CDJスタッフ選:「私が2枚以上買わされたアルバム」

2006/11/17掲載
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リマスター、DXエディション、紙ジャケ、貸したら返ってこなかった、割ってしまった、存在を忘れていた……。そのほか様々な理由により生じる「同じ作品をもう一度買う」という行為。他人には理解できなくとも、マイ・ルールの赴くままに増えていく作品の数々を、CDJスタッフが自らのレコード・ラックよりセレクト!
デクスター・ゴードン/Our Man in Paris

デクスター・ゴードン。名前からしてすでにごついが、ジャケ写に写し出された顔もまた格段といかつい。ピン・スルーのシャツに細めのニット・タイ、チェックのスーツに身をまとった身長195センチの大男がパリに現れるのだから、タイトルも決して大袈裟ではない。パリ在住組のバド・パウエルピエール・ミシュロケニー・クラークという豪華な顔ぶれ、「Night in Tunisia」を聴くだけでシビれてしまうほどカッコイイ、迫力満点兄貴的存在感漂う1枚。CDサイズではモノ足りず、LPも買ってしまうという定番のダブり買いだが、小さいサイズには収まらない“ディックス”だけに、やはりそれはいたしかたない行為。俳優としての一面も忘れてはいけない。主演のデクスターがアカデミー主演男優賞候補にノミネートされた映画『ラウンド・ミッドナイト』。こちらもVHS&DVDともに所有とダブりまくり。(酒)



T.レックス/電気の武者+8 30thアニヴァーサリー・エディション〈でかジャケCD〉

CDショップで目的もなくボーッと棚を見ていたら、目に飛び込んできたのが“でかジャケCD”。デカイだけに店頭でやたらと目立ちます。LPサイズと知ってはいましたが、「あぁ、やっぱり大きいのね」と思ってしまいました。おなじみの名盤のジャケを大きくして出し直したこのシリーズ。正直、実物を見るまでは触手が動くほどの興味は持っていませんでした。ところが巨大化というのは不思議なもので、聞くと見るとでは大違いです。人間、巨大なものを目の当たりにすると、心持ちが揺れるのはなぜでしょう? ともかくT.レックスのでかジャケCD『電気の武者+8 30thアニヴァーサリー・エディション』を買いました。ジャケに映る黒地に金の電気の武者が「30年経ったら8曲増えて身体までこーんなに大きくなちゃいました」と主張しているようで微笑ましいかなと。家に帰って、CDラックの小さな武者と並べて飾りました。デカ武者の方は、まだ封を切っていません。(吉)



●フリッパーズ・ギター/海へいくつもりじゃなかった, カメラ・トーク

2枚以上買わされた……。やっぱり買ってしまった。そんな気持ちにさせられたのが、フリッパーズ・ギターの紙ジャケ+リマスター『海へいくつもりじゃなかった』(購入2枚目)、『カメラ・トーク』(購入3枚目)。なぜ『ヘッド博士〜』(最高4枚所有)はリマスターされないの? という疑問は置いておいて、リマスター+紙ジャケ+ボーナストラック(でも、既存曲)となると欲しくなってしまう渋谷系通過者の悲しい性。店頭特典欲しさも重なって、結果、発売日に買ってしまった自分はきっと、手の平で転がされるいいカモ。思うつぼです。まあ、ジャケや歌詞カードのお粗末なスキャンとか不可解な旧規格の帯の封入などの不満や疑問点はあるけれど、音は確実に良くなってたし、ホントに微妙なミスタッチもわかったりして、なんだかんだいって大満足。でも、どうせならアナログを再発してほしかった。もし奇跡的にアナログが再発されたら……また買ってしまう。ああ、財布の紐がレコード会社に握られてく……。(千)



THE NEWEST MODEL/プリティ・ラジエーション

中学時代に1stアルバム『センスレス・チャター、センスレス・フィスツ』(現在は初期音源を集めたコンピ盤『ソリッド・ファウンデーション』として再発)と一緒に入手した88年リリースのLP盤。その後90年にキングから出たCD(リミックス音源)を購入。付属の32Pブックレットは堪能できたが、アナログのざらついた音の方が好きでした。そして02年にリマスター&紙ジャケ限定復刻が! もう正直買わなくてもいいかな、と思いながらもアナログの音源がクリアになってるのなら……と、うっかり購入。ロック・バンドとしてのニューエスト・モデルはベーシスト鈴木友之が在籍していた期間(88年〜91年)、ソウルの色がちらつく“格言パンク”サウンドからファンク色強めの音に変わっていく過渡期が一番スリリングで面白かったと思う。中川敬のシニカルな言葉遊びのセンスはリリースから18年を経た今も感服!の一言。またもう一度何らかの形で再発されたら、買う……かも。(服)



エアロスミス/ジャスト・プッシュ・プレイ

エアロスミスの『ジャスト・プッシュ・プレイ』(2001年)は、“作り込み”もココまで来たか……、と古くからのファンにはすこぶる評判がよろしくない。で、なぜにそんな作品を複数買ったのか、というと日本盤とEU盤でボーナス・トラックが違うから。さらに、EU盤には「ジェイデッド」のPVがエンハンストで収録されていた。細かいことを言うと、タイトル・トラックの“Fxxkin' A!”という歌詞が日本盤はそのまま収録されているが、海外ではスクラッチの音が被されており、エンディングの歌い回しも微妙に異なる。後に出た“Radio Mix”とも違うヴァージョンなのだ。ちなみにEU盤LPとボーナスCD付の来日記念盤も購入。そのような訳で、歴史的名盤でもない、今や中古盤屋で叩き売られている作品を4枚持っていることになる。でもこの程度なら、真性マニアにしてみれば甘いな、ってレベルでしょ? 紙ジャケ版はパスしちゃったし……。内容も僕は嫌いじゃないな。(敬)



ジェイムス・ホワイト&ザ・ブラックス/Off White

日本盤ってステキだな! と思い立ったが吉日。今や誰も気に止めないであろう、日本盤の数々をモリモリと採掘していた時期がありました……。LPサイズからCD、7インチ・シングルに至るまで、パンク〜ジャンク〜グラインドなどなど、1人ブーム真っ盛りの熱はいまだにくすぶっているわけですが、その中でもひたすら燃えたのがこの1枚。再発LP/CDは手にしていたものの「白い狂気」なる帯の一言に撃沈! ライナーを手掛ける大貫憲章(LONDON NITE)氏の言葉にも激しく納得させられた覚えが。通称“ファンク・ジャズ・パンク・ミュージック”の決定盤、この切っ先の鋭さは半端なし。しかも何かオシャレだ! 洗練されたジャケット・デザイン含め、トータルで心酔させられてしまうこの引力の強さ、完璧すぎてグーの音もでませんです。来日公演に行けなかったことだけが残念無念……。(星)



ピンク・フロイド/炎〜あなたがここにいてほしい

最初の出会いはカセットで、その後はしばらくそれでガマンしていたのだが、ようやく90年代初頭になってボックス・セット『シャイン・オン』を購入し、CDヴァージョンと初めて出会う。その後、数年はそれでガマンしていたのだが、海外で発売されていたリマスター盤を90年代末期に入手。もうこれで『炎』は買わなくていいだろう、と思っていたら、数年後に日本で紙ジャケット仕様盤が登場。普段は紙ジャケを買わないけれど、『炎』はいろいろなアイテムが付属された作品なので、もう本当に仕方がなく購入。しかも購入時には気付かなかったのだが、アルバムを覆ったビニール・コーティングに購入したお店のセキュリティが貼られていて、キレイに剥がすのに一苦労な思いまでさせられました。さすがに、もう買わないぞ! とは思いつつも、SA-CDかDVDオーディオで出たら、きっと購入してしまうであろう、そんな自分が悲しいです……。(徳)
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