4月26日から公開される、ダニエル・デイ・ルイス主演の映画『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』。本年度のアカデミー賞にて8部門にノミネートされ、主演男優賞など2部門を受賞したこの映画のスコアを、イギリスを代表するロック・バンド、レディオヘッドのメンバー、ジョニー・グリーンウッドが担当。映画ファンだけでなく音楽ファンからも注目を集めています。このようにミュージシャンが音楽を担当した映画は、古くから数多く存在しています。今回は、そんな映画の数々をご紹介いたします。 ■ビートルズと映画音楽
サイレント映画の時代から音楽と映画は常に密接な関係にありました。作品の世界観をより効果的に、より深く伝えるのに、音楽は必要不可欠なものでした。そんな映画音楽をミュージシャンが手掛けた作品の元祖となると、60年代に公開されたこの2作が挙げられるのでは? 若い夫婦が家族と同居することになって起こる騒動を描いたコメディ
『ふたりだけの窓(原題:Family Way)』と、
ジェーン・バーキン主演のサイケデリック・ムービー
『ワンダーウォール』。前者は
ポール・マッカートニーが音楽を担当し、ジョージ・マーティン・オーケストラが演奏。後者は
ジョージ・ハリスンが映画音楽を担当、アシッドかつサイケデリックな世界観を見事に演出するインド音楽が使用されています。サントラ盤はジョージ最初のソロ・アルバムとしても発売されました。ミュージシャンが自身の出演映画で音楽を手掛けたものはありましたが、映画のスコアのみをミュージシャンが手掛けたのは、これが最初の作品だったのではないでしょうか?
■プログレッシヴ・ロックと映画音楽
■ソロ・アーティストによる映画音楽
■近年のロック・バンドと映画音楽
■中田ヤスタカと映画音楽
「space staion No.9」「空飛ぶ都市計画」などのショート・ムービーやハウスのCMなどでスタジオジブリとタッグを組むなど、映画の世界ともつながりがある
中田ヤスタカ(
capsule)。2001年に公開された、
佐藤浩市、
大塚寧々、
宮沢りえ出演のサイコ・スリラー
『うつつ』で音楽を担当しています。現在のエレクトロ・サウンドとは違った、不安感を呼び起こすようなスコアは、初期capsuleにも通じるクールなサウンド(ちなみにアルバム
『ハイカラガール』に収録されている「うつつ」は、この映画で使用された楽曲の別ヴァージョン)。この映画で使用された音楽は、劇中でしか聴くことができないので、ファンの方はDVDをチェックしてみてはいかがでしょうか?(DVD特典映像には、舞台挨拶に登場するデビュー当時の中田氏の姿も!)
■映画音楽で賞を受賞した国内ミュージシャン
今回、紹介した作品のほとんどはサウンドトラック盤が発売されていますが、アーティスト自身のオリジナル・アルバムとして発表されているものもあります。映画という媒体を取り外した状態で、そのサウンドトラックを聴いてみると、あらためてアーティストの違った一面、引き出しの多さに気づくかもしれません。映画という媒体を通して、アーティストが新たな表現活動を行なった作品、それが映画音楽。そう考えることもできるかもしれませんね。