聴いてみるならこの一枚 〜80’sデュオ篇

2007/03/09掲載
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CDJスタッフが推奨する「このアーティストならこの作品」企画がスタート! まずは“80'sデュオ”に的を絞ってレコメン! ディスコグラフィのどこから手をつけていいやら、お悩みの際にはぜひ参考に。
タック&パティ/ティアーズ・オブ・ジョイ

1988年にリリースされた、夫婦デュオによる一枚。18世紀に活躍した音楽家のような風貌(髪型)をした夫は、ウエス・モンゴメリーが80年代に突如現れたかのようなオクターヴ奏法で、ウォームながらドライヴ感のある音色を奏でる。スタンダード・ジャズからコンテンポラリーまでをソウルフルに歌い上げていく妻との息遣いもピッタリ合っていて、デュオなのにトリオ、それ以上のメンバーが在籍しているかのような厚みさえ感じられる。よくもまぁそこまでと言いたくなるほどの緻密な芸で濃密な時間を刻んでいく様は圧巻、切ないメロディは容赦なく涙腺を刺激。しかしながら今回のお題には向いてないと言い切れるほど、'80sという時代性が感じられない。その点はシンディ・ローパーの「タイム・アフター・タイム」のカヴァーが収録されているあたりでお許し頂きたい。(酒)



BaBe/ベスト

87年にデビューした女性アイドル・デュオ。おすすめアルバムを一枚挙げるのはちょっと難がありますが、ベスト盤に収録されているデビュー曲「Give Me Up」や2ndシングル「I Don't Know!」で80年代テイストを思いっきりご堪能あれ。もともと「Give Me Up」はユーロビートの王様、マイケル・フォーチュナティの曲で、最近でもTV-CMに使われていた名曲。元気印の歌謡ユニットがユーロビートを日本語でカヴァーしてダンスしながら歌うという、バブリーな80年代の空気をストレートに反映した一曲でした。BaBeはその後これと似た感じの曲でいくつかのヒットを飛ばし、90年に解散。妙に刹那的な印象を残したところにも、80年代っぽさが色濃く感じられます。(吉)



WHAM!/エッジ・オヴ・ヘヴン

80年代を象徴するデュオ、といえばWHAM!。三度の飯よりジョージ・マイケルか? と一部でウワサされる(嘘)筆者のみならず、皆さん納得でしょう。2ndアルバム『メイク・イット・ビッグ』まではコーラス・ユニットのペプシ&シャーリーが準メンバー状態でしたが、『エッジ・オヴ・ヘヴン』発売前後、コーラス女性2人の影は薄れ、陰影を増したジョージと、ポップ・スタアらしさに磨きをかけるアンドリューのパーフェクトとも言える対比が印象的。英米のポップ・アーティストとしては初めて行なった中国公演の映像で見た、まるでビートルズの初来日を思わせるかのような“人民”の熱狂が記憶に残ります。(服)



スタイル・カウンシル/カフェ・ブリュ

ポール・ウェラーミック・タルボットとともにモッドな風をたなびかせてジャズを奏でるこのアルバム。どんなにメロウに奏でても音から汗を感じ取れるポール・ウェラーのギターや、フレンチ風味の洗練された音や世界観とは正反対に位置する左寄りの熱い歌詞。オシャレなだけじゃないのがスタカンのいいところ。ジャムの頃と何も変わらない男臭さというか魂の熱さでも、「スタカンはちょっとダメだ……」という人はこの空気感がダメ? それともあの髪型がダメ? そういえば、ジャズや映画音楽などから影響を受けただろうこの時期のスタカンは、渋谷系とか呼ばれた方々に大いにネタにされてました。ボサ・ノヴァ、ソウル、モータウン、ファンク、何でもありのスタカン。次作『アワ・フェイヴァリット・ショップ』も必聴です!(千)



うしろゆびさされ組/ベスト

アイドルのヒット曲の条件、それはキャッチーであること、である。ここで紹介するうしろゆびさされ組、80年代をリアル・タイムで過ごした方ならご存知だろうが、当時一世を風靡したおニャン子クラブから派生したユニットだ。メンバーは高井麻巳子“ゆうゆ”こと岩井由紀子。正直なところ、他のおニャン子関連ユニットで覚えている曲というのは少ないのだが、この2人組に関しては「バナナの涙」とか「渚の「……」」など、印象的な曲がある。それはやっぱりキャッチーだからなんだよなぁ。現在では全曲集『うしろゆびさされ組うたの大百科 その1〜うしろゆびさされ組』などがあるけれど、お手軽な『ベスト』であの頃を思い出してみては?(敬)



COMPLEX/COMPLEX

吉川晃司×布袋寅泰”! 1989〜90年という短い期間を駆け抜けた、J-ROCK史に残るビッグな2人ショー。確実にニューウェイヴ、如実にニュー・ロマンティック、日本全国のナウなキッズを狂喜乱舞させたに違いない1stアルバム。ご本人出演CMでリバイバルをとげた「恋をとめないで」、氣志團によって別な意味で浸透した「ビー・マイ・ベイビー」、代表曲のどちらもここにあり。キザなセリフとトガったギター、スタイリッシュに加速するビート・エモーションの完成形。少なくとも「ステージで暴れるヤンチャな自分を奴と共に表現したい」(WOWOW『GUITARHYTHM WORKS』より)という布袋サイドのコンセプトは実現されたのでは。モノクロ映像が渋い『COMPLEX Tour 1989』も必見。(星)



ティアーズ・フォー・フィアーズ/シーズ・オブ・ラヴ

中期ビートルズの影響が滲み出た名曲である以上に、“か〜ちゃ〜んゆるして〜”と聞こえる空耳ソング、または、大仏が回転する奇妙なビデオ・クリップの曲として、多くの人々に記憶されているタイトル曲を含んだ89年発表の3rdアルバム。これまでのようなマシーンを多用する手法ではなく、よりソウルフルでパワフルなサウンド・メイキングに挑んだ意欲作で、偶然出会い衝撃を得たオリータ・アダムス(貢献度大)との名デュエット曲「ウーマン・イン・チェインズ」や、ジャジーなアプローチを見せた「バッドマンズ・ソング」などを収録。“ザ・ビートルズが出来なかったサウンドを表現した作品”とも一部で評された、80年代を飾る名作です。(徳)
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