PC Audio ExtraPCオーディオエクストラ〜パソコンから始める新しい音楽の楽しみ方
イコライジング機能を搭載、音質をカスタマイズできるヘッドフォンTDK Life on Record TH-ST800文/大塚康一
EQコントロールステレオヘッドフォン
TH-ST800 オープン価格(2万4,800円前後)
●型式:密閉型●ドライバー:50mmダイナミック型●再生周波数:20Hz〜20kHz●コード長:1.22m●電池持続時間:最大約12時間(単4アルカリ乾電池2本使用)●付属品:3.5〜6.3mm変換プラグ、3.5mmプラグ延長コード(1.52m)、単4形乾電池2本(動作確認用)、ポーチ、クリーニングクロス●問い合わせ:イメーション(株) http://www.tdk-media.jp/
本革を使用した高級感のあるデザインと高い基本性能 一般的にオーディオ用ヘッドフォンは、音量は調整できても音質そのものを変えられる製品は、ほとんど見当たらない。しかし、イメーション“TDK Life on Record”ブランドの
TH-ST800は、ボリュームコントローラーとEQ(イコライジング)機能によって、その両方を自由にカスタマイズできる画期的なプレミアムヘッドフォンである。
ヘッドフォン本体は高級感あふれる本革素材を使用したハイセンスなデザインとなっており、シュリンクレザーを使ったヘッドバンドを採用。ドライバーは50mm口径の高性能型で、音質は同社の音響研究開発部門による独自のリファレンスサウンドを基準にチューニングされているという。左チャンネルイヤーカップ内に電源となる単4電池2本を収納し、右チャンネルイヤーカップには大型の回転式ボリュームコントローラーが組み込まれている。これを回すことによって音楽を聴きながらスムーズに音量が調整でき、中心部を押せば音そのものをミュートできるようになっている。DAP側で適当な再生音量に設定しておけば、あとはヘッドフォン側で操作できるというわけだ。ケーブルは左右ハウジングから両出しされたオーディオラインケーブル級のブレイデッド(編み被覆)コードが採用されており、その中間にEQコントローラーが搭載されている。このEQコントローラーは低域(Bass)と高域(Treble)が独立した2バンド型で、EQボタンを一度押すと低域、もう一度押すと高域をそれぞれ±5段階上げ下げできる。フラットに戻すには、EQボタンを2秒間長押しする。また、電源をオフにすることで、EQを通さないダイレクトのサウンドを聴くことも可能だ。EQ調整時以外はサウンドビジュアライザーとしても機能し、ちょうどスペクトラムアナライザーのような雰囲気で、音の変化を視覚的に楽しめる。
実際にDAPに接続して聴いてみると、まずフラットのサウンドからしてハイクオリティであることに驚かされる。筆者の場合、低域を1段階ほど上げた状態で十分に満足できたが、もちろん音楽のジャンルやユーザーの好みによって設定されるべきもので、これが絶対というわけではない。ちなみに低域・高域ともいろいろいじってみたが、極端なバランスではなく、あくまで音楽的な変化が味わえる点に好感が持てた。ヘッドフォンそのものの装着感もオーバーヘッドタイプとしては高いレベルにあるが、電池の内蔵やコントローラーの搭載、しっかりしたケーブルなどの要素で若干重くなっているのを気にかける人はいるだろう。また、EQ調整時の反応がややゆったりしている感じも受けた。だが、真の意味でオーディオ機器の音をそのまま再生できるヘッドフォンはきわめて少ないなか、逆に自分の耳に合わせた音作りができるヘッドフォンこそ貴重な存在ということもできる。ヘッドフォンの聴き方そのものに、革命を起こすきっかけとなる製品かもしれない。