SHURE SRH1540
オープン価格 50,000円前後■形式: 密閉型 ■ドライバ: φ40mmダイナミック型 ■再生周波数: 5Hz〜25kHz ■感度: 99dB ■インピーダンス: 46Ω ■ケーブル長: 1.83m ■プラグ: ミニ ■重量: 286g ■付属品: 交換用両出しケーブル / 標準変換プラグ / 交換用イヤーパッド / ハードケース※お問い合わせ: 完実電気(株)
www.kanjitsu.com 低音が厚く、解像度も高いスタジオグレードサウンド
シュアは、オーディオファイルにとってはカートリッジ、ミュージシャンにとってはマイクというように、音と音楽の世界で特別な意味のあるブランドだ。プロ / アマを問わず、長きにわたって多くのレコーディングやライヴにシュアのマイクが使われてきており、そうして作られた音楽を聴くのに最適なヘッドフォンを同じ会社が作っているというのは理に適ったことと思える。シュアの「SRH1540」は、同社が85年以上におよぶオーディオ機器分野の経験を活かして世に送り出した、最新の高性能ヘッドフォンである。
航空機グレードのアルミ合金ヘッドバンドフレーム
やカーボンファイバー製ハウジングキャップなど、
高精度なパーツが導入されている。
SRH1540は耳全体を包み込むアラウンドイヤー密閉型で、ドライバーは40mm口径のネオジムマグネットを採用している。昨今の50mmクラスのドライバーを採用する高級機の中にあってはむしろ控えめな感じも受けるが、APTIV(Victrex社が開発した高機能ポリマーフィルム)製のダイヤフラムや通気孔を設けたポールピース、内部での共振を抑えるフレームなどの設計によって、フラットかつワイドな周波数特性を確保している。ヘッドフォンにおいては、音質同様に装着感も重要だ。本機では航空機グレードのアルミ合金やカーボンファイバー製のハウジングキャップを駆使しているため、フルサイズのアラウンドイヤータイプとしては非常に軽く、アルカンタラ(高品質な人工皮革)製イヤーパッドのフィット感や側圧も優れているため、長時間におよぶ試聴でも疲労感はほとんど感じない。また、ケーブルはMMCXコネクターによる着脱式で、持ち運びや専用ケースでの保管、リケーブル、メンテナンス面でのメリットも大きい。
両出しタイプのケーブルは着脱可能。
コネクターはオープン型のフラッグシップモデル
SRH1840などと同じくMMCXを採用している。
据え置き型DAC内蔵ヘッドフォンアンプやパソコン、iPhoneなどを使い、圧縮音声からハイレゾ、DSDまで聴いてチェックしてみた。いずれも低音が厚く、密閉型とは思えないほど軽快なサウンドで、解像度が高いのにあくまで自然で耳障りな部分がない。しかも、インピーダンスが適切で能率が高いためか、直接スマートフォンやデジタルオーディオプレーヤーにプラグインしても、パワー不足に陥ることはなかった。その上でヘッドフォンアンプを通せば、さらに力強さ、押し出しの良さが加わってくる感じだ。インドア&アウトドアともに使いやすく、スタジオグレードなのに決して天文学的な価格でないことも素晴らしい。必要とあらば誰でもが手にできる(= 頭にセットできる)現実的な名機といっていいだろう。