PC Audio ExtraPCオーディオエクストラ〜パソコンから始める新しい音楽の楽しみ方
既存のPC用USBケーブルとは一線を画す素材を贅沢に投入したハイグレードUSBケーブル
ゾノトーン 6N・USB-Grandio 2.0
試聴・文/山之内 正
USBケーブル
6N・USB-Grandio 2.0 ¥13,650(1.2m)/¥11,550(0.6m)
●カタログ請求先:(株)前園サウンドラボ
東京営業所:164-0001 東京都中野区中野1-28-11 TEL:03-5386-5031、FAX:03-5386-5032
予想を大きく上回るクオリティの向上 パソコン(PC)の音楽ライブラリをよい音で聴くための確実で手軽な方法といえば、まずはUSBオーディオが候補に挙がる。USBオーディオインターフェイスはモバイル仕様からピュアオーディオグレードまで幅広い選択肢があり、手持ちのオーディオ機器につなげばすぐに良質なサウンドが楽しめる。入力ソースを一つ増やす感覚で導入できる気軽さがUSBオーディオ最大の魅力だ。
手軽さの半面、普通のPC周辺機器とは別の配慮も求められる。PCと物理的に離すなどの工夫が有効だし、接続ケーブルの品質も音質のカギを握る。正確なデータ伝送能力にとどまらず、PCからオーディオ機器にノイズを伝えないなど、音響機器特有の対策にも気を配る必要があるのだ。
音楽信号の伝送に焦点を合わせたUSBケーブルとして、
ゾノトーンの6N・USB-Grandio 2.0を私が推薦する理由はそこにある。2層のアルミペットシールドに錫メッキ無酸素導線を用いた高密度編組シールドを組み合わせて3重のシールドを施し、万全のノイズ対策をとるほか、信号ラインと電源ラインを内部で独立させて相互干渉による悪影響を防ぐなど、外来ノイズと干渉ノイズに対する防護は鉄壁といっていい。
ゾノトーンのオーディオケーブルと同様、デジタル信号の伝送を担うメイン導体の素材には独自のこだわりがある。信号用導体は高純度(6N=99.9999%)銅線と純銀をコーティングしたOFC線を組み合わせたハイブリッド構成で、電源用導体にも純度の高いOFC線を投入、既存のPC用USBケーブルとは一線を画す素材を贅沢に組み合わせているのだ。ケーブルの外装やプラグ部に振動の影響を受けにくい構造を採用していることも見逃せない。
USBケーブルによる音質の違いを実際に確認してみることにしよう。用意した音源はiTunes Storeで入手したAAC形式のデータと、高音質音楽配信サイト「HQM」で購入した96kHz/24bit、FLAC形式のデータで、前者は『アイのうた〜東日本大震災チャリティ・アルバム』
、後者はハイドンのピアノ協奏曲(独奏:ローランド・バティック)をそれぞれ試聴した。前者は期間を区切った配信限定アルバム、後者はCDでは入手できないマスター相当の高品位データで、どちらも希少な音源だ。
79組のアーティストが参加した『アイのうた〜』では、とくにヴォーカルの力強さと説得力に差が出る。PC用の標準的なケーブルに比べてGrandioは生々しい息遣いや声の温度感まで再現し、樹里からんの澄んだ高音など、とくに女性シンガーの声には大きな差を聴き取ることができた。ハイドンはオケとピアノのダイナミックレンジに余裕が生まれ、くもりやにじみのない音像が浮かぶ。ケーブル交換によるクオリティの向上は、私の予想を大きく上回っていた。