カラーはブラックとブラウンの2色
音質とファッション性が両立した大人のポータブルヘッドフォン
ケーブルは着脱式となっている。
ヘッドフォンをファッションアクセサリーの一種としてとらえる傾向は、ヘッドフォンの音質性能の向上とはまた別の次元で進化し続けている。かつては、デザインを取るか、音質を取るかという議論もあった。しかし現在は、如何にオーディオ機器としての性能が高く、それでいてデザインも個性的・機能的であるべきかという次元に到達している。そのような潮流の中で、ヘッドフォンのはしりともいえる1970年代テイストのレトロチックなヘッドフォンが、各メーカーよりリリースされている。単に見た目のレトロさだけを売りに出しているわけではなく、小型ヘッドフォンにおける高音質化といった多くの最新鋭の技術が詰め込まれている場合が多く、デザイン重視のヘッドフォンにそれほど興味を示していなかったマニアからも一目置かれるジャンルとなった。
「ATH-RE700」は、2010年に発売された「ATH-RE70」の上位モデルとなる。RE70は、過去モデルの復刻版という位置付けだが、RE700は、レトロエッセンスを醸しながらも、あくまでも最新鋭の技術と妥協なき高音質を詰め込んだ新開発のヘッドフォンとなっている。耳乗せ型の小型ヘッドフォンという部類ではあるものの、40mmドライバーを搭載しており、これは大型ヘッドフォンにも使われている一般的なドライバーサイズだ。そのため、見た目のコンパクトさとは裏腹に、音の芯はしっかりしており、チープさを一切感じさせない。全体的には、やや暗めではあるものの、丁寧で上品な音の鳴らし方が特徴的。低音域はずっしりと響いてくるが、刺激的ではないので、どのようなジャンルの音楽であっても効果的な低音を鳴らしてくれる。柔らかく聴き心地の良い音を上手に鳴らしてくれるので、複雑で音数の多い音楽よりも、シンプルで編成が小さい生演奏の音楽のほうが効果的な再生をしてくれる。RE700では着脱式のケーブルを採用しており、ヘッドフォン本体側のプラグは特殊形状ではなく、一般的な3.5mmプラグを採用している。扱いやすさとメンテナンス性の高さが特徴的。マイクリモコンを搭載したケーブルも付属しておりスマートフォンを中心としたマルチメディアコンテンツもRE700を通じて活用できる。古きよき渋さとカッコよさを備えたレトロ風ヘッドフォン。当然、ヘッドフォンとしての性能にも一切妥協がない。見た目も音質も、上品さと上質さを尊重する大人向けのポータブルヘッドフォンといえるだろう。