クロス・トーク!「音楽×ルックス」の関係性とは?

2007/03/30掲載
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顔立ち/ファッション/髪型/メイク/たたずまい……。時と場合によっては、その“音”よりもアーティストの個性を如実に物語る“ルックス”。はたして両者の関係性とは?かねてからの懸案である「音楽×ルックス」について、CDJスタッフが徹底的クロス・トーク! 互いにすれ違いっぱなしの主張の数々、果たしてその結論やいかに?
 「ファッションは自己表現だ」とよく言うが、刺青を含めその肉体が彼の音楽/思想全てを表現しているアーティストといえばヘンリー・ロリンズ。「ただ燃え尽きるのみ」という意思をこめた“太陽”がさん然と輝く後背筋とイギー・ポップの名フレーズ「Search & destroy」が刻まれた僧帽筋。鍛え上げられた肉体に、幼少期から読書が三度の飯よりも好き(言い過ぎ)だという知的さと研ぎ澄まされた感性で敵を“search”して地の果てまでも追いかけてくるハードコアの弾道弾迎撃ミサイル。彼の汗と唾にまみれたメッセージはあの身体だからこそ納得。でもアイスクリーム・ショップの店長だったというチャーミングな一面も。……船木誠勝もアイス好きらしいし、気にしない。(服)

 写真家のウィリアム・クラストンが撮影したチェット・ベイカーは美しい。そのフォトジェニックな容姿に目を奪われてさらに、中性的で甘いヴォイスが放たれたならば、すべては彼のムードに包まれ魅了されていく。しかしながらウェスト・コースト・ジャズという太陽の側面に属することで、印画紙には焼き込まれることのなかった、もう一つの特異な粒子が肥大化していく。晩年のチェットの、顔や手の甲に刻まれている哀れなまでの深い皺一つ一つに、それらが代償として表われている。決して遅咲きデビューすることはできなかったであろう、見た目先行but Goodiesの代表例。(酒)

 ルックスというか、音楽と制服(ユニフォーム)の関係性について興味があります。特にメンバー全員お揃いの服を着ているテクノ系のヤツ。たとえばクラフトワークの赤シャツ黒ネクタイとかディーヴォの黄色いジャンプスーツ、有頂天が着てたパラシュートスーツや、今だったらPOLYSICSが着用してるような衣装。なんでああいうのを着るようになったんでしょうかね。ロボットっぽいからですかね。全員黒の革ジャンというベクトルとは違ったモノサシで、かなりロックな装いだと認識しております。もっとも、個人的に着てみたいという興味だけなんですけど。来年度から当ウェブ課スタッフの制服に採用しようかしらん。(吉)

 裏ボタンにこだわる派の自分としましては、全体的なルックスよりも細かなディティールが気になるところ。ほっそい女ものの時計をしている、ふとももの裏側にパッチを貼る、丈が異様に短いジョギング・パンツを着用、コンバースかと思ったらただのデッキシューズだった、第1ボタンは必ずしめる……写真集/ビデオに映し出されていたその姿を観て、憧れのあまりに自爆した経験は数知らず。「ロバート・デ・ニーロになれなかったよ」(L.L.COOL J太郎 feat. 宇多丸)なんて言葉をくちずさみつつ、大人の階段を上るんだなあと思ったりしました。(星)

 もし、ギターウルフがアニエスのボーダー着てグレッチをぶら下げていたら。オアシスが七三分けでネクタイ着用だったら。ビートルズがあのスタイルじゃなかったら。やっぱり音とルックスが一致しないとダメかなと。カッコよくなくても、可愛くなくても、奏でている音楽に見合ったルックス(ヴィジュアル・イメージ)であればオッケーでは。ルックス=見た目の可愛さとかで考えると音楽には関係ないか。んんん?どっちだ? ただ、作る楽曲とルックスは関係ないと思うのです。 馬面してても名曲を書くトッドさんや、ブクブク肥えたうえに廃人と化したウィルソンさんのような人もいるわけですから。後期ビートルズなんて仙人みたいだし。でも、その逆の、カッコいいけど曲がねえ……っていうのも。 でも、ルックスがいいに越したことはないか。演奏下手でも見た目でカバー。う〜ん。難しいです、この問題。(千)

 ミュージシャンたるもの、ルックス、というよりヴィジュアル・イメージも間違いなく重要である。考えてみてほしい。エルヴィス・プレスリーが腰を振っていなかったら、ビートルズがマッシュルーム・カットじゃなかったら、キッスがメイクをしていなかったら、エアロスミスが年相応に老けていたら……。“ヘア・メタル”へのアンチテーゼとされたグランジだって、ネルシャツに破れたジーンズは結果的にファッションとして定着した。もちろん最優先は音楽であるし、見掛け倒しの輩もいる。納得できないのは「音楽にルックスは関係ない!」と言っている人間に限って、ルックスの良いアーティストを音も聴かずに否定することだ。それって、逆説的にルックスにこだわってるんじゃないの?(敬)
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