーベル・オーナーをつとめる
“Ipecac Recordings”の運営はもちろん、もはや途方もつかないほどの数のバンド/サイド・プロジェクトに在籍し、その音楽活動に自らの精も根も注入し続ける
マイク・パットン(元
フェイス・ノー・モア)。本人ですら把握しきれていないであろう在籍バンドの中でも、デュアン・デニスン(元
ジーザス・リザード)、ケヴィン・ラトマニス(メルヴィンズ)、ジョン・ステニアー(
ヘルメット)、歴史的オルタナ男衆4人が揃ったA級バンドといえばトマホーク!パットンさんの“絶対君主制ワンマン・バンド”という触れ込みの割には、意外に耳障りの良いメロディが印象的。
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G3『ライヴ・イン・トーキョー』
「長い夜」を口ずさみながら、よっ!チイさま!と思わず北海道方面へ向けてエールを送りたくなってしまうビジュアル面はさておきまして。その無邪気すぎるギター・テクニックにて、今もなおシーンに革命を起こし続けるギタリスト
“ジョー・サトリアーニ”。そんな彼が主宰し、“ギタリスト3人”によって構成されたパッケージ・ツアーが“G3”。ギター界の『三匹が斬る!』とも例えられるこのツアー、初の日本上陸を果たした2005年公演では、ジョー(殿様)、
スティーヴ・ヴァイ(千石)、ジョン・ペトルーシ(たこ)がキャスティング。珍道中の果てに辿り着いた夢幻のギター・サウンド“G3ジャム”、シリーズ化も納得の組み合わせの妙が味わえます。
●ZYYG, REV, ZARD&WANDS featuring 長嶋茂雄
「果てしない夢を」
(※
『vocal compilation 90's hits vol.1〜male〜at the BEING studio』収録)
1993年初夏。俗に言うビーイング系がチャートを席巻していたこの時期に、満を持してリリースされたスペシャルな1枚。チャリティ・ソングなどでよく見受けられる“マイク・リレー”のごとく、
ZYYG(2006年2月のラスト・ライヴを最後に正式解散)、
REV(
出口雅之のソロ・プロジェクト。現在は
SUICIDE SPORTS CAR/Dandy Dとして活動中) 、
WANDS(2000年3月に“解体”)、
ZARD、そして
チョーさん……。名だたるアーティストが一つになってポジティヴなメッセージ・ソングを紡ぎあげていく、その過程が実に感動的。十年一昔とはまさにこのこと。
まさか!? ホントに!? 噂話のような出来事が実際に起こってしまうから面白い、スーパー・バンド。自分セレクションによるラインナップを夢想するに飽き足らず、紙に書き出してしまった貴方は危険信号発令中!その実現を流れ星に祈りつつ、歴代の名組み合わせをじっくりと振り返ってみるのもいとおかし。