[特選ヘッドフォンガイド]リファレンスとして活用できるほどバランスの優れた表現力――DynaminMotion DM008

2014/02/15掲載
はてなブックマークに追加
DynaminMotion DM008
カラーはブラック / ゴールドとホワイト / シルバーの2色
DynaminMotion DM008
13,440円

■形式: カナル型 ■ドライバ: 8mmダイナミック型 ■再生周波数: 20Hz〜20kHz ■感度: 110±3dB ■インピーダンス: 32Ω±15% ■ケーブル長: 1.2m ■プラグ: ミニ ■重量: 85g ■付属品: イヤーチップ(S / M / L)
※お問い合わせ: (株)サエクコマース www.saec-com.co.jp
リファレンスとして活用できるほどバランスの優れた表現力
 ダイナミックモーションは1982年に韓国で創業した、ドライバーユニット製造メーカーで、このDM008が初めての全工程自社製造によるイヤフォンの完成品である。しかしその音を聴くと初めてのイヤフォンとは思えないほどバランスに優れた完成度の高いサウンドに圧倒されることだろう。現在最も熾烈な競争を繰り広げる15,000円以下の価格帯のモデルとしては異例の高C / P比を誇る。
 同社はソウル近郊に本社を構えるが、こちらは設計(ダイヤフラム製造に用いる金型・治具の製造を含む)に加え、「DM008」などのプレミアムモデルの生産を行なっているという。そのほか中国に巨大ユニット生産工場を2拠点持っており、世界的シェアを誇るスマートフォンにバンドルされるイヤフォンのドライバーユニットを一手に引き受け、その生産数は月産2,000万個に及ぶ。30年にもわたるユニット製造のノウハウと世界でもトップクラスの生産供給能力を有する専業メーカーの強みといえる、振動板そのものから形状、素材を検討できる恵まれた環境を背景に、世界に先駆け、音にこだわるユーザーの多い日本市場へ先行して投入されたのがこのDM008なのだ。
 DM008開発にあたり、ドライバーユニット設計の段階から日本でのサウンドチューニングを開始。振動板素材も一般的なPET樹脂を含め、さまざまな素材、厚みが検討された末に理想的な音響特性を持つ、一つのスーパーエンジニアプラスティック素材が選び出された。ドライバー径は8mmであるが、大型リングネオジムマグネットを外周部に装着する技術を用いて製品化した「Power Dynamic Driver」を搭載。小口径ならではの解像感と10mmドライバークラスのパワフルさを両立させている。L、R表示がそのまま外観に活かされたユニークなデザインは2013年初頭、CESで参考出展され、海外でも高評価を得たというが、そのハウジングキャップにはアルミを用い、樹脂筺体の発する振動を効果的に抑制。ケーブルはフラット形状を採用して絡みにくく使い勝手のよい仕様となっている。
 特にポータブルヘッドフォンアンプを用いることなく、iPhone / iPod直結でも十分ドライブ可能。ほんのりふっくらとした耳当たりよい低域と、こもることなくヌケのよい中高域表現によってさまざまなジャンルの音楽をバランスよく聴かせてくれる。左右ドライバーの特性も厳密に揃えているため音場の定位感、位相表現の正確さが際立ち、オーケストラの響きもクリアで奥行きさえ感じられる。ヴォーカルは分離良く密度も十分。質感は滑らかで非常に聴きやすい。サウンドバランスはニュートラル基調であり、リファレンスとしても活用できる傑作だ。
試聴・文 / 岩井 喬
最新 CDJ PUSH
※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。
[インタビュー] 中国のプログレッシヴ・メタル・バンド 精神幻象(Mentism)、日本デビュー盤[インタビュー] シネマティックな115分のマインドトリップ 井出靖のリミックス・アルバム
[インタビュー] 人気ピアノYouTuberふたりによる ピアノ女子対談! 朝香智子×kiki ピアノ[インタビュー] ジャック・アントノフ   テイラー・スウィフト、サブリナ・カーペンターらを手がける人気プロデューサーに訊く
[インタビュー] 松井秀太郎  トランペットで歌うニューヨーク録音のアルバムが完成! 2025年にはホール・ツアーも[インタビュー] 90年代愛がとまらない! 平成リバイバルアーティストTnaka×短冊CD専門DJディスク百合おん
[インタビュー] ろう者の両親と、コーダの一人息子— 呉美保監督×吉沢亮のタッグによる “普遍的な家族の物語”[インタビュー] 田中彩子  デビュー10周年を迎え「これまでの私のベスト」な選曲のリサイタルを開催
[インタビュー] 宮本笑里  “ヴァイオリンで愛を奏でる”11年ぶりのベスト・アルバムを発表[インタビュー] YOYOKA    世界が注目する14歳のドラマーが語る、アメリカでの音楽活動と「Layfic Tone®」のヘッドフォン
[インタビュー] 松尾清憲 ソロ・デビュー40周年 めくるめくポップ・ワールド全開の新作[インタビュー] AATA  過去と現在の自分を全肯定してあげたい 10年間の集大成となる自信の一枚が完成
https://www.cdjournal.com/main/cdjpush/tamagawa-daifuku/2000000812
https://www.cdjournal.com/main/special/showa_shonen/798/f
e-onkyo musicではじめる ハイカラ ハイレゾ生活
Kaede 深夜のつぶやき
弊社サイトでは、CD、DVD、楽曲ダウンロード、グッズの販売は行っておりません。
JASRAC許諾番号:9009376005Y31015