嬉しいこと、悲しいこと、いろんなことがあった2008年。新年を迎えるにあたって、もう一度心に刻んでおきたい偉大なる軌跡、そして名作の数々。CDJournal.com的視点で振り返る“メモリー・オブ2008”、2008年・回顧録をお届けします。
【旅立ったアーティストたち】
市川 崑、
赤塚不二夫をはじめ、かけがえのない偉人が相次いでこの世を去った2008年。まず、日本はもちろん世界のロック・シーンに大きな衝撃を与えたのは、
レイジー、そして
ラウドネスのドラマー、
樋口宗孝。肝細胞癌のため療養に励んでいたことが伝えられていましたが、11月30日、大阪市内の病院にて亡くなりました。
また、ペイジ&プラントや
ザ・カルト、
エコー&ザ・バニーメンなどでのプレイで知られるマイケル・リー、
THE JIMI HENDRIX EXPERIENCEのメンバーであったJohn Mitchell、
ソドムのオリジナル・ドラマーであったChris Witchhunter、
TANK『Honour & Blood』にその軌跡を残したGraham Crallan、
クラフトワークや
ノイ!で活躍した
クラウス・ディンガー、
ラッシュの初代ドラマーとして知られるジョン・ラトジー、“バディ・マイルス・エクスプレス”を率いた
バディ・マイルスと、時代を彩る“名盤”を支えた玄人の訃報を目にする一年でした。
オリジネイターといえばまさしくこの人、晩年に至るまで“ロックンロール”の熱さ、そして楽しさをさまざまなステージから発信し続けたギタリストにしてシンガー、
ボ・ディドリー。6月2日、米フロリダ州の自宅で心不全のため死去。ストリートを出発点にその名を広め、1955年にはデビュー・シングル「Bo Diddley/I'm A Man」を発表。パッションとグルーヴ、そして実験精神、常に意欲的な創作に励んでいた彼こそがまさしく“ボ・ディドリー・ビート”。
今や全世界に浸透した音楽ジャンル“R&B”(リズム・アンド・ブルース)という名称を生み出したと伝えられるプロデューサー、ジェリー・ウェクスラー。8月15日、米フロリダ州の自宅にて死去。「Billboard」からアトランティック・レコードへ、時代の寵児ともいえる彼の手腕により花開いたアーティストは、
アレサ・フランクリン、
レイ・チャールズなど、いずれもビッグ・ネームばかり。音楽の歴史に新たな1ページを加えたその足跡を悼みましょう。
【復活グループを追う】
かたや、世界的規模で続く“復活/再結成”の流れは今年も健在。『START TODAY』レコーディング時の完全オリジナル・フルメンバー、Anthony“Civ”Civorelli(vo)、Walter Schreifels(g)、Alex Brown(g)、Luke Abbey(ds)、Arthur Smilios(b)というラインナップにて、奇跡の初来日を果たした
GORILLA BISCUITSを筆頭に(東京公演では
SWITCH STYLEも登場!)、“RISING SUN ROCK FESTIVAL 2008 in EZO”でまさかの再結成を果たした
サニーデイ・サービス、思わず「ステップ・バイ・ステップ」な
ニュー・キッズ・オン・ザ・ブロック、90'sオルタナ・ジャンクの申し子
フリー・キトゥン、そして、オリジナル・メンバー三人が再集結したフル・アルバム
『ROMANTICは止められない』を引っさげ、キッチュにキュートな返り咲きを遂げた
C-C-B……と、去る人もいれば、帰る人もあり。懐古趣味なんて言わせない元気な姿に圧倒されたもの。
【“○○年ぶり”作品】
【期待のアーティスト!】
殺風景なニュースがひしめいた2008年、キラリと光る明るいニュース! シングル「そりゃそうだ」を引っさげ、シーンへ帰還するのは、
中村一義率いる
100s。来年リリースされるこの作品を機に、精力的な活動へ……との情報もありますのでこうご期待!
インターネット発のラッパー“ネット・ラッパー”なる言葉を知らしめたのは、若干20歳のアーティスト、
らっぷびと。アニメ『さよなら絶望先生』オープニング・テーマである、
大槻ケンヂと絶望少女達「人として軸がぶれている」にラップをのせた動画で大反響を巻き起こし、来年2月にはシングル
「All Day,All Night」でメジャー・デビューも決定! きっとスカウターは爆発してしまうであろう戦闘力の高さで、シーンを盛り上げてくれるはず。
ユーザーからの愛(=クリック数)を糧に成長を続けていく“ユーザー育成型”アイドルとして誕生したのは、今や“登戸系アイドル”としても徐々にその名前を浸透させているCOSMETICS(コスメティックス)。
ROCKETMANこと、
ふかわりょうの全面プロデュースにより、日々進化を遂げている彼女たちの動向は、オフィシャルBlog(
http://ameblo.jp/cosmetics-blog/)でチェック。
アニメ『マクロスF』に登場したヒロインの一人、ランカ・リー役として、声優・歌手デビューを果たした、
中島愛(ナカジマメグミ)。自身の名義での1stシングル
「天使になりたい」を発表! 1stながら、バラエティに富んだサウンドとヴォーカルを披露し、その魅力をお披露目。幅広い活躍に期待しましょう!
【話題のCM曲】
そしてまた今年も多くのヒット・ソングを生み出した“CM/TVソング”の数々。フランスを拠点に活動するシンガー・ソングライター、
ヤエル・ナイムは、MacBook AirのCMソング「ニュー・ソウル」でブレイク。3月には
日本盤もリリースされ、来日も実現! 注目アーティストの1人に。iPod+iTunesでは、
『美しき生命』が絶賛を浴びる
コールドプレイ、“South By Southwest”に出演した際、見初められたという
ザ・ティン・ティンズ、iPhone 3Gは
ザ・サブマリンズ、iPod touchは
The Asteroids Galaxy Tourと、ブレイクへの登竜門ともいえるApple社CM。来年も期待です!
もちろん忘れてはいけないのが、SoftBank。
シーナ・イーストン「モーニング・トレイン(9to5)」、
キャプテン&テニール「愛ある限り(Love will keep us together)」、
フランス・ギャル「夢みるシャンソン人形」と、どれも懐かしのヒット曲ではありますが、改めてその魅力をハッと気付かせる巧みの演出はさすが。
その他にも、
EXILEがまさかの!?カヴァーで度肝を抜いた「麒麟 ZERO」、
ヒラリー・ダフの名前を一気に知らしめた「ディズニー・モバイル」、
押切もえの“エア歌唱”もハマッた「AneCan」、“がんばりたいのに、がんばれない”という名フレーズを繊細なヴォーカルで綴る「バファリンA」、Webサイトでは
コーネリアスのBGMも聴くことができたユニクロ「ブラトップ」、女優・
真木よう子の輝くオーラが満開に咲きほこる資生堂「インテグレート」と、音楽&映像で魅せる名作も続々! もう一度反芻しておきましょう。